CSI:Cyber S2-8 Python

CSI:Cyber シーズン2 CSI: Cyber

通算21話「牙をむくパイソン」
指名手配犯「パイソン」を追っていたインターポールの捜査官が拷問のすえに殺害される。犯人はエイヴリーに電話をかけて最期の様子を聞かせていた。エイヴリーはその捜査官のパートナーをスペインから呼び寄せる。

CSI:サイバー シーズン2 DVD-BOX

  • 脚本:Craig O’Neill
  • 監督:Janice Cooke
  • 初回放映:2015-11-22

shelf baby(シェルフ・ベビー):犯罪目的でハッカーが育てる偽のデジタルID

エイヴリーとともに「パイソン」を追っていたインターポール(国際刑事警察機構)の捜査官、ルパート・フレミングが何者かに拷問され殺害される。犯人はエイヴリーに電話をかけて最期の様子を聞かせていた。エイヴリーはルパートの同僚のミゲル・ヴェガに連絡し、ヴェガはバルセロナからニューヨークへ駆けつける。電気ドリルを使用した残忍な処刑現場を見て、イライジャは「パイソンの犯行だ」と判断する。

ルパートがNYにいたのは情報屋と会うためだった。情報のリーク元を探したところ、ヨーロッパとアメリカを接続している光ファイバーケーブルの出力がわずかに低下していたことがわかる。ケーブルに分岐パーツを取り付けてデータを傍受していたのだ。

通信速度を調べて分岐点を割り出し、該当する建物に踏み込んでみたところ、床下から光ファイバーとPCが発見される。PCにはインターポールのデータが保存されており、その中には「ダルコ」という情報屋からのメールがあった。ダルコはパイソンの本名を知って接触してきたが、危険に気づいてドタキャンしていた。

スタッフを総動員して「ダルコ」について調査したところ、名前や社会保障番号などの個人情報をセットにした「フルズ」という商品を販売していることがわかる。イライジャは自分が使っている情報屋の「フレッシュ」がダルコとメッセージをやり取りしていることを知り事情を聞く。フレッシュはパイソンを恐れて何も言おうとしないが、ミゲルが脅しをかけて情報を聞き出す。

ダルコは英国人で本名はテディ・フランケル。家電の廃棄施設に勤務し、リサイクル品のHDDから情報を盗んでいるらしい。自宅にも職場にもいなかったが、情報屋に接触して現金取引をもちかけたことがわかっていた。エイヴリーは闇オークションを見張ることにする。

ルパートの殺害現場には銃が残されていたがシリアル番号は削られていた。番号を消した銃を現場に残すというのがパイソンの手口なのだ。ラッセルはパイソンの事件で使用された銃をすべて調べ、削られた番号の復元を試みる。すべての文字はわからないが、部分的に復元に成功。

その番号からヘンリー・ヘイズという人物が浮上するが、それはパイソンが作り出した「シェルフ・ベビー」(架空の人格)であると思われた。これは偽の身元を作成する際に使われる方法で、社会保障番号や出生証明書を架空の氏名で作成し、時間をかけて「育てて」いく。運転免許証、高校の卒業証書、時には医療記録まで偽造することもあるという。

一方、オークションサイトではダルコらしい人物からフルズが売りに出され、落札されていた。出品者とのメッセージを覗き見たところ、ボルティモア港で取り引きが行われることがわかる。

特徴の一致する男が取引場所に現れるが、イライジャが逮捕しようとしたところで狙撃される。使用された銃は遠隔操作されており、狙撃手の姿はない。ダルコは「パイソンの名はPCの中にある」と言い残して死亡する。

狙撃に使用された銃は、部品ごとに別々のシリアル番号があり、別人に購入されていた。だがその購入者を調べてみると、全員が同じ住所で同じ病院で出生していた。これらもすべてシェルフ・ベビーだった。

ネルソンとクラミッツはダルコのPCを徹底的に解析するが情報は見つからない。だが、ようやく「PCの物理的な内部」ではないかと思い至る。ハッカーにとって安全な隠し場所はオフラインなのだ。2人はPCを分解し、ようやく余分な部品を発見。そこで「ロバート・コルト」という氏名と個人情報一式を発見する。麻薬サイトのソースコードもあり、パイソンの正体に間違いないと思われたが、コルトも結局はシェルフ・ベビーだった。

とはいえ、パイソンはこのために2人の人間を殺害している。重要な情報があるに違いないと内容を再確認すると、サイズの大きなテキストファイルに、日記らしき文章が記述されていた。パイソンの狙いは、この自分の日記だったのだ。名前は書かれていないが、彼自身の生い立ちや感情などが綴られていた。遺伝性の皮膚疾患があり、そのせいで「パイソン(蛇)」と呼ばれいじめを受けていたこともわかる。

ラッセルは「シェルフ・ベビー」たちの氏名や病院名などの固有名詞が小説の登場人物に由来していることに気づく。ラッセルはサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』、レイヴンはギブソンの『ニューロマンサー』に登場する名前を次々に見つけ出す。だが「レネッタ」と「ウィルカーソン」だけは見つからない。「レネッタ・ウィルカーソン」という人物は全米に何人もいるが、日記の記述を突き合わせてみたところ、場所はコロラド州ではないかと思われた。

コロラド州ボールダーに住むレネッタ・ウィルカーソンを訪ねてみたところ、彼女には「ダンテ」という息子がいるが、20年以上前に14歳で家出したという。ダンテの部屋はそのまま残されていたが、写真類は「見るのも辛くなって」処分したという。牛乳パックに印刷された「行方不明」写真だけが残されていた。

居間には新品のデスクトップPCがあった。懸賞で当たった品で、電源を入れたまま置いておくだけで1年おきに新品と交換してもらえるという。エイヴリーが画面に向かって「電話して」と呼びかけると、携帯に着信が入る。エイヴリーはダンテの部屋を見てプロファイリングした内容を話して揺さぶりをかけ、ダンテは「これは戦争だ。サイトは明日再開させる」と言って電話を切る。

だがパイソンのサイトは閉鎖されていない。肝心のホストマシンの場所がわからないのだ。ダンテはホストマシンの場所がばれたと思ったのではないか――つまり、マシンはこの家の中にある。そう思って、ダンテの部屋にある古いマシンを調べると、中に新しいサーバーブレードが入っていた。ダンテはPCを通じて母親の生活を監視し、外出した隙に忍び込んでサーバーブレードを隠していたのだ。

ダンテのホストマシンから得た情報で、インターポールは薬物の供給元や取引業者を強制捜査し、大量の薬物を押収する。エイヴリーは「パイソンが復活したらまた戦おう」と言ってミゲルを送り出すが、その直後、ダンテがオフィスに忍び込んでいたことに気づく。おそらく作業員を装って入り込んだのだろう。エイヴリーは、ダンテが何か仕掛けていないか、徹底的に調べるよう言い渡す。


今シーズンの冒頭で「敵」として言及された犯罪者「パイソン」の正体が明らかに。単なる武器商人ではなく、冷徹な殺人者でもある。そして仲間を作らずサイト運営もその他の犯罪もすべて単独で行っているようだ。ただし本人を捕らえたわけではないので、おそらくシーズン終盤あたりに最終対決があると思われる。

武器/部品の購入など、社会に露出する場面で使う名前はすべて「シェルフ・ベビー」という架空のもので、大量の人格を作り出して使い捨てていく。そこまで用心深い「パイソン」が詳細な日記を保存していたという点が興味深い。文章を書くことで自分を保っていたのだろうか。さすがに固有名詞は差し替えていたが、レイヴンとラッセルが「出典」に気づく。『ニューロマンサー』はわかるが、『ライ麦畑』の方にもそれなりに意味があるのだろうと思う。

それにしてもこの日記、ダルコはどうやって手に入れたのだろう。固有名詞を隠したとはいえ、誰にも読まれたくないだろうから、パイソンもきっとオフラインで保存していたはずなのに。パイソンにも未熟な時代があったということだろうか。

それにしても、アメリカとヨーロッパをつないでいる光ファイバーケーブルが、あんな民家の浅い床下にあるというのは謎!あれはメインのケーブルではなく、分岐点に別のケーブルを接続して、あの床下まで引っ張ってきたのだろうか。


使用楽曲

  • Barbi by WoodysProduce (Web上でDarkoを捜索)

2025-05-31

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