通算1話「誘拐2.0」
ボルティモアの住宅で深夜に赤ん坊が誘拐され、ベビーモニターの不審な動作が報告される。電子機器が関わる事件という理由で、FBIサイバー犯罪対策センターのエイヴリー・ライアンが捜査に乗り出す。エイヴリーのチームにはその日から新人のブロディ・ネルソンが配属される。
- 脚本:Carol Mendelsohn, Ann Donahue, Anthony E. Zuiker
- 監督:Eagle Egilsson
- 初回放映:2015-03-04
乳児誘拐事件
ボルティモアのある住宅で、深夜にある赤ん坊が姿を消す。両親が寝室に駆け付けると、ベビーモニターからは複数の外国語のような不審な音声が聞こえていた。電子機器の関連する事件ということで、FBIサイバー犯罪対策センターのエイヴリー・ライアンが捜査に乗り出す。
サイバー犯罪対策センターは、副長官のシフターと元臨床心理士のライアンを中心に、元海軍の現場捜査官イライジャ・ムンド、アナリストのダニエル・クラミッツ、元ブラックハッカーで更生プログラムを受けているレイヴン・ラミレスが所属していた。そこに、同じく元ブラックハッカーのブロディ・ネルソンがこの日から加わる。
ボルティモア署のチョウ刑事によると、身代金の要求はないという。犯人はベビーモニターに侵入して児の生活習慣を調べたうえで、警報器の接続を切って連れ去ったものと思われた。目撃者によると犯人は男女2人組。
ベビーモニターからはメモリカードが抜き取られていた。家中の電子機器を調べた結果、母親フランのパソコンからマルウェアが発見される。何者かがケイレブに執着し、フランのメールをすべて閲覧していたのだ。エイヴリーはフランの通話記録と照合して、彼女が浮気をしていることを見抜く。ケイレブの実父は夫ではなく、浮気相手のビル・ストラーテンだった。
エイヴリーとイライジャはビルの仕事場へ向かい、赤ん坊を抱いているビルを発見して拘束。しかし赤ん坊はケイレブではなかった。
ビルは自分がケイレブの父親であることを知っていたが、息子に会わせてもらえないため、ソフトウェアを購入した。そして誘拐のことを知った直後、身代金を要求する電話を受けて75000ドルを現金で支払った。
エイヴリーは赤ん坊のおむつから指紋を検出。前歴のあるヴィッキー・シャーラのもので、金の受け渡しに現れた男女2人組のうち女性の方と確認される。SNSの交友関係から共犯者としてリッキー・スキャッグスが浮上。エイヴリーは行動心理学で2人の行先を絞り込み、バーで2人を発見。
2人の車には赤ん坊は乗っていなかったが、トランクには現金が入っていた。エイヴリーはケイレブの居場所を聞き出そうとするが、次の瞬間、2人は物陰から狙撃され死亡。撃った男はその場からバイクで逃走するがイライジャに射殺される。
ヴィッキーが持っていた使い捨て携帯から犯人のアジトが判明。また、リッキーが持っていたメモリカードも発見される。記録されていた映像からは複数の外国語が聞こえる。内容は、赤ん坊のネットオークションだった。子どもを望む世界中のカップルを顧客とし、面倒な養子縁組の手続きなしで希望に沿った児を提供していたのだった。
保護された赤ん坊はケイレブではなかったが、該当する通報がなかったため範囲を広げて調べたところ、合計で3件の誘拐事件が起きていたことがわかる。
クラミッツはベビーモニターの製造元へ向かい、マルチビュー機能に脆弱性があることを知る。エイヴリーは機器をシャットダウンしてオークションを阻止するよう命じる。
ヴィッキー、リッキー、狙撃犯のバーチャル検死データが検視局から送られる。ヴィッキーの胴体には何度も手術した痕跡があり、体内にドラッグを隠した運び屋と思われた。彼女はその過酷な仕事から逃げるために勝手に赤ん坊を売ろうとし、そのために殺害されたのだ。
システムがシャットダウンされた後、レイノルズ家の隣家に「元に戻さなければケイレブは死ぬ」という脅迫メッセージとともにケイレブの動画が送りつけられる。エイヴリーは「システムを戻す」とメッセージを送って時間を稼ぐ。使われたのは家庭用ゲーム器なので、小児性愛者をブロックするための識別番号が割り当てられているのだ。クラミッツは発信元を辿り、ニュージャージー州のパターソンの住所を特定。
エイヴリーらは犯人のアジトに突入し全員を逮捕。パソコンを発見するが、20桁のパスワードがかけられている。記憶するには長すぎるため、どこかに記録しているはず――ボスの身体のタトゥーだった。
タトゥーには番号がバラバラに彫られていたが、ネルソンが気づいた法則で並べ替えると見事に正解し、赤ん坊の現在地を示す座標が表示された。ケイレブがいるのはニューヨーク北部。赤ん坊を連れて逃走していたカップルは運転を誤り車ごと池に落ちるが、イライジャが飛び込んで間一髪でケイレブを救出する。
誘拐団は一掃され、赤ん坊はいずれも無事に自宅はへ帰された。
新スピンオフ「CSI:サイバー」のシリーズ第1話。待ってました!と言いたいところなのだが、正直……うーん、どうなんでしょうこれは。あなた本当にCSI?「クリミナル・マインド」のスピンオフなんじゃないの?と言いたくなる感じ。だって舞台が州の警察じゃなくFBIだし(サイバー犯罪は物理的な州境にしばられないのでFBIの管轄になるのだろうと推測しているけれど)。
指紋採取や「バーチャル検死」などのCSI的な要素はあるものの、いまいち世界観の中に統合しきれていないチグハグさを感じてしまった。
ベビーモニターの脆弱性を利用して「客」に赤ん坊の姿を見せるというのはまだわかるが、オークションにまでそのシステムを使うってどの程度現実的?というところも疑問。
CSIフランチャイズでは、先行するシリーズとクロスオーバーする形でパイロットエピソードが放送されてきた(マイアミやNYの合同捜査ね)。このシリーズでも本家シーズン14で「お披露目」的なものはあったのだが、エイヴリーがベガスに出張するだけで、彼女の職場やチームメンバーがエピソード内で紹介されるという展開ではなかった。なので、このエピソードが実質パイロット版みたいなものではないかと思う。話が進んでいけばこの世界にも馴染んでいけるのかもしれない(でもその前に終わってしまいそうな気も……)。
何だか最初から不安な感じではあるが、ちゃんと最後まで見るよ!
2025-02-03