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Wire in the Blood - Series 1
#2 Shadows Rising
- 邦題:「キリング・シャドー」(DVD)/「疑惑の影」(CS)
- 脚本:Alan Whiting
- 監督:Nicholas Laughland
- 初回放映:2002-09-03, 2002-09-10 (Denmark)
事件概要
Act 1: Before the Cameras
ノーザンバランドの湖で白骨化した遺体が発見され、ブランドン次長はトニーに協力を求める。被害者は15~16歳の少女で、死後6~7年が経過していた。死因は喉を切られたことと思われたが、死ぬ前に頬骨を潰された形跡があった。さらに、発見された指の骨の数から、被害者は2人以上いることが明らかになった。
被害者のひとり(頭蓋骨の主)は96年に家出して行方不明となったルイーズ・ロック(当時15歳)と判明。トニーはルイーズの母親から話を聞き、失踪当時の様子から「家出ではなく、誰かに会いに行った」のであり、他の被害者も同じように誘い出されて殺害されたものと判断する。
一方、タレントのアマンダ・ヴァンスの元にたびたび脅迫状が送られた挙句、愛犬が殺されて浴槽に投げ込まれるという事件が起きたため、アマンダと夫のジャック(元フットボール選手)は警察に通報し、ブランドンは担当にキャロルを割り当てる。ストーカーからの手紙を見たトニーは、犯人はアマンダをストーキングしているのではなく、誰か別の人物と自分との関係を妄想し、「アマンダが自分たちを引き裂いている」という妄想に駆られていると判断する。
その後、アマンダが誰かに車をぶつけられ、関連が疑われたため、キャロルはケヴィンに事故の調査を命ずる。ケヴィンは前回の事件でマスコミに情報をリークしていたため捜査から外されていた。
ルイーズ事件は引き続きドン・メリックが担当。その後、湖でもうひとりの女性の骨が発見される。ルイーズと同じ年頃で、同じように頬骨を砕かれていた。頭蓋骨から顔が復元され、身元はソニア・ウィルソンと判明。失踪したのはルイーズより1年早く、失踪時の状況も容姿もルイーズとそっくりだった。トニーは、被害者は他にもおり、犯行を重ねるたびに学習して遺棄方法を工夫している」と判断。キャロルらは同年代、似た顔で同じように失踪した少女を探す。
ケヴィンは、アマンダの犬が「喉を切られて」いたことから2つの事件の関連を思いつき、少女たちの失踪がいずれも、ジャックとアマンダがプロモーション等でその街を訪れた直後であることを調べ上げていた。アマンダの事故の相手は、監視カメラの映像からグレアム・ダウリングという人物であることが判っていた。
ダウリングは警備会社に勤務し、会社には姿を見せていなかったが、書店で行われるアマンダのサイン会の警護に現れると予測された。キャロルとドンは書店へ急行するが、ダウリングの姿はなかった。
キャロルとドンはそのままアマンダを自宅へ送り届け、そこでアマンダのマネージャー、ベスの遺体を発見する。やはり喉を切られ、椅子に座らされていた。
Act 2: Never Too Late
グレアム・ダウリングの自宅には、壁一面がジャック・ヴァンスの写真やパネルで覆い尽くされた部屋があった。ダウリングは事故の後、自宅にも職場にも姿を見せていないという。
トニーは、ベスから渡されたアマンダへの脅迫状を精査してパターンを調べ、欠けている手紙があるのではないかと疑う。それらの手紙はアマンダとベスがレズビアンの関係であることを指摘するもので、アマンダがすべてシュレッダーにかけて廃棄していた。トニーは「ベスと犬」あるいは「少女たちとベス」が同じ犯人であるとすれば納得できるが、3つの事件がすべて同じ犯人であるという仮定には納得がいかず悩む。
ドナ・ペリーの母親が「娘が帰って来ない」と届け出る。ドナは、一連の行方不明者によく似ており、年頃も同じで、ジャック・ヴァンスのイベントにも行っていた。
ドンとケヴィンはダウリングの宿泊先を突き止め、逮捕する。だがその頃ドナは、ジャックに頬骨を砕かれ、クローゼットに監禁されていた。
ダウリングはTVでジャックを見、自分と彼は親友で頻繁に手紙をやり取りしているのだと主張する。トニーは、ダウリングは犬を殺しただけで、少女たちとベスの事件には関与していないと判断。さらに、ベスを殺害した凶器の包丁が見つかり、検出された指紋からジャックの助手ジェイソンが逮捕されるが、トニーは、ジェイソンは犯人としては若すぎるという意見であった。
ダウリングとの話から、ジャックにはジリーという前妻がいたことがわかる。ジリーは失踪した少女たちによく似ていた。彼女はジャックから虐待を受けており、ジャックが「頬骨を骨折する」怪我をして病院にいる間に逃げ出したのだ。
キャロルとトニーはアマンダから話を聞き、ドナが向かった場所の近くにジャックの隠れ家(Retreat)があることを知る。だが2人は上辺だけの夫婦で別々の生活を持っていたため、正確な場所はアマンダも知らなかった。
トニーは「ジェイソンの捜査に協力してほしい」という名目でジャックを警察署に呼び、証拠品や被害者の写真を並べた部屋にわざとジャックを通してプレッシャーを与える。その一方でケヴィンがダウリングの部屋を再び捜索し、ジャックの「隠れ家」らしき場所の写真を発見する。さらにトニーは、アマンダが言った “Retreat” という言葉に宗教的な含みがあることから、使われなくなった教会を手に入れたのではないかと思いつく。
だが彼らが話し合っている隙にジャックは逃亡。トニーが気づいて後を追うが、ジャックは入水自殺してしまう。キャロルらは教会を捜索し、監禁されているドナを発見する。
感想
湖、海岸、平原といった英国的な風景が美しい。冒頭でダウリングが何のために走っていたのかよくわからなかったけれど、最後のジャックの逃亡シーンと対になっているようだった。その他にも、バスタブの犬、ベスの無残な姿、ドナが目を覚まして左頬を見せる衝撃の場面など、強い印象を残すシーンが多い。
ストーリーも、話の主軸がしっかり通っていてブレないというか、無駄がないように感じた。「~は結局何だったの? どうなったの?」と思うことがほとんどない。ダウリングの存在も単なるレッドヘリングではなくて、彼の存在がなくては事件の関連はそもそも明らかにならなかったし、ジャックに関してもいろいろ情報提供をするという重要な役割を担っている。
これは、長編を90分作品に映像化するために、原作のさまざまなモチーフを「そぎ落として」作らなければならないという事情があるせいかなと思ったが、ネットでレビューを拾い読みしてみると、けっこう脚色されているらしい。というわけで、脚本家の功績も大きいようだ。脚色部分が大きいなら、これから原作を読んでも楽しめそうだから、読んでみようかな。
このエピソードではアンジェリカが再登場。まだ公判前のようだが、収容されているのは病院なのか拘置所なのか。相変わらず女性には見えないが、有罪になったら女子刑務所へ行くのだろうか――男子刑務所だと危ないよね。男子受刑者たちがアンジェリカに拷問されそうで。それともマギーのように病院に入れられるのかな。それにしても、アンジェリカは現在トニーの「患者」なのか。かつて被害者だったトニーが主治医になっても良いものなのだろうか。
キャロルとトニーの間は、前作よりも親密になったようだ。でもキャロルの自宅に行って、話し合うのは事件のことなのね。