マーク・フロストとフロストの他作品についてのQ&Aです。
M1. マーク・フロストの映画/番組は他にありますか?
- “Hill Street Blues” (TVシリーズ)
- “Storyville” (映画、後述)
[他の作品はTBS]
M2. TPでリンチとフロストはどの程度協力していたのですか?
最初はとても緊密でした。二人はパイロットと第1シーズンのストーリーを共同で製作しました。フロストは第2シーズンでローラ・パーマー殺人事件が解決するまで、エグゼクティブ・ストーリー・エディターでした。リンチは、第2シーズンでは最初と最後の話に主に関わっていました。噂は絶えませんが、リンチは映画「ワイルド・アット・ハート」を完成させるために第2シーズンなかばでTPを捨てたわけではありません(詳細は”Wrapped in Plastic”16号のタイムラインを参照)。
視覚的なスタイルは基本的にリンチのもので、他の監督たちはその方式を維持しようとしました。
フロストの小説”The List of Seven” (M5を参照)を読むと、それまでリンチの発案と思われていた、番組の超自然的/神秘的な側面が、実はフロストのものであったらしいということがわかります。
リンチとフロスト以外には、脚本家のハーレイ・ペイトンとロバート・エンゲルスがTPの内容に最も強く影響を与えています。ペイトンによると(“Wrapped In Plastic”のインタビュー)、第1シーズンの脚本家にはエピソードの詳細なあらすじが渡されたそうです。独自の要素を加えることもできましたが、リンチとフロストが適切と判断した場合に限られていました。第2シーズンではそれほど詳細なものではなかったようです(おそらくそれが、第2シーズンは良くないと感じる人がいる理由の一つなのでしょう)。
しかし主な理由の一つは、クーパーとオードリーのロマンスを発展させ、それをローラ・パーマー事件に代わる主軸とすることに、カイル・マクラクランが反対したことです。ローラ・パーマー事件が終わった後のドラマ内容の多くは、クーパー/オードリーというメインプロットに対するサブプロットになりそうなものでした。
リンチが第2シーズンの最終エピソードで戻って来た時、彼は大量の脚本原稿を窓から投げ捨てました(Wrapped In Plasticの中の、脚本を読む記述からわかります)。リンチは他の脚本家とはまったく連絡しておらず、最終エピソードの中には、彼らが第3シーズン(があったとすれば)のために構想していた内容に沿わないものがいくつかありました。”Wrapped in Plastic”では、物事を予定の軌道に戻すのがたいへんだったというフロストの言葉が引用されています。
リンチとフロストは結末に関して異なった構想を持っていたことは確かで、その中には、続編でなく前日談(劇場版)を製作することにフロストが反対したことも含まれていますが、フロストが小説”The List of Seven”と”The Six Messiahs”(M5とM6を参照)に関するインタビューを受けた時に語った内容によると、二人は現在とても仲が良いそうです。
M3. Lynch/Frost Productionsはどうなったのですか?
TPの後、あまり成功しなかった番組をいくつか(“American Chronicles”、”On The Air”、”Hugh Hefner: Once Upon a Time”)製作した後、二人は円満に別れました。フロストは映画製作と作家としてのキャリアを築くことにしたのです。
M4. “Storyville”とは何ですか?
フロストが製作した映画です。ニュー・オーリンズの政治腐敗と殺人を題材にし、ジェームズ・スペイダーが出演しています。これはビデオとLDになっています。
M5. “The List of Seven”とは何ですか?
“The List of Seven”は、ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台にしたフロストの小説です。主人公のアーサー・コナン・ドイルは医者で、ひまな時間にインチキ霊媒師の正体を暴いています。ドイルは、とある降霊会に出かけます。そこでは何もかも見かけどおりではないのですが、実はそれが現実であったとわかります。調査を進めていく途中で、彼は謎めいた男ジャック・スパークスに出会い、この男が後にシャーロック・ホームズのモデルになります。
TPファンにとっては、フロストによるヘレナ・ブラヴァツキー(神智学の創始者で、ホワイト・ロッジのアイデアの元になっている)と「境界域の住人」の扱い方が面白いでしょう。
噂によると、この小説の映画化が進んでおり、フロストが脚本を書くそうです。
(訳注: 日本語版は『リスト・オブ・セブン(上/下)』(飛田野裕子訳・扶桑社ミステリー)
M6. “The Six Messiahs”とは何ですか?
フロストの小説で”The List of Seven”の続編です。これもアーサー・コナン・ドイルの冒険を描いていますが、今回彼はシャーロック・ホームズ・シリーズの執筆を終えてアメリカ合衆国を訪れています。
この本に何度も繰り返し登場するテーマの一つは、ドイルがホームズのファンから何度も、なぜホームズを殺したのか、将来復活することはあるのかと問い詰められることです。これは、フロスト自身が”The List of Seven”出版後に行ったツアー(講演会やサイン会など)で、TPファンから問い詰められたことへの露骨な批判になっています。
(訳注: 日本語版は『ドイルと、黒い塔の六人(上/下)』(飛田野裕子訳・扶桑社ミステリー)