Twin Peaks FAQ – G: 全般

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「ツイン・ピークス」とは何か? なぜ今頃 TP なのか? といった、シリーズ全般に関するQ&A

G1. 「ツイン・ピークス」って何ですか?

「ツイン・ピークス」(以降TPと略記)は、アメリカのABCテレビで放映され、その後世界中で放映された連続ドラマです。アメリカでは第2シーズンまで放映されました (1990年4月から1991年6月まで)。個々のエピソードについては、「TVエピソード」のE1~E4を参照してください。

このシリーズは、「イレイザーヘッド」、「デューン(砂の惑星)」、「ブルー・ベルベット」などで有名な映画監督のデイヴィッド・リンチ(他作品は「デイヴィッド・リンチ」のL1を参照)と「ヒル・ストリート・ブルース」を手がけたマーク・フロスト(他作品は「マーク・フロスト」のM1を参照)が制作しており、内容はひじょうに複雑です。ミステリであり、ソープオペラのパロディでもあり、コメディでもあり、超自然現象ものでもあり、古典的映画の本歌取りでもあり、他の教養的イメージの投影でもあるというTPは、さまざまなイメージや音楽やムードや人物たちに彩られた、独特の魅力のある面白いドラマです。

G2. TPは何がそんなにすごいのですか?

TPには、上に述べたようなさまざまな側面があります。初期の視聴者は、リンチ映画に見られる非日常的な傾向を好んでいました。また、映像と音楽に魅了された人もいます。ローラ・パーマー殺人事件を解くミステリに興味を惹かれた人も多かったようです。また、いまだにこの番組にどっぷりとつかり、何度も繰り返して見ながら、プロットやムードや意味などの細部を検証することがとても楽しいという人々もいるのです。他の名作TV(「プリズナー」、「スタートレック」、「シンギング・ディテクティブ」)や名画のように、TPは膨大な研究が行われた上になお、いつ終わるとも知れない考察や議論のネタを提供し続けているというわけです。

G3. TPはなぜ打ち切られたのですか?

クオリティTVというものは、長続きしないものです(笑)。:^) 真面目にいうと、視聴率が低下して打ち切られた理由はいくつかあります。

  • 過剰なメディア戦術: ABCはシリーズが始まる前、数ヶ月にわたり大々的に宣伝をしていました。そして、メディアや批評家は高い評価を下していたものの、視聴者の関心を維持しきれませんでした。「みんなが」TP の話をしているから、「話題についていくために」見ていたという人も大勢いました。このような人々は、本当に興味を持っていたわけではないので、ブームが去ると同時に飽きてしまったのです。急激なブームは静まるのも早いものです。
  • エピソードが独立していない: TPでは、エピソードをすべて見なければ、話の内容がつかめません。今までのソープオペラとは違い、TPではメロドラマ的な展開を何度も繰り返すということはしませんでした。今までの見方では駄目だったのです(この問題に対処するため、第2シーズンではイントロの部分に短いストーリー紹介が入りましたが、実際にはこれがかえってシリーズの魅力をそぐと感じた人も多かったようです)。
  • スケジュールの混乱: ABCはTPの放映日を移動したり、第2シーズンの放映を中断したりしたので、視聴率は低下の一途をたどりました。ストーリーの内容が連続しているのにいつ放映するのかがよくわからないという事態は、「視聴率の勝敗を早急に判断しなくてはならない」今日の状況では災難というより他ありません。
  • ペース: ローラ・パーマー殺人事件のミステリとして見ていた人々は、犯人がいつまでたっても明らかにならないことに、しだいに怒り始めました。ローラを殺した犯人がわかるまで14話(7ヶ月)もかかったというわけですが、その批判はやや的外れというべきでしょう。「TP時間」では1話が1日に対応しているので、殺人事件はストーリーの上では2週間で解決したということになります。

実際には、リンチは犯人が誰かを明らかにするつもりはなかったとも言われています(ただし、マーク・フロストは、犯人はごく初期の段階で自分とリンチが決めたのだと断言しています)。また、殺人事件は町の暗部をさらけ出し、話を進めるための「マガフィン」※にすぎないとも述べています(ローラ・パーマーを殺した犯人の正体については、「TVエピソード」のE17を参照)。

※訳注: McGuffin = プロットにリアリティやスリルを付加するための小道具や設定など。それ自体にはあまり意味がない。

  • 超自然現象/SF的要素: TPにはさまざまなジャンルの要素が混在していますが、メディア(と世間)はローラ・パーマーの事件にこだわってTPをミステリであると位置づけていました。超自然現象/SFの要素が明らかになると、視聴者からはすぐに、それはごまかしにすぎない(超自然的要素を入れると何だってできる、ギリシャやローマの劇場で使われた「デウス・エクス・マキナ」※による強引な結末だ)とか、その手の話は好きではない、といった不満の声があがりました。

※訳注: deus ex machina = 古代ギリシャの演劇で、突然現れて物語を急転直下させる神様のこと。

(原注: 第2シーズンのエピソードの初期に、「外宇宙」との関連を示す要素はありましたが、TPの不思議な事件はすべて地球上の出来事であるということが19話であきらかになりました。)

  • 型破りのスタイル: 多くの人が、この番組は「変人のための変な番組」であると言いましたが、音楽/撮影/特色におけるTPの斬新なスタイルが、その後の番組”Northern Exposure”、”Eerie Indiana”、”Stephen King’s Golden Years”、”Picke t Fences”、”Wild Palms”などのさきがけとなったことは明らかです。模倣は最大の賛辞なり--ですよね?

G4. TPのビデオ/LDは出ていますか?

「DVD/Blu-ray」を参照してください。

G5. TPは再放送されていますか?

日本では2003年8月にWOWOWで再放送されたことがあります(それ以降は未確認)。WOWOWでは「ツイン・ピークス The Return」も放送されました。また、Amazon PrimeやU-NEXTで動画配信されています(2024年現在)。

G6. FWWMってどういう意味ですか? MFAPは? SDCは?

alt.tv.twin-peaksでは、次のような略語が使われています。

DFC: Damn fine coffee (「すげぇ」うまいコーヒー)
FWWM: Fire Walk With Me (劇場版「ツイン・ピークス――ローラ・パーマー 最期の七日間」の原題名。ただし本文中は原則として「劇場版」と表記します。「劇場版」のF1を参照)
HST: Harry S. Truman (保安官ハリー・S・トルーマン)
ITL: Invitation To Love (「愛への招待状」第1シーズンに登場するソープオペラのパロディ。「TVエピソード」のE27を参照)
LMFAP: Little Man From Another Place (別世界から来た小人: 赤い部屋にいた小さな男)
MFAP: LMFAPと同じ
TMFAP: The Man From Another Place (上の2つと同じ)
SDC: Senor Droolcup (セニョール・ドルールカップ。グレート・ノーザン・ホテルにいる高齢のウェイター。番組中でアルバートが彼をこう呼んだことから)
WE: Windom Earle(ウィンダム・アール)
WKLP: Who killed Laura Palmer? (誰がローラ・パーマーを殺したのか)

G7. TPが放映されたのはもうだいぶ前なのに、何故いまだに人気があるのでしょうか?

年に何人か、alt.tv.twin-peaksに迷いこんでは「今は亡き」TVシリーズの話をなぜ延々続けているのだと質問する人がいます。上記のG2を参照してください。

“The Prisoner”や”Star Trek” (TOS)だって「亡き」TVシリーズですが、長年にわたってファンに愛され、語られ続けています。

丁寧な言葉で言うなら、TPが好きじゃなくてTPの話をする気もないのであれば、この newsgroupの購読をやめればいいでしょう。

G8. TPの俳優の中で亡くなった人はいますか?

訳注: 最近の情報については未確認です。

  • フランク・シルヴァ(“ボブ”)が、96年に心臓発作で死去しました。
  • ジャック・ナンス(ピート・マーテル)が、97年にロスの自宅付近にあるドーナツ・ショップでのケンカによる頭部外傷のため(らしい)、死去しました。
  • ジョン・ボイラン(デュエイン・ミルフォード市長)が、95年に死去しました。
  • ハンク・ウォーデン(「セニョール・ドルールカップ」ことルーム・サービスのウェイター)が、95年に死去しました。

死亡説が流れているようですが、ハリー・ゴアズ(保安官助手アンディ・ブレナン)は生きています。

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