Law & Order:UK S3-11 Line Up

Law & Order UK シーズン3 Law & Order: UK

通算37話「再起」
ある少年の携帯電話にレイプ殺人動画が送りつけられ、それを見た母親が驚いて警察に通報する。同じ動画がポルノサイトにも投稿されていた。ある学校の生徒たちの間でやり取りされているらしい。

Law & Order:UK シーズン3(字幕版)
Law & Order:UK シーズン3(吹替版)

  • 脚本:Emilia di Girolamo
  • 原案:Ed Zuckerman, Jeremy R. Littman, René Balcer
  • 監督:M.T. Adler
  • 初回放映:2011-10-26

Crown v. Leighwood, Evans & Morden

十代の少年の携帯電話に、少女をレイプして銃で殺害する動画が送られ、それを見た母親が警察に通報する。連絡を受けたブルックスとケイシーは、映像から身元を割り出そうとするが、複数いる加害者はいずれも顔が見えない。

その後、別の署に通報があり、ポルノサイトの「レイプ・ファンタジー」部門で動画が公開されているとわかる。1位になると賞金が出る仕組みだが、運営者にわかているのはユーザー名とメールアドレスのみ。そのユーザーを調べてみるとまだ13歳の少年で「学校で広まっているのをアップした」と言う。

動画に映っている顔とTシャツのマークから、被害者は学校の陸上部に所属するアンナ・ルッソと判明。だが2人が家を訪ねると、何とアンナ本人が応対する。レイプは本物だったが発砲は偽物だったのだ。

アンナはその日、友達と一緒にパーティに誘われ、行った先でレイプされたという。ケイシーはアンナに詳しく事情を聞こうと「法廷で反証されないために必要だ」と言うが、「法廷」の一言でアンナは恐怖を感じ「訴えることはできない」と帰ってしまう。裁判になれば事件のことを皆に知られてしまい、軽率だと非難されることを恐れていた。ケイシーは「次の被害者を出したくない」とアンナを説得する。

アンナがレイプされた日に公衆電話から「女の子がレイプされている」という匿名の緊急通報が入っていたことがわかる。警官が駆け付けた時には誰もいなかったという。現場には使用済みのコンドームと「D」のペンダントトップが落ちていた。

「D」の持ち主は、冒頭で動画を送られていたダニーと判明。アンナとは友達だった。ダニーは追及されて加害者の名前を明かし、アンナは写真を見てリーウッド、エヴァンス、モーデンの3名を特定し、起訴が決定される。アリーシャ・フィリップスの希望で彼女が担当することになった。

弁護側は、アンナは性行為にも撮影にも同意していたと主張し、「レイプの証拠はなく、銃を出したのは冗談だから」と、動画を証拠から排除するよう要求。判事はそれを認め、動画を排除する。

フィリップスは証言するようアンナを説得する。アンナは別室でモニター越しに証言をするが、弁護側が厳しく反対尋問したため、耐えきれず途中で席を立ってしまう。

このままでは同意があったと見なされてしまう――そう思ったダニーがフィリップスに会いに来る。彼はその場にいた目撃者として証言する予定だったが「一人が犯行を自供すれば全員が有罪になる」ということで、実は自分もレイプに加担していたことを証言する。リーダー格のリーウッドは銃を出してダニーを脅し、アンナをレイプして「同罪」になるよう命じ、ダニーはそれに従ってアンナをレイプした。

被告人3名は全員、有罪の評決を受ける。リーウッドは6年、エヴァンスとモーデンは4年の実刑。ダニーは銃で脅されたことを有罪を認めたことで減刑され1年の刑となった。


本家の元エピソードはシーズン5「レイプ殺人ビデオの真実」だが、原題は “Performance” だった。邦題はわかりやすいが少々直接的すぎないだろうか。

今回、原題の “Line Up” は劇中でちらっと言及されていた。集団セックスのことを表すスラングらしい。UK版は原題の方が直接的。

大まかな事件の流れは同じだが、細かい部分を見比べてみるとけっこう変わっていて興味深い。時代の変化とともに、英米の制度の違いもあるのかなと思った。

本家では加害者グループが、連れ込んだ女の子の数をポイントで競い合うという悪質なゲームをしていたのだが、その点が控訴審で「表現の自由」であると主張され、破棄差し戻し。対してこちらは一審から動画や銃などの証拠がどんどん排除されてしまう。

排除した判事のレイノルズはコチコチの保守派で、性犯罪を扱うには最悪の判事。なのだが、おそらくこういう判事でもなければ証拠がさくさく採用されて「はい有罪!」で終わっていたのではないか?そんな気がした。

本家では他の被害者を調べて犯行のパターンを確立しようという捜査が行われ、こちらも他の被害者を探していたが、この場面がどこにも続いていない。ここはもうちょっと描写してほしかったところ。

ともあれ、ダニーの証言で被告人は有罪となり、刑期の短さに不満はありつつも、アンナが陸上競技に復帰して前向きに生きようとするところで終わっていた。自らもレイプ被害者であるフィリップスの姿がそこに重なり、邦題が示す通り希望を見出せる終わり方になっていた。

2025-10-10

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