CSI:Cyber S2-3 Brown Eyes, Blue Eyes

CSI:Cyber シーズン2 CSI: Cyber

通算16話「暴動前夜」
警官が身に着けていたボディカメラの映像がソーシャルメディアにリークされる。警官が黒人男性を射殺したような内容だったことから、警察署には大勢の市民が抗議に押し寄せ、人種間の緊張が高まっていく。

CSI:サイバー シーズン2 DVD-BOX

  • 脚本:Devon Greggory
  • 監督:Alec Smight
  • 初回放映:2015-10-18

doxing(ドキシング):悪意を持って個人情報をネットにさらすこと

ペンシルベニア州アシュデールで、警官が身に着けていたボディカメラの映像がソーシャルメディアにリークされる。映像は警官が銃を構えて黒人男性を制圧するところを映し、銃声がしたところで終わっていた。その男性デレク・ノエルズは現在所在不明。警察署には大勢の市民が抗議に押し寄せ、人種間の緊張が高まっていた。

ボディカメラを装着していたのは誰か、警察はFBIにも明かそうとしなかったため、レイヴンは署内に記録されているすべての映像を分析。映像から体格や走り方などを割り出し、その警官がディーン・コーズリー巡査であることを突き止める。コーズリーは以前にも黒人の被疑者に対する過度の実力行使が問題とされていた。エイヴリーとネルソンはコーズリーを訪ねるが、コーズリーは「自分は撃っていない」と主張する。

ラッセルはイライジャとともに現場で再現実験を行い、映像は加工されたものだと判断する。コーズリーはあの場所でノエルズを撃ったわけではなかった。

コーズリーの氏名や住所などの個人情報がソーシャルメディアに公開され、抗議者たちが自宅へと押し寄せる。イライジャが駆けつけ、暴徒からエイヴリーたちを救出。

エイヴリーは映像をリークさせた犯人をプロファイリングし「三十代で忍耐強い高学歴の白人男性」と推定。もし白人警官による横暴を白日の下にさらしたい黒人であれば、自らの正義をアピールするが、この犯人はそれをしていない。犯人の目的は正義ではなく混乱を起こし街を「炎上」させること。おそらくは私的な動機があるだろう。

街は一触即発の様相を示す。抗議者たちは路上にあふれ、商店は暴動を恐れて店を閉める。抗議運動は全米に飛び火しつつあった。

発端になった映像はアシュデール署のシステムへの不正アクセスで盗まれたもの。クラミッツは侵入経路がわからず苦戦するが、ようやくアクセス経路を発見する。カメラの充電器にマルウェアを仕込み、配達員を装って偽の充電器を署内に配備したのだ。クラミッツは経路をたどり、教会のコミュニティセンターに行き着くが、行ってみるとそこは火災で焼けた後だった。

ネルソンは現場で無線中継器(プロキシハム)を発見。犯人はそれで端末の場所を偽装していた。証拠が燃えたと思わせておき、実は遠隔操作していたのだ。周波数を追跡していくと大学の研究室にたどりつく。そこは社会学を教えるロバート・ゲインズの研究室だった。ゲインズのPCにはデータを自動削除する仕掛けが施されており、クラミッツはかろうじてデータの一部を保存する。

保存された写真から、コーズリーとゲインズが兄弟であることがわかる。その頃ゲインズはコーズリーを訪ね、口論のすえ取っ組み合いを始めていた。

エイヴリーとラッセルはゲインズの研究内容を分析し、ゲインズが自分の仮説に最適な街としてアシュデールを選び、仮説を立証するために人種対立をあおっていると判断。ゲインズが次に何かをやるとしたら、ノエルズの追悼集会だろう。

レイヴンは追悼集会に集まった群衆の映像を顔認証にかけてゲインズの姿を探す。ゲインズが見つかり逮捕されるが、直前にスマホを操作しデータを消去していた。

ゲインズを勾留した直後、町中の人々のスマホにコーズリーの居場所がリアルタイムで表示される。エイヴリーはコーズリーに連絡してスマホを捨てさせるが追跡は止まらない。ゲインズがコーズリーと格闘した時に、警察バッジに追尾装置を仕込んだのだろう。

コーズリーは車をぶつけられて暴徒に囲まれるが、イライジャらが駆けつけて救出。暴徒らは警察署を取り囲むが、そこへ生きていたデレク・ノエルズが現れ、争いを止めるよう呼びかける。


冒頭のモノローグがない?と思って確認したら、前回からすでになくなっていた模様。気がつかなかった……。

今回は人種問題が取り上げられる。同じような事件がCSI:NYでもあったな……と思ったら、シリーズフィナーレの「今日を生きる」だった。人種をめぐる対立からの暴動、というと90年代のLA暴動や、最近では2020年のジョージ・フロイド事件から始まる全米での抗議活動が思い出される。2020年には「Black Lives Matter」というスローガンも日本で大きく報道された。このエピソードの放送は2015年なので、前年にファーガソンで起きた暴動を踏まえてのものだろう。

しかしこのエピソードでは少々焦点がぼやけたのではないか?という印象が拭えない。何だかんだ言って、ゲインズの動機にはやはり個人的なこと――兄弟間の諍いが大きく影響していそうだし。とはいえ、諍いの原因は(明言されていなかったと思うが)ゲインズの妻ニコールが黒人女性であることだと思うので、その部分をもうちょっと描写していたらもうちょっと説得力があったのではないか。

また、ネルソンとイライジャの言い争いも少々しっくり来ない感触があった。ネルソンだから、イライジャだからこの言葉を言った、というより、その場にいた黒人と白人として必要な台詞をステレオタイプに言わされている感があった。

このドラマはまだシーズン2で(しかもシーズン1は13話のみ)、このような台詞を言わせるには、2人ともまだキャラとして未熟すぎるのかもしれない。

エピソード内で語られる「茶色い目、青い目」の実験は、1960年代後半から米国アイオワ州の小学校で教員のジェーン・エリオットが実際に行っていた社会実験。


使用楽曲

  • Pump It Up by Savoy (レイヴンが警官のボディカメラを調べる)
  • New Day by Reverend Horatio Duncan and Amos Sweets ()

2025-05-04

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