通算29話「一生の悔恨」
高級マンションの一室で東欧出身の若い女性が殺害される。部屋の様子から売春婦と思われた。支払い記録から、ある有名作家が浮上するが、その作家は「カードを偽造されて被害に遭った」と主張する。
Law & Order:UK シーズン3(字幕版)
Law & Order:UK シーズン3(吹替版)
- 脚本:Nick Hicks-Beach
- 原案:Michael S. Chernuchin, Barry M. Schkolnick
- 監督:Mat King
- 初回放映:2011-07-24
Crown v. Gavin Williams
高級マンションの一室で若い女性が殺害される。チェコ出身で氏名はカテリーナ(カトカ)・シゼック。部屋には4000ポンドという大金が残されており、また室内の様子から売春婦と思われた。刃先の柔らかいナイフで刺されており、肋骨に刃が当たって先端の欠片が体内に残されていた。
部屋の借主から斡旋所が判明し、クレジットカードの明細書を提出させたところ、作家のギャヴィン・ウィリアムズの存在が浮上。最初は「カードを偽造されて被害に遭った」と主張していたが、実はギャヴィン本人が顧客であり、その後の調べでも、彼女に執着して熱心に通いつめていたことがわかる。
ギャヴィンは妻ジェーン、息子サムとの三人家族。『十字軍史』を執筆中でTV出演などで忙しくしていたが、サムに脳性まひがあることから、宿泊が必要な仕事は断り、家庭を大切にすることで知られていた。
ギャヴィンの口座からは事件の直前に銀行から合計4000ポンドが引き出されていた。ギャヴィンの妻は室内装飾を手掛けており、現金で骨とう品を購入することも多かった。妻のジェーンは現金で家具を購入したと言うが、確認すると金額が合っていない。また、ウィリアムズ家のキッチンには包丁のセットがあったが、1本だけ――ちょうど凶器に近いサイズの包丁がなくなっていた。狂気は先端が欠けて被害者の体内に残っているため、包丁を見つけてその欠片と刃先を照合すれば凶器かどうかを判定できる。
決定的な証拠はないものの、可能性としては十分なため、ギャヴィンは逮捕され起訴される。
審理の途中で、検事のジェイコブ・ソーンは尋問をアリーシャ・フィリップスに任せ、病気の母親を見舞いに行く。フィリップスはジェーンを尋問して金額の矛盾を突きつけるが、ジェーンはうまく答えられなかった。弁護人は「質問を想定してちゃんと練習したのに」と愚痴をこぼす。
ギャヴィンは有罪の評決を受けるが、フィリップスは、ジェーンの態度は演技で実は彼女が犯人ではないのかと疑う。ジェーンは犯行当日「ずっと自宅にいた」と言っていたが、友達に話を聞くと、その夜は息子の子守を彼女に任せて出かけていたことがわかる。
検事たちは「胃の内容物を調べ直した結果、死亡推定時刻はもっと遅かったかもしれない」という話をギャヴィンとジェーンに聞かせる。
その直後、ジェーンは「キッチンを改装した時に、母の家に陶器や包丁を置いてきたのを思い出して取って来ました」と言い出す。だが検事たちはそれを見越して、彼女に見張りを付けていた。彼女が母親の家に行っていないことがわかり、犯人が彼女自身であったことが判明する。
ジェーンはサムを妊娠している時にヘルペスに感染した。カトカからギャヴィンに、そしてギャヴィンからジェーンに感染したのだが、症状が出なかったためジェーンは気づいていなかった。だがウイルスはサムの脳に入り、サムはしゃべることも立つこともできない身体になってしまっていた。
ジェーンはカトカを殺してギャヴィンに罪を着せることで復讐をしようと計画した。そして少しずつ現金を貯め、4000ポンドになったところで目立つように現金を引き出し、わざと金額の合わない買い物をしてみせたのだった。
本家の元エピソードはシーズン6の「屈辱」で、前回の元ネタになった「天使のために」のひとつ前のエピソードになる。
全体の流れはほぼ同じ。本家の銃が包丁になっているのはお国柄で、他のエピでも大抵そうなっていたと思う。だが大きく違っているのが真犯人が夫に罪を着せようとした動機だ。やはりUK版は人間ドラマ重視!
妊娠中に夫を通じてヘルペスを移され、そのせいで息子が脳性まひを起こしたとあっては、憎んでも憎み切れないだろうと思った。ジェーンは「妻となり母となる」ことに目的を見出すタイプの女性だったようで、ギャヴィンを愛したから妻になったというより、自分が良き妻、良き母になるためにギャヴィンを選んだような感じだった。
しかしジェーンが用心深い性格で、ちゃんと母親の家に行っていたら、どうやって証明できたのだろう。一方でジェーンは「ギャヴィンが犯行後に凶器を隠しに行った」という筋書きに矛盾しない時系列を描くことができただろうか。まぁその場合はUK版CSIの出番かな。
2025-08-05