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The Wire - Season 2, Episode 12
#25 Port in a Storm
- 邦題:「嵐」
- 監督:Robert F. Colesberry
- 脚本:David Simon
- 原案:David Simon, Ed Burns
- 初回放映:2003-08-24
“Business. Always business.” - The Greek
概要
朝、フランク・ソボトカの遺体が海中から発見される。胸や腹を何度も刺され、とどめに首を横に切られていた。ニックは父親に伴われ、警察に出頭。だがそれを知らないカーヴァーとハークは、ニックの自宅を見張り続けていた。
バブルズとジョニーは、救急車からモルヒネを盗もうとして逮捕される。グレッグスとマクノルティは、今回ばかりは助けてやれないと引導を渡そうとするが、そこでフランクリン・テラス周辺での勢力図が変わりつつあるという情報を得る。
ニックが出頭してきた時、ちょうど受付にフリーマンがいたため、ニックはそのままダニエルズのオフィスへ連行され、ヴォンダスから持ちかけられた取引の内容をすべて供述する。だがジギーはすでに拳銃を買ったこともすべて自供しており、正当防衛の主張は望めない状況だった。ニックは、ボードに貼られた顔写真を指しながら、誰がどのような役割を担っていたかを、次々に説明する。ただし、ホースフェイスだけは「彼は何も知らない」と嘘を言った。ニックの話から、単なる通行人と思われていた老人が、ラスボスの「ギリシャ人」であることが判明。連邦検事は、ニックと家族が身を隠す場所を手配する。
その後、いつものように報告書を送信しようとしたフィッツユーは、ふと思いついてサンディエゴ支局に電話をかけ、クートリス捜査官について問い合わせる。クートリス捜査官は、1年以上前にワシントンDCのテロ対策班に転属になったと聞き、フィッツユーは情報の漏洩源に気づく。
カーヴァーとハークは、何も知らされずにニックの実家を見張り続けていたが、ついに業を煮やして乗り込み、ニックがとっくに出頭していることを知らされる。その頃ニックは、捜査官たちに隠れ家に案内されていた。
ニックの話から、女性たちは船員に殺害され、その船員はフィラデルフィアでセルゲイらに殺害されたらしいことがわかる。フリーマンの元には、手と頭部のない身元不明の遺体が発見された事件の情報が10件以上も寄せられていた。バンクらはフィラデルフィアへ行き、事件当日のセキュリティテープを入手。そこに「メルセデスに乗った警官」という怪しい人物を発見、彼らが誰かを追いかけている映像を見る。テープの映像から車のライセンスプレートの番号がわかり、ついにセルゲイは「ヴォンダスが殺した」と口を割る。14名のジェイン・ドゥと、首なし男性1名の事件が一挙に解決した。
ダニエルズらは、ギリシャ人がアジトにしていたホテルの名をセルゲイから聞き出すが、ギリシャ人とヴォンダスはすでにホテルを出て空港で飛行機の搭乗手続きをしていた。
ストリンガーはエイヴォンに面会し、ブラザー・ムーゾーンが襲撃されたことを報告。ストリンガーがブラザーに「誰がやったのか」と聞いたことに対し、エイヴォンは「なぜそんな質問をした!」と怒る。ただし、プロップ・ジョーとの協力関係については、しぶしぶ了承。だが、ギリシャ人たちの荷が引き取られないまま港で押収されたため、プロップ・ジョーからストリンガーへの供給はしばらく遅れることになる。その2人の交渉場面を、マクノルティとグレッグスがカメラに収めていた。
殺人事件は解決し、ロールズはご機嫌。ジギーは刑務所(拘置所か)に送られる。ボルティモア港近辺にはコンドミニアムの建設が決まり、ラッセルはパトロールに戻り、フリーマンは書類をまとめてオフィスを片付ける。そしてヴァルチェック警視の元へは、盗まれた警察車両の写真がオーストラリアから届けられていた。
感想
あ~フランクが。やっぱり。前回のラストでそんな予感はあったけれど……。
クートリスから情報が行かなかったら、ギリシャ人とフランクはどんな話し合いを持ったのだろう。フランクは何をしてでもジギーを助けたいと思ったのだろうか。
ともあれ、フランクは殺されてしまったけれど、ニックが警察に出頭して組織の概要を供述し、かなりの人間関係が明らかになっていく。通常の警察ドラマだと、証拠を揃えて事情を明らかにしていざ逮捕、で終わりとなるわけだが、このドラマは逮捕してからその供述を元に真相に迫っていくことが多い。ニックの供述からフィラデルフィアへ行き、そこでセルゲイにつながる証拠を得て、それを材料にセルゲイから自供を引き出してジェイン・ドゥたちの事件が解決したわけだ。それにしても、首と手のない遺体の全裸写真がグロ……TVなのに……。ケーブルチャンネルって、ここまでやっていいのか~、と再び認識。
そしてギリシャ人の「荷」が放置されたことで、プロップ・ジョーとストリンガーの商売にも影響が。こうして、事件と事件、人物と人物の背後関係に関連があるところが面白い。バークスデールのストーリーラインは、一見港湾の事件とは無関係に語られているようで、こうして背後でちゃんと結び付いているのだ。この構成がすごいと思う。そしてプロップ・ジョーとストリンガーの関係はマクノルティとグレッグスが知るところとなり、これが次シーズンへつながっていくのだろう。チームダニエルズは今回の業績で、常設の重要事件捜査班(Major Case Unit)に昇格するはずだものね。
この捜査班にカーヴァーとハークは加わるのだろうか。今回の様子ではこのまま他へ転属を希望しそうな様子だったけれど……。しかし、忘れられていたのは気の毒だけど、途中1回も連絡を入れなかったのかな?
今回はバブルズとジョニーが久々に登場して、マクノルティとグレッグスはソボトカの捜査を離れてバークスデールの組織の様子を探っていた。これは次シーズンへのつなぎなのだろうけど、期待が高まるわ~。プレッズも戻ってくるよね。そして久しぶりにサンタンジェロ刑事(今は刑事じゃないのかな)が登場するし、懐かしぃ~。
エイヴォンとストリンガーの間には大きな溝ができてしまったようだ。エイヴォン、ブラザー、ウィーベイのような武闘派(soldier)に対し、ストリンガーやジョーは「商人」のイメージ。ストリンガーはエイヴォンより、むしろジョーとの間で話が通じているような面がある。異なる資質を持つ2人で組織を支えている時は役割分担がうまくいっていたが、やはりどちらかが欠けるとダメなんだな。
そしてシーズンを締めくくるのは、例によってイメージビデオ(正しくはモンタージュというらしい)。でも、モンタージュの初めと終わりがニックの姿だったので、最後まで気が抜けずハラハラしてしまった。ニックが1人で歩き出す場面、車が尾行しているように見えたので、ギリシャ人の残党にニックが撃たれるんじゃないかと気が気じゃなくて……最後でまたニックが映ったので、銃声一発で終わりそうな予感がしてしょうがなかった。何事もなくエンドクレジット画面になった時はほっとした。(注:初見時はこう思ったものの、後続シーズンを見ていくうちに、クロージングモンタージュというのはそういうシーンじゃない、ということがだんだんわかってきた。このモンタージュの中で「オチをつける」とか「話を進める」ということは基本的にしないのだと思う)
それより、例によってIMDbで、今回はセルゲイ役Chris Ashworth(ヨーロッパ出身かと思ったらバージニア生まれだった)の出演エピソードをチェックしてびっくりよ。シーズン5の1話と2話に出演予定となっている! 本当? IMDbには時折嘘や噂レベルの情報も載るのでまだ確かではなさそうだけど、セルゲイのキャラはけっこう好きなので再登場には期待したい。
— Yoko (yoko221b) 2007-12-24