3月3日(金)
[Episode 2001 – 9/30/90
脚本: マーク・フロスト
監督: デイヴィッド・リンチ]
早朝 (4:45? am)
-ルーム・サービスのウェイターがクーパーの部屋にホット・ミルクを持って来て、アンディからの電話を切り「うわさは聞いていますよ」と言う。
-巨人が現れる。
巨: 3つのことを言っておく。言ったことが実現したら、私を信じるか?
ク: 誰だ?
巨: 友人だと思いたまえ
ク: どこから来たんだ?
巨: {首を振る} その質問はこうだ……どこへ行ったのか?まず1つ、笑う袋の中に男がいる。
ク: 笑う袋に男が……
巨: 2番目、ふくろうは見かけとは違う。次に3番目、薬なしで男は指さす。
ク: どういう意味だ?
巨: 私に言えるのはこれだけだ。指輪をわたしなさい。今言ったことが現実になれば、その時に返す
{クーパーの指輪を取る} 我々は協力しに来たのだ
ク: 我々?
巨: 最後に言っておく。レオはハングリー・ホースで服役していた。手がかりはレオの家にある。君には医者の手当てが必要だ。
-ジェリー、ブラッキーにヘロインを渡す。
-オードリー、ベンから巧みに逃げる。ベン、ジェリーに呼ばれる: ベン兄さん、S-N-A-G だ
-クーパー、思い残したことをダイアンに話す。アンディ、ホーク、トルーマンが到着する。
7:45 am (ドク→クーパー)
-ルーシー、クーパーに経過を報告する。トルーマンとドク・ヘイワードがいる。
ク: ドク、意志の力によって肉体の回復力も飛躍的に向上するのだ。服を着たいので2~3時間ほどくれないか。
-シェリー、病院のベッドでボビーを想って泣く。
朝
-クーパー、ジャックの遺体が袋に包まれて運ばれていくのを見る。
ク: あの袋は笑っているか?
トルーマン: 笑う?
ルーシー: 何を笑うことがあるのよ
-ロネット、幻を見る。「ローラ……」
昼
-サラ、マディーにベス(マディーの母)が恋しくないか尋ねる。マディー、夢の
話をする(絨毯)。リーランド、”Mairzy Doats”を歌いながら現れる(白髪)。
Mairzy doats and dozy doats
and little lambzy divy.
A kiddly divy, too, wooden shoe?
Now if the words sounds queer,
and funny to your ear,
a little bit jumbled and jivy,
歌う:
Mares eat oats and does eats oats
and little lambs eat ivy.
A kid’ll eat ivy, too, wouldn’t you?
マディ、絨毯に何かを見る。[ヨーロッパの版のTVでは、“ボブ”の顔が浮かぶ]
-ベン、ジェリーにキャサリンとレオの様子を確認させる。
リーランド、Mairzy Doatsを歌いながら現れる。ベンとジェリー、踊る。
-クーパー、レオに何が起こったかを推理する。
ク: 保安官、シェリーのことは忘れてくれ、今だけでいいから
ホーク、ガソリンのにおいに気づく。アルバートと部下が到着する。アンディ、溝板に頭をぶつけてニワトリ歩きをする。板の下に、サークル印のブーツとコカイン。
アルバート: 歴史に残る法の執行だな
-「うーん、このパイは最高だな!」
-マディ、RRでドナと会い、ドナが欲しがっていたローラのサングラスを渡し、自分の眼鏡を壊す。昨夜四阿であったことは黙っておくことにする。
ド: あなたが髪を洗ったら、お日様は昇らなくなるかもね。そんなこといちいち気にしていられないわ。
ノーマ、「昨日」RRに届いた手紙をドナに渡す。「給食センターに注意しろ」丸太おばさん、ガムを噛む。
-アルバート、クーパーの傷を調べる。「犯人は右利き、身長は5フィート6インチから10インチ、3フィート以内から撃たれている」
クーパー、アルバートに対して地元のやり方を尊重するように言う。
ア: いいさ。広場で踊って干し草ですべって遊んでやる
アンディ、レオが88年の2月9日にはハングリー・ホースの刑務所にいたことを報告する。
アル: 犬小屋はどこだ?
-OAM、トルーマンに「靴を売る」(→ルーシー)ために事務所を訪れる。
-トルーマン、ジェームズを尋問する。クーパー、ジェームズにペンダントを渡
すように言う(ジェームズ、渡す)。
ク: ジャコビーか! 彼が関わっているとは思わなかった
今回は、運が良かった
-ドナ、ローラのサングラスをかけて事務所に現れ、留置場でジェームズと面会する。
ジ: いつから煙草を?
ド: 時々ね。いらいらした時なんかに
ジ: なんでいらいらしてるんだ?
ド: 煙草を吸うから
-クーパー、アンディとルーシーに『肉体の世界』のバックナンバー3年分をチェックして、テレサ・バンクスを探すよう指示する。
ク→ダ: ダイアン、『肉体の世界』のバックナンバーが届いたよ。ありがとう。司法への協力はありがたい。人の弱みにつけこむ企業が協力するときはなおさらだ。
-ヘイワード、ジャコビーの傷を調べる。ジャコビー、病院の食事に辟易している。クーパーとトルーマン到着。クーパー、ジャコビーにペンダントについて質問する。
ク: もう戯言や魔法トリックや心理学の何だかんだはごめんだ
ジャコビー、ローラが死んだ次の夜にレオを尾行したが見失い、ジェームズとドナを見かけてペンダントを掘り出したと話す。
ジ: ローラは、二重生活を送っていた。ローラの中に2人のローラがいた。だが、最後に会ったとき……ローラはある種の静けさをたたえていた。今にして思うと、あの時、彼女は死ぬつもりだったのではないかと……
ト: ローラが死にたがっていたと?
ク: ドクター、ローラは自殺したんじゃない。
ジ: ああ、わかっている。だが、殺されてもいいと思っていたのかもしれない。
ジャコビー、昨夜エンジン・オイルの焦げるにおいがしたと話す(正確には四阿のところ、ジャコビー(催眠療法中)→クーパー、2003)
-ボビー、シェリーを見舞い、花束を渡す
-クーパーとトルーマンとアルバート、病院にいるボビーを見つける。
アルバート: トルーマン保安官、さすが捜査の天才だな。まったくありがたい
廊下でエドに会う。
エド: クーパー捜査官、おれは運命なんて信じてなかった。いつも、自分の道は自分で切り開き、自分のことは自分でして、後始末も自分でやるのだと思って来た。
ア: 明るい農村物語か?
クーパー: アルバート、ぼくはエドと話してるんだ
トルーマン: アルバート、コーヒーおごってやる
エド、自分はノーマと交際していたのにネイディーンと結婚したこと、新婚旅行で誤って彼女の眼を撃ってしまったことを話す。ジェームズ、見舞いに来る。
クーパー、笑う袋を見る。アルバート、グレート・ノーザン・ホテルにチェックインする。
ク: ハリー、グレート・ノーザンでアルバートの用事が終わったら事務所に戻るよ。すべてを明らかにできそうだ
ト: 石とビンが要るか?
ク: チョークと黒板でいい
ト: ジェリー・ドーナツは?
ク: もちろんだ、ハリー
-医者→看護婦: おい、冗談じゃないぞ。あの食事は何とかしろ
病院の食事にむかついているピート。
-ノーマ、病室にシェリーを見舞い、その後ネイディーンを看病するエドを見る。
-ボビー、RRで父親と話をする。
父: ボビー、ちょっと話をしないか
ボ: いいよ
父: 昨夜、私は幻を見た。夢ではない……夢は、潜在意識がその日の出来事を並べただけのものだ。あの幻は山の小川のようにあざやかで澄み、心の中をはっきりと映し出していた。その中で、私は広い館のベランダにいた。豪勢な宮殿のようなところだ。輝く大理石が内側から光を放っているようだった。私はその場所を知っていた。自分の生まれ育ったところだったのだ。そこへ帰るのは初めてだった。自分の存在の奥深くの源と再会できたのだ。周囲を歩き回り、屋敷がきちんと手入れされていることに気づいて幸福になった。部屋はいくつも増築されていたが、もとの屋敷と申し分なく調和しており、違いはわからないほどだった。玄関の広間に戻ると、誰かがドアをノックした。我が子がそこに立っていたのだ。彼は幸せそうで、悩みもなく、調和と喜びの人生を歩んでいた。我々は天真爛漫に、愛情のこもった暖かい抱擁を交わした。この瞬間、我々は一つになった。そこで幻は消え、目が覚めた――おまえとおまえの将来に対する希望と信頼が心に満ちていた。これはおまえの幻だったのだ。おまえとこの話ができて、とても嬉しい。おまえには、最高の悦びだけを望んでいるよ
ボ: ありがとう、父さん
ボビー、感動している様子。ハンク、ブリッグスにパイの味を聞き、敬礼する。
-ノーマ、シェリーの様子をハンクに話さない。ボビー、レオを撃った男はハン
クだと気づく。
-クーパーとアルバート、2/23の出来事を話し合う。
ク: ローラ・パーマーは殺された夜に2人と会う約束をしていた。彼女は日記に書いている「今夜Jに会うのが心配」このJはジェームズ・ハーレーだ。心配だったのは、彼にもう会わないと言うつもりだったからだ。家から抜け出す前に、誰かがローラに電話している。
ア: おそらくそれはレオ・ジョンソンで、ジェームズの後で会うことになった。
ク: ローラはジェームズに会い、12:30まで一緒にいた。その後、スパークウッドと21号線の交差点でバイクを飛び降りて森へ行った。おそらくそこで、ジャック・ルノー、レオ・ジョンソン、ロネット・プラスキと会ったのだろう。ジャックの小屋へ行く道のとば口まで車で行き、そこから小屋まで道を登った。丸太おばさんはその音を聞いたんだ。さて、夜中の1時ごろにジャック・ルノーの小屋に着いた。そこでドラッグと酒をやる。ローラは縛られ、レオとジャックの両方と性交渉を持つ。鳥のウォルドがかごから放され、ローラを突つく。レオとジャックは喧嘩をする。ジャックは外へ出て行き、そこで気絶する。気がつくと、レオも女たちもいない。おそらくレオは一人でコルベットまで降りて行き、女たちは置き去りにしたのだろう。
ア: つまりそこには、第三の男がいた。
ク: 第三の男がいた証拠をホークが見つけた。ジャックの小屋の窓の外だ。
ア: 第三の男はローラとロネットを列車の車両に連れて行き、そこで2人を縛った。ローラは2度目、ロネットは初めて縛られた
ク: 犯人は鈍器でロネットを殴り気絶させた。犯人はローラの殺害に夢中で、ロネットが意識を取り戻して逃げたことに気づかなかった。
ア: 気づかなかったか、または気にしなかったかだ。男は土を小さく盛り、ローラのペンダントをその上に置いた。次に、Rという文字を書いた紙片を切り取り、左手の薬指の爪の下に入れた。テレサの爪の下にはTと書いた紙が入れられていた。そして、血でこう書いた――「火よ 我とともに歩め」
ク: ここで面白いことがある。その文字を書いた血液を調べたが、レオ、ジャック、ローラ、ロネット、この4人の誰とも一致しない。
ア: おそらく犯人が自分の血で書いたのだろう。ABマイナス、珍しい血液型だ。ホークが車両の5マイル先で見つけたぼろきれに、同じ血液型の血が大量についていた。そのそばには、紙くずもあった。
ク: それも犯人が残したのかもしれない。ワシントンDCに送って調べてもらっている。
{アンディ、泣く}
ア: わかるよアンディ、ああもっともだとも。涙、涙の物語だよな
アンディ: アルバート・ローゼンフェルト。トルーマン保安官や他の皆の悪口を言うんじゃない。黙っていろ! {出て行く}
ク: ローラ・パーマーは死んだ。ジャク・ルノーも死んだ。ロネット・プラスキとレオ・ジョンソンは昏睡状態。鳥のウォルドも死んだ。残ったのは第三の男だけだ。
-トルーマン、ピートを車で送る
ピ: 煙を吸い込むってのはひどいもんだな。バスの排気孔に口を貼り付けられたみたいだよ。
ジョシー、シアトルに行くというメモを残している。3ヶ月ごとにショッピン
グに行っているのだ。アジア系の男(ジョナサン)がジョシーに電話をかけ、その
後香港にコレクトコールをかける。
-ベンとジェリー、ハンクに会う。ハンク、キャサリンを製材所に行かせ、レオ
を撃ったことを保証する。
ハンク: 薪割をしてたぜ
ジェリー: 薪割? 部屋の中でか?
ハ: レオならやりかねん
ジ: ちょっと待て。薪割だと? 部屋の中で?!
ハ: レオだし
放火の罪をキャサリンとレオに着せることにする。
ベン: ハンク、考えるのはおれたちの役目だ。おまえは手足になっていればいい。我々が命令するまでは何もするな
-オードリー、ブラッキーにオーナーを拒否したことを怒られる。
-アンドリュー、キャサリンを助ける (キャサリン→ピート、2014)
夜
-ドナ、ノーマに電話をかけ、ローラが担当していた食事のボランティアを引き
継ぐと告げる。
車はRRのステーション・ワゴンを使うことにする。
-ヘイワード家の夕食会で、ガースティンがピアノを弾きハリエットは詩を朗読
する。
「それはローラ
暗い森で光り輝く
彼女を見た
その微笑みを
我ら泣き
彼女は笑う
我らの悲しみの中で
彼女は踊る
それはローラ
我が夢の中の
それはローラ
その輝ける生命
彼女の微笑みが告げる
泣いても良いのだと
森は我らの悲しみ
踊りは彼女の呼び声
それはローラ
別れの接吻をくれたローラ」
ドナ、傍観している。リーランド、”Get Happy”を歌い倒れる。
11:55 pm (クーパー→ダイアン)
-クーパー、ベッドに入る。 ク→ダ: とても疲れた。長時間活動する人間には、一定期間の休息が必要なのだ。朝鮮戦争で米軍が行った実験では、眠らないと精神に異常をきたすことがわかった。ぼくもこの3日間、忙しくてろくに寝ていない。
-オードリー、クーパーに祈る。
-巨人が戻って来る。
巨: 起こしてすまない
ク: これは夢じゃない
巨: 言い忘れたことがある
ク: 笑う袋は本当だった
巨: 私の言うことに間違いはない。しゃべらないで聞きなさい
ク: 君を信じよう
巨: 答を一度に探してはいけない。石を1つずつ敷き詰めて、道を作れ。第三の男を見たのは1人だけだ。他の3人も見ているが実体は見ていない。君も知っているその1人が、まもなく口を開くだろう。もう一つ――君は何か忘れている
ク: 何だ?
{緑色の光がクーパーの中に入る。闇の中、1人横たわり、瞬きをするクーパー。}
-ロネット、幻を見る。車両、“ボブ”とローラの死体、小さな盛り土。歯を鳴らし走る“ボブ”。叫ぶローラ。叩き付ける“ボブ”。死んだローラ。だはは笑いをする“ボブ”。