通算111話「深い海の底」
NY州の上院議員が失踪。党の内外に政敵がおり、最近スタッフを解雇したばかり。また推進していた石油の掘削計画にもさまざまな問題が生じていた。
WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え! 5thシーズン 後半
- 脚本：Anthony LaPaglia, Byron Balasco
- 原案：Anthony LaPaglia
- 監督：Paul McCrane
- 初回放映：2007-03-11
失踪者：パトリシア・ミルズ
上院議員パトリシア・ミルズが失踪し、父親と夫が記者会見を開く。議員は「緊急の会議でワシントンに戻る」と言っていたが、会議はなく予約した飛行機にも搭乗していなかった。パトリシアは共和党だが、銃所持と妊娠中絶の両方に賛成しているため、政敵は党の内外両方にいる。
夫のアレン・クレインは、議員を恨んでいる人物として元主席補佐のファジル・ムザーリの名前を挙げる。ムザーリはマスコミに愚痴を漏らしたため解雇されたばかり。サムとエレナはムザーリに事情を聞こうとするが、ムザーリは自宅で首をつって死亡していた。だがその後、他殺と判明。
パトリシアのパソコンには、ミルウォーキー海淵の石油掘削計画についての資料が大量に保存されていた。資料を執筆したアロー博士によると、石油掘削を行うウォリック社は書類の体裁だけ整えて現場では十分な安全措置を取っていないため、深刻な環境汚染が起きる危険があるとのこと。パトリシアは掘削を進める立場だったが、その話を聞いて考えを変えたように見えた。だがウォリック社はパトリシア議員の大口献金者でもある。
パトリシアの携帯電話が最後に使われたのは港の近くで、そこには父親の所有するクルーズ船が係留されていた。近くで潜水していた整備士のサラは数日前、船上で彼女が夫と口論するところを見ていた。マローンは、そこでアレンがパトリシアを殺したと確信する。
アレンのアリバイは確認されていたが、詳しく確認してみると彼女が消息を絶った前後に数時間の空白があり、犯行は可能だった。父親のヘイデン・ミルズは大人しいアレンをバカにしており、パトリシアが結婚したのはその方が選挙で有利だからにすぎないと言う。
その後、パトリシアの遺体が発見される。刺し傷はあるが死因は溺死。証拠は海水で洗い流されていた。
ヘイデンは、パトリシアが掘削に反対票を投じることを知っていたと認める。パトリシアはその件で父親とも口論していた。ヘイデンはウォリック社と取引し、娘の賛成票と引き換えに掘削の仕事を受けようとしていたのだ。
パトリシアが殺害されたため、事件の担当は失踪人担当から凶悪犯罪担当に移ることになり、マローンは報告書をまとめるよう命じられる。
事件の前にアレンとレスリー・ウォリックが接触していたことがわかり、マローンは、アレンが「妻を説得して賛成票を投じさせる」とウォリックに約束したのだろうと思う。だが説得は失敗し、口論になったところをサラに見られた。その後、妻をひそかに誘い出して殺害し、疑いをそらすためにムザーリを殺し自殺に見せかけたのだろう。
パトリシアの葬儀で、マローンはアレンにその仮説を聞かせる。証拠はないと余裕を見せるアレンを尻目に、マローンはヘイデンに近付き何事かを囁いた。
ジャック・マローン役のアンソニー・ラパリアが脚本に参加。ちょっと変わった構成だが面白い！今のところ今シーズンベストエピではないかと思う。
でも厳密には失踪事件じゃないんだよね。何しろパトリシアが殺害されて海に投棄される所から始まっているので……。マローンのチームはいつも通り失踪事件として捜査を開始するが、失踪ではなく殺人事件であることを視聴者はもう知ってしまっている。しかし犯人の姿は見えないので、この人かな？と思いつつ話が進んで行く。ラストも曖昧。
失踪者が上院議員というhigh-profileな事件というのも珍しいし、失踪者（被害者）の父親が「ザ・ワイヤー」のロールズ警視で夫が「CSI」のヴァルタン刑事というのが変な感じ。えっ犯人はヴァルタン、じゃなくてアレンさんですか！？
確かに、冒頭のパトリシアの表情を見ると、アレンくらいしかいないよねと思う。しかし甲板で殺害って、誰かに見られたらどうするんだろうと思った（その前に口論した時はサラに見られていた）。沖に出てから行動したのだろうか。それにしても、かなりの出血量だったし、FBIの鑑識が調べればかなりの証拠が出そうな気がする。で、船が犯行現場となると犯行が可能な人物も、おそらくはアレンしかいないだろう。
それにしても、妻だけでなくムザーリも殺害し、しかも自殺に見せかける工作をするなんて、アレンさん実は殺し屋だったりする？
使用楽曲
- Gold by Sol Seppy
2025-07-11
