通算43話「父親の愛」
不動産会社を経営する女性の車が橋の上に乗り捨てられているところを発見される。本人の姿はなく、コートも財布も車内に置いたまま。飛び降り自殺をしたことが考えられた。
Law & Order:UK シーズン4(字幕版)
Law & Order:UK シーズン4(吹替版)
- 脚本:Noel Farragher
- 原案:René Balcer, William Fordes
- 監督:Jill Robertson
- 初回放映:2013-08-04
Crown v. Holly Leigh
不動産会社を経営するシャーロット・リーの車が橋の上に乗り捨てられているところを発見される。本人の姿はなく、コートも財布も車内に置いたまま。飛び降り自殺をしたことが考えられた。
シャーロットは塗装業を営む夫のショーン・ハート、娘のホリーと3人家族。ショーンは二度目の夫で、前夫(ホリーの実父)と暮らしていた当時、薬物の過剰摂取を起こしたことがあると言う。それは、前夫の暴力が原因で鎮痛剤を服用した時のことだった。
その後、シャーロットの遺体は川から発見される。だが、頭部を強く殴られて死亡しており、川に落ちた時はすでに死亡していたことが判明。前夫に疑いがかかるが、事件当時は空港に向かっており、位置関係を考えると犯行は不可能。
ホリーは事件当夜、演奏会に行っていたが予定より早く帰宅。最初は「帰宅した時、母は家にいた」と言っていたが、詳しく聞いてみると、母親が「いると思った」だけで顔は見ていないとわかる。
自宅はきれいに清掃されていたが、鑑識が調べたところ、シャーロットの血痕が発見される。また、ショーンは妻に隠れて若い女性と浮気をしており、アリバイについても嘘を言っていたことがわかる。浮気相手の「若い子」について問われると「あの子は自分に惚れていて恋人のつもりだ」と言うが、ホリーは「ショーンに誘われたことがあり怖かった」と言い、両者の言い分は食い違う。
ホリーとシャーロットの親子仲が良くなかったことがわかり、改めて家を捜索してみると、ホリーの予備の制服が発見される。シャーロットの血液が大量に付着していた。
ホリーの犯行と思われたが、ブルックスは「単独犯とは考えにくい」として、ショーンとホリーの2人を逮捕する。
ショーンは、ホリーから熱烈に迫られ、彼女とシャーロットが激しく争ったと言う。たまらず家を出て仕事に行き、帰って来たらホリーから「はずみで殺してしまった」と言われたという。ホリーから「通報したらあなたに罪を着せる」と脅されて協力したという。ショーンのアリバイを証明できる人物として、ホリーの親友であるジェスの名前をあげる。ショーンはジェスと浮気をしていたのだ。
ショーンの供述を聞き、ソーンは「ショーンをほう助罪、ホリーを殺人罪」で起訴する方針を固める。
ショーンは証言台で「ホリーが母親を殺した」と証言し、ホリーはそれを聞いて取り乱す。その後、自ら証言台に立ち、「ショーンが自分に誘いをかけてきた」と証言する。その言葉を聞いてショックを受けるジェスの姿を見たブルックスは、ジェスに真相を問い質す。ホリーは、ショーンから「特別な子」と言われたと証言したが、ジェスも同じ言葉をささやかれていたのだ。
ジェスは証言台に立ち、ショーンの家に行き性交渉を持ったことを証言する。その現場をシャーロットに見られて争いになり、ショーンが彼女を殺害してホリーの制服で血を拭いたと証言する。
本家の元エピソードはシーズン5「虚構の家族」で、ストーリーの大筋は同じだが、細部が異なっていて結果としてかなり別物な印象を受けた。
まず本家では、会社を経営する妻と塗装業の若い夫という「格差カップル」であることが強調され、現夫と娘がともに「母親に支配される側」という同志的な扱いだったように記憶している。UK版でも、母親が娘の生活に過度に干渉するという描写はあったものの、結局は愛情が深すぎるゆえのことだったのか――と思わせる結末になっていた。
娘と継父の関係もかなり異なっている。本家では娘の方も恋心を抱いている様子だったが、こちらでは拒否。継父が浮気をしていた事実は共通だが、こちらでは何とお相手が娘の親友というサイテーぶり。未成年の少女と性交渉を持ち、現場を見られた妻を殺害して遺棄し、継娘に罪を着せようと偽証したわけで、いったいどれだけ罪を重ねれば気がすむのかと思った。
動揺するジェスの様子を見逃さないブルックスの存在感はさすがだし、恋人と親友の間で苦しむジェスや母親を思うホリーの心理描写も良かったと思う。こういう場面を描写したかったんだろうな――と納得できる変更だった。
2025-11-10
