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Wire in the Blood - Series 5, Episode 1
#16 The Colour of Amber
- 邦題:「アンバーアラート」
- 脚本:Alan Whiting
- 監督:Peter Hoar
- 初回放映:2007-07-11 (UK)
事件概要
黒人の少女が白人の中年男性に車で連れ去られたという通報があり、警察ではアンバー・アラートを発令。アレックスの指揮のもと緊急配備がしかれ、トニーも呼び出される。児童に対する性犯罪の前科があるグラハム・フレッチャーが付近に住んでいたため調べられるが、フレッチャーの対象は少年だけだったので容疑は晴れる。
「11歳になる娘のジャニタが行方不明だ」と母親のセレステが連絡する。ジャニタは虚弱体質で学校を休みがちで、その日も学校は休んだが、パン屋へお使いに行き、帰らないという。目撃者は、誘拐された子はジャニタだと確認する。買い物をした店は現場のすぐ近くで、犯行時間はジャニタが店を出た直後だった。トニーは、誘拐犯が異なる人種の被害者を狙ったことを不審に思いつつも、「現場の選び方から周囲の地理をよく知っている地元の人間」等とプロファイリングを始めるが、犯行の様態には数々の矛盾があり、頭を悩ませる。
セレステは現在の夫バリーとは再婚。前夫のレニーはノッティンガム警察で巡査部長をしている。ジャニタは双子だったが、もうひとりのヘスタは3歳の時に乳幼児突然死症候群で死亡していた。レニーは「バリーには傷害の前科があるので心配だ」と言うが、トニーは記者会見をするバリーの様子に不自然な点はないと判断。
ジャニタは友達が少なかったが、マイキーという少年とは仲良くしていた。トニーは、マイキーが遊び場にしていたガレージの車の中で、ジャムタルトの包み紙を見つける。それはジャニタが店で買った物と思われた。マイキーは警察へ連行されるが、口を閉ざし何も言わない。
やがて、ジャニタの遺体が発見される。きちんを服を着て丁寧に寝かされていたことや、顔面に傷がある(向かい合っている状態で殴られた)ことから、トニーは「ジャニタの知り合いで、彼女を大切に思っていた者の犯行」と判断。検死の結果、性的暴行は受けていないとわかる。
目撃された男のモンタージュと車の捜査は継続して行われており、ようやくそれらしい男が特定される。その人物、ポール・ストリンガーは黒人の少女を車に乗せているところを発見されて取り押さえられるが、その少女は彼の娘だった。目撃された「誘拐現場」とは、ストリンガーの娘が学校をサボったため、父親が叱りつけて車に乗せようとし、それに反抗して娘が暴れたという場面だったのだ。
一方、マイキーは留置場に入れられ、房の中で首を吊ろうとするが、発見が早く命に別状はなかった。トニーは、マイキーが隣の房にいるフレッチャーの声に反応したことを思い出す。マイキーはフレッチャーに暴行を受けた被害者であり、暴行を受けたことを恥じて何も言おうとしなかったのだ。マイキーはようやくトニーに心を開き、事件の当日、ジャニタをデートに誘ったことを話す。
トニーはジャニタの血液検査を依頼し、塩分濃度が高かったことを知る。母親のセレステは注目を浴びるため、子どもたちに塩を飲ませて病気に仕立て上げ、そのためにヘスタを死なせていた――代理ミュンヒハウゼン症候群である。
その日、ジャニタは買い物から帰ったが、予定より遅くジャムタルトもマイキーと2人で食べていた。セレステは怒る。だがジャニタはマイキーからデートを申し込まれ、自信をつけていた。ジャニタが反抗したためセレステは彼女を殴り死なせてしまう。そして娘の遺体を遺棄し、殺人に見せかける。そうこうするうちに都合よくアンバーアラートが発令されたので、それを利用して注目と同情を一身に浴びることに成功したのだった。
セレステは警察の捜査が迫っていることに気づき、赤ん坊を抱いて逃亡。歩道橋から身を投げようとするが、トニーが説得し、無事に2人を保護する。
感想
アンバーアラートというのは、アメリカやカナダで実施されている緊急警報で、児童が失踪、または誘拐された場合に発令される。イギリスにも「Child Rescue Alert」という制度はあるが、現実で「アンバーアラート」と呼ばれているわけではないようだ。作中でトニーが名前の由来を説明する場面があるが、アメリカで成果をあげているシステムを取り入れて同じ名前で呼んでいる、という設定なのだろうか。
いつもは猟奇殺人事件だが、今回は誘拐事件なので通常とは違う「時間との戦い」が刻々と描写されていて、ちょっと変わった演出と展開なのが面白かった。現実の誘拐事件でもプロファイリングするのかな? 中盤~後半でそれまでの前提がコロンとひっくり返されてしまうという展開は今までと同じだが、その返し方に無理がなくて(かなりすごい確率の偶然ではあるけど)良かったと思う。
実は誘拐じゃなくて家庭内の問題で死亡していた、というこの展開はCSIなどでも見たことがあるので、そういう意味で新しいネタではないのだが、冒頭の「誘拐現場」がきちんと具体的に描写されていたので、まさか別人だったとは思わなかったな~。片方は単なる親子ゲンカかい。
目撃者の女性が突然スペイン語でまくしたてていたが、おそらく「異なるエスニックグループに属する=異人種の区別がつけにくい」という演出だったのだと思う。
— Yoko (yoko221b) 2009-12-24