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witb:s02:007_sharp_compassion

Wire in the Blood - Series 2, Episode 4

#7 Sharp Compassion

  • 邦題:「エンジェル・オブ・デス」(DVD)/「見えない殺意」(CS)
  • 脚本:Niall Leonard
  • 監督:Terry McDonough
  • 初回放映:2004-01-11 (Israel)

事件概要

シンディ・ベンソンという女性が刺され、瀕死の重傷を負う。トニーは現場の写真を見て夫マークの犯行であることを見抜く。キャロルの追求でマークは犯行を認め、事件は解決。シンディの手術は成功して命をとりとめたと思われたが、その直後に容態が急変し、シンディは死亡する。

被害者が死亡したため殺人事件として検死が行われるが、その結果、死因は刺し傷ではなくICUでの措置であると判明。事故も考えられたが、身体に残る痕跡から故意に空気を注入した可能性が高かった。キャロルは前の週にその病院で死亡した患者全員の検死を行う。5名のうち3名がシンディと同じ塞栓症で死亡していた。調べてみると、6週間前から死亡率が3倍に上がっていた。

ICUへは出入り自由。病院は建て替えの準備中で監視カメラも半分が稼働しておらず、院長は経営上の理由で警備の人員を削減しており、手がかりは少なかった。トニーは、病院に恨みを持つ者の復讐ではないかと考える。

だがその後、ホスピスで末期がん患者が同じ手口で殺害される。キャロルは病院とホスピスの両方に勤務する清掃員に注目する。トニーは、被害者が胸で手を交差させるポーズを取らされていたことから「死の天使」を連想する。当初の目的は復讐であったが、無力な被害者を目前にして目的が変わってきたのではないかと考えられた。

病院の院長のもとへ、イスラム原理主義者を名乗る脅迫テープが届けられ、MI5が捜査に乗り出す。トニーはそのテープは捜査を撹乱するための煙幕だと判断するが、内務省と保健省はすでにテープの存在をメディアに公表した後だった。病院とホスピスに勤務する清掃員の多くは、中東出身のイスラム教徒であった。キャロルはその経営者を逮捕する。

捜査の傍ら、キャロルは警部として部下のドンとケヴィンのどちらかを警部補に推薦するよう命じられる。一方トニーは、大学の予算削減で職を失うかもしれないと言われ、慣れない学内政治に苦労する。

その後、病院で爆発事件が発生し、ロビーで花を売っていた女性が死亡する。犯人は室内にエーテルをまいて酸素を充満させ、電灯のスイッチを入れただけで爆発するようにしていたのだ。トニーは、テープを公表したせいで本物の過激派が便乗して犯行に及んだと怒る。トニーは「犯人はキリスト教徒。おそらく父親が伝道師で、父を超えたいと願っている。院長に父親の姿を見いだし患者に癒しを与えるために犯行を重ねていた」とプロファイリングする。

ドンのインフォーマントからの情報をケヴィンが横取りし、容疑者ハッサンの住所が判明。キャロルは部下を率いて容疑者の自宅を強制捜査。トニーは集まったやじ馬の態度を見て、その中からハッサンを見つけ出す。酸素の購入記録とエーテルの痕跡からも犯行が裏付けられた。トニーとキャロルは、酸素注入は別人の仕業だと判断するが、MI5の職員はその事件もハッサンの仕業と決めつけて尋問し、ハッサンは犯行を認めてしまう。その結果、病院を警護していた警官は全員引き上げる。そこには、キャロルの上司であるブランドン次長が心臓発作で入院しており、手術を控えていた。

トニーはようやく犯人像に行き着き、キャロルに連絡しようとするが、その時キャロルは次長を見舞い、点滴に空気を入れようとする犯人の姿を捕らえていた。犯人は死亡した花屋リタの息子。トニーのプロファイリングどおり伝道師の息子で、父親からの評価は低くいつも叱責されていたという。トニーは事件のために、新しいポストのための面接を途中で放り出してしまうが、結局警察への貢献が認められ職は安泰となった。キャロルはケヴィンが情報を横取りしたことを知り「事件解決のために何でもするという心構えは警部補に必要な要素だが、気をつけるように」と釘を刺す。


感想

トニーが女性を刺している衝撃的なシーンで始まり「え? え? 何事?」と一瞬困惑。もちろんトニーが本当に人殺しをするわけがないので、夢か脳内再現映像のどちらかなんだろうとはすぐに察しがついた。むしろ、被害者が一命をとりとめ、夫が自供してスピード解決した方が意外だった。この後何すんの?

……と思ったら、助かったはずの被害者が病院で急死。殺人なので検死を行うと、他殺は他殺だが別の犯人がERで殺害したことがわかり、こちらがメインの事件だったか! とわかる。途中でテロリストの犯行が絡んできたりして話は二転三転、このシリーズにしては派手な爆発場面もあって、最後まで飽きさせない動きのあるエピソードだった。

話を整理してみると、犯人は3ヶ月前からこっそりERに出入りして空気注射をしては患者を殺害していた。病院に警官が配備されたため(?)犯行場所をホスピスに変更。捜査を撹乱しようとテロリストを偽装したら、本物のテロリストが便乗して爆破事件を起す。その事件が解決して警官が引き上げてしまったため、再び病院に戻って来たというわけか。このエピソードは、2004年1月にイスラエルで最初に放送され、同年2月に英国で放送されたようだ。ロンドンで同時多発爆破テロが起きたのは、この1年半くらい後だったのか……と、ちょっと思い出したりした。

さて第2シリーズはこれで終了(早っ)。キャロルはケヴィンの行動を「良い警部補になれる」と肯定的に評価していたようなのだが、IMDbで見るかぎりケヴィンの階級は現在と変わらず Detective Sergent のままのようだ(これは巡査部長かな)。結局昇進はしなかったのだろうか。今回のケヴィンの行動、横取り云々よりもインフォーマントを危険に晒したという点で、やはり軽率だったように思う。信頼関係も損なわれ、貴重な情報源を失ったのではないだろうか。

Yoko (yoko221b) 2008-01-27

witb/s02/007_sharp_compassion.txt · Last modified: 2020-04-30 by Yoko