Wire in the Blood Special – Prayer of the Bone

Wire in the Blood: Prayer of the Bone Wire in the Blood

通算20話「クリムゾンの祈り」
米国テキサス州で、帰還兵が妻子惨殺の容疑で起訴される。弁護側がPTSDを主張したため、かつて英国派遣中に面接を行ったトニー・ヒルがテキサスへ招かれて鑑定を行うことになった。

ワイヤー・イン・ザ・ブラッド アナザー クリムゾンの祈り

  • 脚本:Patrick Harbinson
  • 監督:Declan O’Dwyer
  • 初回放映:2008-01-07

米国テキサス州ルーサー郡――空軍兵士のダリアス・グレーディが、妻ローレンと幼い息子ジェイク、娘ルーシーを殺害した容疑で起訴される。ダリアスにはPTSDが疑われたため、英国から精神科医のトニー・ヒルが招かれて面接を行うことになった。ダリアスは英国の基地に派遣されていた時に性犯罪を起こし、その時にトニーが面接していたのだった。弁護側はそれを「先入観がある」と言って反対するが、判事はトニーの証言を認める。

担当する検事補のジュリー・ライスは、テキサスでは珍しい死刑反対派。弁護人のレイ・デコシオのそばには南部裁判官連盟のアニタ・アディソンの姿があった。メディア対応などで協力しているという。

トニーは病院での尋問ビデオや報告書などの資料を確認し、被害者の墓や事件現場のアパートを訪れる。次にダリアス本人と面談。その後、夜中に報告書を作成しているとアディソンが訪れ「ダリアスが自殺を図ったが一命をとりとめた」と告げる。面接した時にダリアスは激昂して机を倒していたが、その時にトニーのペンを拾って尖らせ、首を刺したのだ。

トニーは地方検事のボーゴスから、ダリアスには麻薬使用の前歴があると聞かされる。だがアディソンによると彼は無実。ダリアスはイラク行きと引き換えに実刑を免れていたが、派兵中に保安官リー・ブリルが偽証していたことが明らかになったという。

ブリルは現在、郊外でヘビの飼育と私立探偵をしていた。ダリアスは事件前にブリルに会いに来て、ローレンの浮気を疑っていたという。ローレンは美人コンテストでの優勝歴があり、横恋慕する男も少なくなかった。

トニーは病院でダリアスからもう一度話を聞き、さらに検死医に事情を聞く。ジェイクはほぼ即死だったが、ルーシーは時間をかけて殺されていた。ルーシーの肺からは繊維が検出されており、シャツで口をふさいだか、あるいは抱きしめていたものと思われた。また、ローレンはナイフの柄を挿入されていた。

ダリアスの公判が始まり、トニーはPTSDを否定する証言を行う。PTSDの患者はトラウマになった出来事を思い出すことを恐れ、さまざまな症状を見せるが、ダリアスにはそれが見られない。自殺未遂の原因は怒りと自己嫌悪と思われるが、PTSDの症状とは異なる。弁護人はトニー自身の病歴を持ち出し、証人としての適格性に疑問を呈する。トニーは不規則発言を繰り返して退廷を命じられ、証言も排除されてしまう。ライスは担当を降ろされ、地方検事のボーゴスが担当することになった。

ブリルがトニーを訪ね、ダリアス以外の犯人がいたという可能性を口にする。ルーサー郡はメキシコから入って来る麻薬の入口で、多くの有力者が関わっている。ブリルは適当な「犯人」を挙げるが売人は見逃す。弁護士はそれで仕事を増やし、検察もグル。そういう腐敗した構造ができあがっていた。ダリアスはそれについて何かを知り、彼の口を塞ぎたい者がいるのではないか――死刑反対派のライスが担当を外されたのもそのためではないかという。検事は再選を狙い、人気取りのために死刑を求刑する可能性が高かった。

だが翌朝、リー・ブリルは飼育していたヘビに襲われ、遺体で発見される。

トニーは弁護士とアディソンに、ダリアスが無実だという可能性を話し、協力を申し出る。ローレンの刺し傷は浅く、犯人は遊ぶように少しずつ刺した後、正確に頸動脈を切っていた。また、体液の残るレイプではなくナイフの柄を挿入している。いずれもダリアスの行動様式とは異なっていた。だがデコシオはダリアスの犯行を信じて協力を断る。

トニーはアディソンとバーで飲みながら話した後、車で帰る途中警察に止められ、車内から薬物が発見される。保安官はそれを不問にするが、できるだけ早く帰国するよう言い渡す。

検察と弁護人はそれぞれに最終弁論を行い、検事は法廷でローレンらの家族ビデオを再生する。そこではルーシーが人形を抱き「クレア」と呼んでいた。ダリアスには有罪の評決が下される。

トニーは「南部裁判官連盟」というアディソンの身元が嘘であることを知る。デコシオはブリルの時代からダリアスを含む若者たちの弁護を引き受けていたが、アディソンが話した「イラク行きと引き換えに……」という話はどうも嘘らしい。

トニーはもう一度ダリアスと面会し、ダリアスは無実だと確信する。自白は彼が犯人と思い込んだ弁護士に誘導されたものであり、イラクではなく家族を殺されたことでPTSDを発症したのではないか。ダリアスは「エア」を求めるルーシーの言葉を思い出すが、空気(エア)ではなく人形の「クレア」のことだった。

トニーはデコシオに頼んでグレーディ家の遺品を確認する。人形の中に隠されていたテープを見つけたところでアディソンが銃を持って現れテープを要求。だがデコシオがアディソンを撃ち、その銃をトニーに向ける。ローレンの浮気相手であり、かつ3人を惨殺したのはデコシオだった。そしてダリアスを操り自分が犯人だと思い込ませたのだった。デコシオはテープを奪って逃げようとするが、外で待機していた保安官らに逮捕される。テープには、「もう来ないで」というローレンと彼女を脅すデコシオの声が録音されていた。

アディソンの正体は、麻薬関連を調べているFBI捜査官。だが事件は結局、ローレンへの執着から起きた犯行で、デコシオはまだ罪を認めていない。


テキサス出張編。何だか空気感が違う!と思ってしまった。暑そうだし湿度低そう。でも足を冷やす前にジャケットを脱いではどうかと思った。アメ車の右側に乗ってしまうのはお約束。

ページの上の方にあるリンクはAmazonの「レンタル落ち」版だが、ジャケットが閲覧注意。いつにも増して猟奇的なのだが、これ内容と全然関係ないから。

さてこの特別エピソード、最初に見た時は「単純な事件だな」という印象だった。トニーはPTSDの診断で呼ばれたわけだが、証言は排除されてしまうし、結局は真犯人じゃなかったのでPTSDであってもなくても事件とは関係がない。犯人の動機も、わりと古典的な男女問題だった。

だがあらすじを書いてみると、思ったより複雑な話で驚く。え、こんな話出てきてたっけ?という、初見ではあまり印象に残っていなかった麻薬の話などが、意外に詳しく語られていた。おそらく、重要なことを語ったブリルがあっさりと殺されてしまったせいで、印象に残らなかったのだろう。麻薬取引の話、もう少し膨らませても良かったのではないだろうか。

売人・弁護士・検察が形成する腐敗のトライアングル。再選を狙い、人気取りのために死刑を求刑する検事。そういった構造に挑むのが、アニタ・アディソンとジュリー・ライスという2人の女性である点は興味深い。アディソンは黒人女性、ライスはハイブリッド車に乗り死刑に反対するという、今風に言うと「ウォーク(Woke)」な人物として描かれる。彼女たちは警察や検察という男性社会の中での異分子であり、不正の仲間として利益を得られることもないのだろう。

それにしてもアニタさん、何発も撃たれたと思ったらラストでは腕を吊っただけで登場。防弾ベストでも着ていたのだろうか。でもデコシオが銃を抜いた所で気づかないと!

アメリカ編なので脚本家は他所から招いたのかと思ったら、今回担当のPatrick Harbinson氏はシリーズ1話から関わっている大ベテランさんだった。英米両国のドラマでご活躍らしい。

2025-04-03

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