Law & Order:UK S4-1 Tracks

Law & Order UK シーズン4 Law & Order: UK

通算40話「自分だけを哀れむ者」
線路上に車が乗り捨てられ、そこに列車が衝突して死者15名の大惨事を引き起こす。現場に到着したケイシー刑事は虫の息の少年を発見するが救えず、ショックを受ける。

  • 脚本:Emilia di Girolamo
  • 原案:Eric Overmyer, Roz Weinman
  • 監督:Mat King
  • 初回放映:2013-07-14

Crown v. Finn Tyler

線路上に車が乗り捨てられ、そこに列車が衝突して死者15名の大惨事を引き起こす。現場に到着したケイシー刑事は座席の間で虫の息の少年を発見するが間もなく死亡し、ケイシーはショックを受ける。車は無人で運転手の姿はなかった。

防犯カメラ映像を調べてみると、車がフェンスを破って突入したことがわかる。突入したのは電車が来る少し前で、ちょうど係員が交代するタイミング。その後誰かが出入りした様子はないので、運転手は現場を離れていない。車の持ち主はずっと自宅におり犯行は不可能。何者かが車を盗んで犯行に及び、事故後の混乱の中で乗客に紛れ込んだのだろう。

ブルックスはケイシーとともに切符を持っていなかった乗客を調べ、フィン・タイラーを訪ねる。タイラーは腕に怪我をしており「電車のガラスで切った」と言うが、ブルックスが傷を見るとガラスではなくナイフで切ったようなまっすぐな傷だ。

「自傷行為をしているのではないか」と言って事情を聞くと、タイラーは取り乱し「誰も殺すつもりはなかった」と言い出す。タイラーは死のうと思って車を盗み、電車に突っ込もうとしたが死にきれず、乗客のふりをしたのだった。

アリーシャ・フィリップスが昇進して異動したため、ジェイコブ・ソーンは単独で事件を扱い、15名の謀殺で起訴する方針を固める。弁護人のケイト・バーカーは限定責任能力による故殺を要求。バーカーは触法精神障碍者の収容について、特に尽力していた。

タイラーは自傷の他にも抑うつ症状を抱え、妻や娘を相手に異常行動を起こしたことがあったが、検察側の鑑定医は「恥と怒りを感じているが精神疾患ではない」と判断する。判事は検察側に同意し、バーカーに対しては「限定責任能力を主張しても良いが判断は陪審が行う」と言い渡す。

公判が始まると、バーカーはタイラーの精神疾患が適切に治療されていなかったことを強調し、精神医療の予算が減らされたことを非難する。

タイラーは弟とともに施設で育ち、弟は養親に恵まれてしっかり仕事をしていたが、タイラーは不遇でありアルコール依存の問題を抱えていた。しばらくは弟の会社で働いていたが飲酒が原因で解雇された。弟の会社は警備会社で、鉄道会社とも契約していた。つまりタイラーは警備の状況や、フェンスを突破しやすいタイミングなどを知り得る立場にあった。タイラーが鉄道会社を狙ったのは、成功した弟への嫉妬心があったのではないか。

タイラーは謀殺で無罪、限定責任能力による故殺で有罪という評決を受け、規定に従って病院に収容されることとなった。大臣の許可がなければ退院することはできない。

だがその後、タイラーは拘置所で首を吊って死亡しているところを発見される。そしてその直前に面会していたのは、サム・ケイシー刑事だった――。


本家の元エピソードはシーズン15「通勤列車」で、こちらは未見。本家はシーズンフィナーレだったが、こちらは新シーズンの幕開けという対照的な配置になった。

オープニングの映像でキャストの入れ替わりがわかってしまっているので、少々ネタバレ感がある。まず警部補のチャンドラーがウェス・レイトンに交代。ブルックスとは旧知の仲のようだが、禁酒のことはまだ知らない様子。

そして検事のアリーシャ・フィリップスも降板で、金髪女性に代わっていた――と思ったら、その女性が弁護士役で登場。

英国ではもともと検事と弁護人が職業としてはっきり分かれているわけではなく、同じ弁護士が「今回は検察、次は弁護側」という具合に法廷のどちら側に立っても良いらしい。同じ事務所に所属する弁護士同士が刑事裁判で敵味方になってバチバチ――というエピソードも、他のドラマではあったりする。

ただし80年代にはCrown Prosecution Service(検察局)が設立されており、本作のキャッスルやシャープはそのトップという位置付けで、ソーンらも検察の仕事しかしていない。というわけで、タイラーの弁護人を務めたケイト・バーカーは、事件後CPSに「転職」して次回からは専ら「検事」として事件を扱うことになる。

優等生タイプのフィリップスが本家のロビネット/キンケイドなら、弁護士から検察に転じたバーカーは本家のジェイミー・ロス――ということになるのだろうか。

さて事件は、通勤客で満員の列車が車に衝突するという大惨事。車の持ち主は危険運転や暴行の前歴があり、一度は評決不能になったもののアリーシャ・フィリップスが再審手続きを進めている。さらにこの列車はフィリップスが通勤に使用したもの――ということで、彼女を狙った犯行かと思われたら、あっさりと容疑が晴れてしまった(上のあらすじでは省略)。偶然にしてはできすぎかと思ったが、結局そのくだりはフィリップス降板の説明だけだった。

評決は弁護側の主張どおり「限定責任能力による故殺」で、これはしょうがないかなと思っていたら、ラストで衝撃の展開!これが次回に続く……ということで、さてどうなるか。もしかしてケイシーがピンチ?

2025-10-31

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