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The Wire - Season 5, Episode 6
#56 The Dickensian Aspect
- 邦題:「ディケンズ的視点」
- 脚本:Ed Burns
- 原案:David Simon, Ed Burns
- 監督:Seith Mann
- 初回放映:2008-02-10
“If you have a problem with this, I understand completely.” - Freamon
概要
クリス、スヌープ、モンクはオマーの行方を追うが見つからない。オマーは同じ建物の作業室に潜み、折れた足を手当てし、モップを松葉杖がわりに使って逃げる。
テンプルトンはホームレスとともに生活する密着取材を計画。テンプルトンのもとへはTV出演の話も舞い込み、編集長は当初テンプルトンに割り振ろうとしていた教育問題を脇に置いて、連続殺人事件からホームレス問題をめぐる幅広い取材を任せようとする。
フリーマンは、マーロを違法に盗聴していることをシドナーに打ち明ける。シドナーはフリーマンに協力することにするが、肝心の通話内容はドラッグに関わりのない日常の会話ばかり。ただフリーマンは、30~40秒間の無言の通話が何度かあったことが気にかかっていた。
バンクは空家殺人の膨大な資料を改めて調べ直し、ランディ・ワグスタッフの存在を思い出す。バンクはグループホームにランディを訪ねるが、ランディは心を閉ざし何も話そうとしない。
射殺されたプロポジション・ジョーの自宅からは、大陪審の機密書類が発見される。法廷から情報が流されていたのだ。
カルケッティ市長は港湾のウェストポートプロジェクトのリボンカットを行い、ニック・ソボトカら港湾労働者から野次を飛ばされる。その後、市長はホームレス連続殺人について記者会見を行い、リボンカットがほとんど無視される一方で市の「ネガティブな側面」にこれほど関心が集中することについて、皮肉を交えて話す。
市長は「ホームレス連続殺人は目下の最優先であり、あらゆるリソースを使って捜査にあたる」と会見で述べるが、ロールズは「金をかけずに事件を解決せよ」という隠れた意図を読み取り、刑事1~2名の増員とパトロールの強化、それ以上を投下するつもりはないという。
キーマ・グレッグスは、被害者とマーロ・スタンフィールドを結ぶ情報を得る。バンクの空家22名殺害事件は、25名殺害事件になる可能性が高いが、住民はマーロを恐れて警察には何も言おうとしない。バンクは空家殺人の証拠を何とか分析させようと鑑識ラボへ行くが、ラボには訓練されていない一時雇いの人員しかいないため、証拠の分類整理が混乱し、どの証拠がどの現場のものかわからなくなってしまっていた。仕方なしに、バンクはマーロ・スタンフィールドの資料の山に取り組み、マイケル・リーの義父が路地で殴り殺された事件に注目する。マイケルの母親は「息子と、彼とつるんでいたクリスやスヌープが関わっている」と口にする。
マーロはプロップ・ジョーに代わって組合を仕切り、ジョー殺害はオマーの仕業であると発表する。西地区の物資配給はモンク、東地区はチーズが担当し、ボルティモア市場はマーロに制圧された形になった。
ホームレス殺人事件が注目を集める一方で、マクノルティは思い通りのリソース(監視チームなど)が得られないことに苛立つ。フリーマンは、マーロたちの通話時の行動を監視し、無音の通話が行われた時刻にモンクが画像を送信していたことを知る。彼らは画像の暗号を使って通信を行っていたのだ。彼らは画像の送信を傍受できるだけのリソースを得るために、もう一度「被害者」を出すことにする。
マクノルティはホームレスの遺体発見の報を聞き、急いで出かけていくが、そこは既に「犯罪現場」のテープが張られて警官や報道陣が集まっており、とても細工できる状況ではなかった。
テンプルトンはホームレスたちに混じって一晩過ごしてみるが、なかなか話を聞ける相手が見つからない。朝になり、ようやくイラクへ従軍していた若者から、ファルージャでの任務について話を聞くことができた。
マクノルティは、街でホームレスのラリーを見かけて連れて来る。彼を「次の獲物」に仕立て上げて、画像を傍受する口実を得ようという作戦を思いついたのだ。フリーマンは「これは誘拐だ」と言いつつも結局は加担する。マクノルティはラリーに偽の身分証を持たせ、バージニア州リッチモンドのホームレス保護施設へと連れて行く。
感想
オマー、あの建物にずっといたんだ。よく見つからなかったね。足を怪我した状態で、マーロとの決着をどうつけるつもりなのだろう。怪我が治るまで隠れていた方がいいんじゃ……とも思うのだが、マーロの部下を銃撃し、車に火をつけて「マーロは自分で向かって来られない腰抜けだ」とかアピールしているので、やはり短期決戦でカタをつけるつもりなのか。大丈夫かなぁ。
バンクの捜査はラボの証拠が使えなくなり、またまた頭の痛い状況に。マイケルの義父の事件が突破口になるかもしれないが、これのDNA鑑定も順番は「ホームレス事件の次」。ラボの人に真相をぶちまけるわけにもいかず、お気の毒。今季はバンクに酒をおごりたくなってしょうがない。でも、ホームレス事件の証拠を調べたら、マクノルティの指紋とDNA出まくりじゃないのか。
マクノルティはやはり、テンプルトンが捏造したことに気づいてたのか……。テンプルトンといえば、今回は珍しく本当に取材していた。「大げさな表現がなく、真に迫っている」とヘインズに褒められていたのは、やはりちゃんと本人の話を聞いたせいなのだろう。
で、マクノルティはというと、目的のリソースが得られず新しいでっち上げもできない状況で、とうとうホームレスを誘拐。(爆)遺体や現場に細工をするとかいうレベルではなく、より直接的な被害者を出したという点で、また一歩踏み越えてしまった……。「ここまで来て後戻りはできないだろ! 最後までやるしかないんだ」という感じなのかなぁ。ドラマで犯罪者がよく言う台詞だよね。
— Yoko (yoko221b) 2008-11-13