CSI:Cyber S2-5 hack E.R.

CSI:Cyber シーズン2 CSI: Cyber

通算18話「ジュリー・フィンレイの想い出に」
病院のシステムが何者かに乗っ取られ患者が死亡する。犯人グループは金銭を要求し、従わなければさらに死者が出ると脅す。エイヴリーはチームとともに現地へ向かうが、イライジャは現場捜査を禁じられ本部に残される。

CSI:サイバー シーズン2 DVD-BOX

  • 脚本:Michael Brandon Guercio
  • 監督:Eriq La Salle
  • 初回放映:2015-11-01

modchip(MODチップ):想定外の機能を実行させるチップ

ダラス市立病院のシステムが「グレー・ルイン(灰色の破滅)」と名乗る集団に乗っ取られ、骨折で入院していた女性患者が死亡する。動画の中で集団は金銭を要求し、支払わなければさらに死亡者が出ると脅す。

エイヴリーはラッセル、レイヴン、ネルソンを伴なって現地へ向かう。現場要員のイライジャは前回無抵抗の容疑者を殴ったため、今回は本部に残される。

女性患者の死亡は輸液ポンプから致死量のモルヒネを投与されたことだが、ポンプの故障ではない。遠隔操作で安全装置が解除され、さらにモニターのバイタル表示も操作されていた。モルヒネを投与した後、異常に気づかれず確実に殺害するためと思われた。

医師は人工呼吸器をシステムから切り離そうとするが、レイヴンは「キル・スイッチ」があることを指摘。呼吸器を切り離すと全デバイスに影響が及び、すべての電源を失ってしまうのだ。

イライジャは病院に恨みを持つ「容疑者リスト」を絞り込み、セキュリティ対策を専門とするアーティ・スニードを発見。医療機器の脆弱性を訴えたが、変人扱いされたという経緯があった。イライジャは「ボルティモアはすぐ近くだから」と、エイヴリーの許可を取らずに出かけて行く。

イライジャはスニードを調べ、テキサスへ行った形跡がないため無関係と判断。スニードは2年前に病院で妻を亡くし、その真相をずっと調べているという。彼はスニードが医療機器のパッチを作成していることを知り、本部へ連れて行き、クラミッツに協力させる。クラミッツはスニードの助言で、呼吸器を直接操作せず、接続を遮断して迂回路を作るという方法を発見。

ネルソンはマルウェアの感染元が待合室のテレビであることを突き止める。Wi-Fi搭載で、そこからシステムに感染が広がったのだ。感染したのは約5か月前。スマートTVからはMODチップが発見される。

「グレー・ルイン」という集団は実在するが、関与を否定していた。何者かが名をかたっているようだ。病院側はそれでも金銭要求に応じようとするが、肝心の口座が存在しない。犯人の目的は金ではないのだ。

レイヴンとネルソンは、クラミッツとスニードによるパッチをインストールする。人工呼吸器を使っている患者の安全は確認されるが、別の場所で退院直前の患者が突然倒れて死亡する。電子カルテが改ざんされ、アレルギーのある薬を投与するよう指示されていた。エイヴリーは、手口から犯人は病院内の事情に通じた看護師か医師であると判断し、病院を封鎖する。

スニードの助言で、改ざんは処方箋が院内薬局に送られた時点で行われたと判断。ネルソンは履歴を調べ、アクセス元が地下室であることを突き止める。行ってみると、放射線科医師のテレサが腹部を刺されて倒れており「看護師に刺された」と言う。

ラッセルは、TVのファンに付着した花粉や微生物などから、そのTVが元々あった場所を割り出すという方法を思いつく。検出物を細菌分布データベースと照合して5か月前にあった場所を調べ、関係者の住所と照合した結果、一致した場所に住んでいるのはテレサだった。

テレサは23年間病院に勤務し、大勢の人々を救ってきた。だが病院は彼女の功績を無視し別の医師をトップに据えた。それを恨んでマルウェアを購入し、犯行に及んだのだった。呼吸器のキル・スイッチを突破され、とっさの判断でカルテを改ざんしたが、パソコンを匿名化する余裕がなかった。追手が迫っていることに気づいて、わざと急所をはずして自分を刺したのだった。


医療システムはランサムウェア攻撃の標的になりやすく、ここ数年日本でもニュースになっている。生命の安全と直結する現場だし道具立てとしては悪くないのだが、呼吸器に「キル・スイッチ」を仕掛けるとかいうのは現実的ではない気がする(他は現実的だとは言ってない)。呼吸器をネットワークに接続するのは患者データの送信とアラーム通知が主な目的のはずで、通信が途絶しても人工呼吸は継続されるし、電源を喪失しても一定時間はバッテリー駆動が可能な設計になっていなければならない。ていうか、あれだけ大規模なシステムを運用しているのにシステム管理者いないの?

邦題にフィンレイの名前が入っていたので何か関連があるのかと思ったが、ラッセルが昏睡状態の患者を見て彼女を思い出す場面があるだけだった。もしかしてフィンが死亡したのもハッキングが原因か?と思ったのだが違った。マルウェアの感染が5か月前で、ちょうどフィンの亡くなった頃ではないかとも思うのだが(ラッセルがFBIに来る3か月前という計算になるので)、今回の犯人は関係ないだろう。関係があるとしたら、アーティ・スニードの妻の件の方がまだ可能性がありそうだ。アーティのキャラは面白かった。

ラッセルがフィンのために読んでいた『影なき男』というのはダシール・ハメットの小説だろうか。

事件以外の所では、若い女性がエイヴリーを訪ねて来る場面があった。事故で亡くした娘の友達だったグレースで、この登場の仕方だとシーズン後半の方で再登場があるかなという感じ。本人または彼氏がブラックハッカーであるとか、またはエイヴリーが追っている犯罪組織に誘拐されるという展開が予想されるのだが……。

2025-05-19

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