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witb:s05:17_nocebo

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Wire in the Blood - Series 5, Episode 2

#17 Nocebo

  • 邦題:「セレモニー」
  • 脚本:Niall Leonard
  • 監督:Paul Whittington
  • 初回放映:2007-07-18 (UK)

事件概要

川で14歳の少女の遺体が発見される。首を絞め、喉を切って失血死していたが、抵抗や拘束の形跡は見られない。腹部には、刃物で “JESUS” と刻んだ跡があった。氏名はジェニー・スタークと判明。両親は離婚し、母親が親権を求めなかったため父親の元にいたが、新しい義母と折り合いが悪く、彼女が妊娠してからは特に言動が荒れ始めたという。

手に付着していた特殊な絵の具が手がかりになり、画家のルイス・ブレイクの存在が判明。ブレイクは、ジェニーをモデルに絵を描いたことは認めるが、殺害は否定。

その後、新たな遺体が発見される。今回は9歳くらいの少年で、心臓と目が切り取られていた。腹部にはジェニーと同じ傷跡。同じ年頃の息子を持つアレックスは動揺を隠せない。氏名はジョナス・ヌコモ。アフリカから内戦を逃れて半年前に移住して来たばかりだった。現在、母親は母国に戻っているという。父親のローリー・ヌコモは「呪いだ」と口にする。ヌコモはアフリカ系のヒーラー、キングストンを信奉しており、「祈ってもらった」はずだった。

殺害の様相は呪術的だが、“JESUS” と刻まれていることから、トニーはブードゥーのような混合宗教ではないかと言う。さらに、ジェニーもジョナスも母親と離別していたことから、信頼できる相手を求めていたのではないかと思い至る。

ルイス・ブレイクは絵の具に自分の血を混ぜて描くという手法を使っているが、自宅からは本人の血液しか見つからない。ジョナス殺害時は警察で勾留中。トニーのプロファイリングには合致するものの、釈放せざるを得なかった。

トニーは人類学の教授に「首を絞めて喉を切る」手法について質問。ケルト族の間に、昔そのような風習があったという。1人の生贄を使い、頭を叩くことで雷の神、首を絞めて喉を切ることで地獄の神、沼地へ捨てることで川の神への捧げ物としたという、経済的な儀式であるという。その地獄の神の名は、エスス(ESUS)といった。

「遺体の一部が埋められている」という通報を受けて、アレックスらは建設現場を調べる。地主のピーター・バンクリフは怒って中止させようとするが、容器に入れられた心臓が発見される。直接電話を受けたケヴィンは、通報者について何故か殆ど何も思い出せなかった。

バンクリフは開発業者として悪名が高い。店子のひとりダニー・ミラーが数日前にバンクリフの車に乗ったきり行方不明になっている。バンクリフは、ヌコモを先週まで雇っており「夜中に生肉を捧げて祈っていた」という。ジェニーの父親のジョセフ・スタークがバンクリフの従業員であることがわかり、ポーラが話を聞きに行くが、そこで突然呼吸困難に陥り倒れる。アレルギー性のぜんそくと診断される。

バンクリフの事務所に、呪術に使うような人形が届けられる。それを見たバンクリフは、自らが殺害した店子の幻覚に襲われ、心臓発作を起こして死亡。キングストンもバンクロフトの店子であった。キングストンの教会の冷蔵庫からは、動物の内臓や血液が発見され、逮捕されるが関与を否定。だが、バンクリフに送られた人形を見るや顔色を変える。

トニーは、アレックスの聴取で既にストレスを感じていたバンクリフが、人形によって自らの犯罪(殺人)を突きつけられて発作を起こしたを判断する。

ポーラの具合は依然としてよくならない。一方ケヴィンの車には似たような人形が置かれ、その直後ケヴィンは事故を起こしもう少しで死ぬところだった。トニーは「人形で動揺させて注意をそらせただけだ」と言う。そしてポーラの容態も「呼吸ができないという暗示」が原因であると見抜く。トニーによって暗示から解放されたポーラは、すぐに回復。

その後、帰宅したトニーはブレイクに襲われて首を絞められるが、格闘の末難を逃れる。ブレイクは階段から落ちて死亡。トニーを襲った時はトランス状態で、トニーがアンモニアで撃退しようとしても効き目がなかった。その時キングストンは警察に勾留中。トニーは「自分で自分を暗示にかけたのでは」と言う。

トニーはブレイクの残した絵を見て、モデルになった女性がジェニーの他にもう1人――ジェニーより年上で落ち着いた女性のモデルがいることに気づく。人形を制作したのはプロのアーティストであるブレイクではない。もう1人のモデルこそがブレイクを操り、一連の「呪い」を行っていたのだ。人の心を掌握することに長け、自分たちの身近にいる人物――そのプロファイリングを聞いたアレックスは、急いで息子を預けているサークルへ向かうが、ベンはすでに「女性警官」が連れ去った後だった。

目撃情報から「混血の女性」という人相特徴を聞いたポーラは、それが心臓の発見現場で出会った「バンクリフの恋人」であると気づく。彼女は自分を魔女だと信じ、ジェニーの殺害で力を得、ジョナスの目をくりぬいて「姿を消した」つもりになり、次は警官の息子であるベンを生贄にして法を超越するつもりであると考えられた。

トニーは、犠牲になった子どもたちが、いずれも母親を失い不安定な状態だったことから、彼女自身も親に捨てられ「心を引き裂かれて埋められた」経験があると判断する。彼女はキングストンとスコットランド女性の間に生まれた子であった。父親からアフリカ、母親からケルトの信仰を受け継いでいたが、父親に「悪魔の子」と呼ばれ、子どもの頃にアフリカで悪魔祓いを行われていた。帰国して最近まではキングストンの助手を務めていたが、クビにされたばかりだった。父親からの拒絶が引き金になって、一連の犯行を行ったのだった。

今までの犯行の様態と考え合わせ、「場所は古代ケルトの遺跡」と判断。アレックスは警官たちとともにその場所へ向かい、ベンを保護。ベルニースは逮捕される。ベルニースは得意の人身掌握術で罪を逃れようとするが、トニーには通用しなかった。


感想

うわ~何だかすごく怖いエピソードだった~。映像が不気味というかグロというか、最後のシーンが怖かった! ここに書いても遅いとは思うけど、虫の苦手な人は絶対に見ちゃダメ!

虫以外のところでも、今回のエピソードは、見ていて何か不安にさせるような「怖い」映像の演出がとても印象的だった。もともとこのシリーズは鮮やかな色彩をあまり使わず、暗めの渋いトーンで画面を統一しているが、今回は特に……モノトーンに近いような荒涼とした映像表現が印象に残る。

原題の “Nocebo” は Placebo(プラセボ、プラシーボ)の逆。プラセボは偽薬を服用して治療上の効果をあげるという暗示の力だが、ノセボは同じ原理で偽薬から良くない効果(副作用)を得てしまう。冒頭でトニーが学生を暗示にかける場面が、今回のストーリーの前振りになっていたわけね。

さて第5シリーズに入ってから、トニーとアレックスの信頼関係が深まっているような描写がそこかしこに感じられるようになってきた(トニーとベンのお留守番場面良かった~)が、ケヴィンとポーラの間も何だか急接近? 暗示で喘息の発作を起こしたポーラを気遣うケヴィンの様子からは、本当に真剣に心配している様子が感じられたが……。

それはともかく、ケヴィンは人形を発見した時点で鑑識を呼ぶべきだったのでは?

Yoko (yoko221b) 2009-12-27

witb/s05/17_nocebo.txt · Last modified: 2020-04-30 by Yoko