通算27話「不適格者」
のどの痛みで病院に来ていた若い女性が処置中に死亡する。その病院では同じような死亡例が続いており、不審に思った看護師がチャンドラー警部補に相談する。
Law & Order:UK シーズン3(字幕版)
Law & Order:UK シーズン3(吹替版)
- 脚本:Debbie O’Malley
- 原案:Ed Zuckerman, David Black
- 監督:M.T. Adler
- 初回放映:2011-07-10
Crown v. Edward Austen
のどの痛みでオルダーマン病院の救急外来にやって来たスザンヌ・モートンが死亡する。その病院では同じような死亡例が続いており、不審に思った看護師がチャンドラー警部補に相談する。彼女は病棟の職員が患者を故意に死なせているのではないかと疑っていた。
ブルックスとデヴリンは担当した医師らに話を聞くが、彼らの話ではミスも不正もなさそうだった。しかしカルテを詳しく見ると、薬品名が「コデイン」から「パラセタモール」に書き換えられた形跡が見つかる。通常、修正する場合はイニシャルを書き入れる規則だが、誰が書き換えたかは不明。どちらも鎮痛剤だが、コデインは場合により投与を禁じられることがある。その場合はカルテに記載があるはずだが、確認してみると病歴や服用薬を記載したページが1枚抜き取られていた。
スザンヌは深刻な抑うつ状態にあったが、最近になって硫酸フェネルジンを投与され、状態が改善していた。この薬は、コデインと同時に投与すると、高い確率で死に至る危険性がある。担当したエイドリアン・グラント医師は、薬品名は単なる誤記であると主張し、ページの紛失は知らないと主張する。
硫酸フェネルジンとコデインは標準の毒性検査では調べられないが、追加検査を行った結果、スザンヌの体内から両方が検出される。刑事たちは病院へ向かうが、グラント医師は姿を消していた。指名手配をかけた後、グラントが外国行きの切符を購入したことがわかり、駅で逮捕に至る。
だが、そこへ「エイドリアン・グラント医師」と名乗る男性が現れる。イタリアで会議中に自分が指名手配されていることを知って急いで帰国したのだ。その人物が本物のグラント医師で、ずっと海外で活動してきた。スザンヌ・モートンの故殺容疑で逮捕されたのは、かつてルームメイトだったイアン・ネイラーという男で、医学部をドロップアウトして足の治療師になっていた。グラントは国外に行く際に、医師免許などの書類を倉庫に置いて行ったため、ネイラーはそれを利用して「エイドリアン・グラント医師」になりすましたのだ。
ネイラーは詐欺罪は認めるが、故殺についてはオースティンの責任であると主張する。調べてみると、同じ病院で医療過誤が疑われたケースが何件かあり、そのすべてにオースティンが関わっていることがわかる。オースティンは「3年前に事故で怪我をしてから疲れやすくなった」と言われていたが、その時から鎮痛剤の依存症になっている可能性が考えられた。オースティンは自分用にコデインを処方し(医師なので合法)、複数の薬局で少しずつ購入していたとわかる。
検事のジェイコブ・ソーンは、実際にカルテを改ざんしたミルズ医師に事情を聞く。ミルズは、オースティンが硫酸フェネルジンに気づかずコデインを投与したことを認める。まともな医師ならすぐに気づくはずだったが、その時の担当が医師ではないネイラーだったため、最悪の結果を招いてしまったのだ。ミルズは仲間を守るためにカルテを書き換えて記録を廃棄したことを認める。
ネイラーは証言台に立ち、オースティンが間違った薬を投与したことを証言する。ネイラーはニセ医師であるからこそ、薬の処方にも注意を払い、常に他の医師に相談していた。オースティンの弁護人は、ミルズを巧みに尋問し、ネイラーの不注意であったと印象付ける。
オースティンは事故でコデインを服用する以前、アルコール依存症で治療施設に入っていたことがあった。オースティンの主治医は「現在は問題なさそうだから」とコデインを処方していたが、依存歴のある患者への処方は依存リスクが高いので注意が必要。オースティンが自分に処方していたことには倫理上の懸念があり、また服用の結果として注意力や判断力が衰える可能性が高い。ソーンはオースティンへの尋問でその点を指摘する。オースティンは「もう何か月も薬は服用していない」と反論するが、ソーンがポケットの中身を出すよう要求し、裁判長が許可すると、オースティンは観念して薬瓶を出す。その日に何錠服用したかも、すぐには言えない状況だった。
評決は有罪だが、2年の執行猶予が認められる。
シーズン2の最終話でスティール検事が辞職し、今回はジェイコブ・ソーン検事のお披露目エピ。イケメンだしアグレッシブな感じは良いのだが、ズラが似合わない!
思い出してみると、スティールさんのズラ姿は完璧だったなぁと思う。
そして首席検事もキャッスルからヘンリー・シャープに交代した。演じているのは「ドクター・フー」の5代目ドクターだったピーター・デイヴィソン。たしか10代目のデイヴィッド・テナントと共演した「ダブルドクター」エピソードもあったような気がする。
さてストーリーは、のどの痛みで病院に来た女性が謎の死を遂げる――米国本家の元エピソードはシーズン1「死の処方」だ。DVDでは1話目(CSの放送では2話かな?)の、懐かしいエピソード!
話の流れは同じだが、大きく違うのは医師としての力量を疑われていたのが、実はニセ医師だったというところ。それが鉄道駅での逮捕劇につながり面白さを増していたと思う。そしてもうひとつ、本家のアルコール依存がこちらでは鎮痛剤の依存症になっていた。時代の変化かもしれないが、これは「鼻を触ろうとして目を触ってしまった」本家の方がインパクトがあった気がする。
そんなこんなで「懐かしく新しい」エピソードから始まったUK版のシーズン3(英国の放送では「シリーズ5」だが、日本での放送に準拠して)。途中でまた人事異動もあったと思うが、最終シーズンまで視聴していきたいと思う。
2025-07-30