通算26話「殺されない殺人」
エイヴリーは元夫が死去したと聞いてショックを受ける。詳細がわからず焦るが、その矢先に当の本人が海外出張から帰国。調べてみると、本人は生きているのに書類上死んだことにされている「デジタル殺人」が他にも起きていることがわかる。
- 脚本:Andrew Karlsruher, Scotty McKnight, Craig O’Neill
- 監督:Frederick E.O. Toye
- 初回放映:2016-02-14
social engineering(ソーシャル・エンジニアリング):ユーザーを操り個人情報を入手すること
エイヴリーのもとへ生命保険会社から電話がかかる。元夫のアンドリュー・マイケルズが死亡し、エイヴリーが保険金の受取人になっているという。エイヴリーはショックを受けるが、当のアンドリューは東京へ出張しており、無事に帰国して来ていた。なぜか書類上は死亡したことになっており、入国時に「本人死亡でパスポートが無効になっている」と言われて拘束されていた。
何者かがアンドリューの個人情報を入手し、死亡登録システムをハッキングして偽の証明書を登録したことがわかり、調べてみると他にも多数の被害者がいるとわかる。
アンドリューのPCは不正にアクセスされていた。侵入経路は物理的に接続されたUSBドライブで、コードを分析すると、ステラ・ケインというハッカーが記述した可能性が高い。彼女は大学のサイトに不正アクセスし、5年前にクラミッツが逮捕していた。
クラミッツはステラを探し出して身柄を拘束。所持していたUSBドライブはアンドリューのPCをハッキングしたものと判明。彼女は他に何人も「死亡」させていた。
フィラデルフィアの法廷で、検察側の証人が「すでに死亡している」からという理由で却下され、保釈された被告人が殺人を犯すという事件が発生。担当検事はサイバー犯罪課に協力を求める。ステラ・ケインと同じ手口だが、ステラの犯行リストにその証人はなく、死亡が届けられた時点で彼女は逮捕されていたというアリバイもあった。
ステラは証人の「殺害」を否定し、死亡証明書の記入内容を見て「これは素人の犯行」と断定する。遺体を「埋葬した」と登録すると、墓地を確認されて偽造がばれる危険が生じるので「火葬」の方が安全。ステラは自分の「デジタル殺人」の免責と引き換えに情報提供を約束し、捜査員たちに自分の手口を説明する。
アンドリューの「殺害」をステラに依頼したのはデニス・ブッカーという男性と判明。アンドリューは再婚を予定しており、相手の女性はブッカーの元妻なのだ。
クラミッツは偽造犯の居場所を特定するが、そこは空きビルのような場所。植物が一部だけ枯れている現象から、壁の中にルーターが隠されていることがわかる。中には、ステラの関与を示す情報が残っていた。クラミッツは改めてステラに事情を聞き、ステラはかつて一緒にハッキングをしていた相棒「リーパー32」のことを話す。
ステラは前回逮捕されてからの消息は知らないと言うが、クラミッツは警官、検事、検察側の証人などの殺害をアピールする「リーパー32」の投稿を発見。
アンドリューは自ら囮となり、リーパーに「3万3000ドルを払うので助けてほしい」というメッセージを送る。リーパーは取引に応じ、現金の受け渡しに現れたところを逮捕される。ステラは「もう悪事はしない」と約束し、釈放される。
だがクラミッツは、ステラの話に登場する固有名詞が、部屋の中にあるものから取られていることに気づく。勤めていたという会計事務所の名前はルーターの製造元。出入りしていたフォーラム名は旗の紋章など。ステラが語ったのは作り話で「リーパー32」はステラの別アカウント、逮捕されたのは彼女に雇われた協力者だろう。「証人殺し」のアリバイは、ソフトウェアにタイマーを仕掛けておけば簡単に偽装できる。
エイヴリーはステラを足止めしようとするが、彼女はすでに建物を出た後。だが逃亡を急ぐあまりクレジットカードでバスチケットを購入するというミスを犯したため、居場所がわかり彼女は逮捕される。
いつの間にか自分が死んだことにされてしまう――いや何かの間違いでしょ!というのは本人にしてみれば明々白々なので逆にどう証明するのかと言われると考えてしまう。逆の事例――死んだ人になりすまして投票したり、親の死後も年金を受給していたりという事件は時々あるけれど。
今回はステラのキャラクターが印象的だった。演じているケリー・オズボーンは、CSI本家のS13「地獄の9つの円」に本人役で出演したオジー・オズボーンの娘。
死亡証明書1枚にも手を抜かない職人仕事の話は面白かったが、逃走場面では、その割にシェルフ・ベビーの1人も作っていなかったのかと思った。あるいは、本名でチケットを買った後、別人のIDで別の場所へ逃げるつもりだったのが、想定より早く追手がかかってしまったのだろうか。
真相に気づいたクラミッツが口にした「カイザー・ソゼ」の出典は、映画「ユージュアル・サスペクツ」だろう(見てないけど)。ステラが作り話をする際に名前をどこから取っているか、という所がその映画を基にしているようだ。
使用楽曲
- She Likes The Liquor by AJ Reynolds
- Bang It To the Curb by Far East Movement, Sidney Samson (ナイトクラブ)
2025-06-10