通算119話「ロスト・ボーイ」
セレブ夫妻がスーダンから養子に迎えた幼い男児が夜中に子ども部屋から姿を消す。夫妻は熱烈なファンからストーキングされたりパパラッチにつけ回されることがあった。
Without a Trace/FBI失踪者を追え! シーズン6
- 脚本:Byron Balasco, Greg Walker
- 監督:John Polson
- 初回放映:2007-09-27
失踪者:イラジャ・ダグラス
クリストファー・ダグラスと妻のケイト・ダグラスがスーダンから迎えた養子のイライジャが夜中に子ども部屋から連れ去られる。ダグラス家はこの3人にクリストファーの連れ子ジェイを加えた4人家族。犯行当日はクリストファーの帰宅が遅く、子どもたちを起こさないよう警報装置は切られていた。その後、家政婦が鍵を強奪されていたことがわかる。
クリストファーはホテルとクラブを経営する裕福な実業家、ケイトは元モデルという華やかなセレブカップルであるため、ファンがストーカー化することがあり、またイライジャを迎えてからジェイが「自分は後回しだ」と不満に思ってパパラッチに情報を流していたことなどがわかるが、いずれも誘拐とは無関係とわかる。
クリストファーは、数か月前にイライジャの実父と名乗るアイザック・ガラングという男性から手紙を受け取っていたことを明かす。クリストファーは弁護士に任せていたが、アイザックは直接会いに来た。クリストファーはその時、男に5万ドル払ったという。
アイザックはスーダン出身で、人民解放軍の元兵士。養子縁組機関で通訳を務め、同じような詐欺事件を起こしていた。
一方、別の証拠からやはりスーダン出身のルオル・ニミエリという少年の存在が浮上。住んでいた村で住民が虐殺されたという経歴の持ち主で、アイザックとは親交があった。
ケイトは文化センターでルオルに出会い、言葉を交わしたことを思い出す。どうやらその時、ルオルはケイトの鍵を探しており、その時に見つけられなかったので家政婦を襲って鍵を強奪したようだ。
ルオルと連絡を取り合っていたピーターという少年に事情を聞いたところ、ピーターは、文化センターでルオルから「隠してほしい」と、血の付いたナイフを渡されたことを認める。ルオルは逃亡のための資金を欲しがっていた。
ピーターからアイザックの住所を聞き出して現場へ踏み込むと、アイザックはそこで刺されて死亡していた。現場には書きかけの脅迫状もあった。
ルオルからピーターに連絡があったことがわかり、指定された場所へ行くと、ルオルが現れる。ルオルはそこで逮捕されて連行される。ルオルはアイザックから「イライジャを親元に戻す」と聞かされて協力したが、アイザックの目的が身代金であることを知って争い、アイザックを刺してしまったという。イライジャの居場所は「あの子の母親にだけ話す」と言い、彼が言ったとおりの場所でイライジャは無事に発見される。
失踪者:アンジェラ・リヒター
ダイナーで働くウェイトレスのアンジェラが失踪。ジェニファー・ロングが拉致された事件で、実行犯のフォスターがアンジェラの写真を所持していた。ヴィヴィアンは結局アンジェラには会えず伝言を残したが、その後すぐに連絡が取れなくなり、ダイナーも欠勤していた。同僚の女性は、フォスターと一緒にいた「ジョー」という男がアンジェラを気に入っていた様子だったことを思い出す。
マローンはジェニファーに男の似顔絵を見せる。ジェニファーは、拉致された直後、その男に殴られたことを思い出す。
その共犯者はジョー・ジュスティと判明。ヴィヴィアンはジュスティが借りていた物件を突き止めて地元警察とともに踏み込むが、その家はすでにもぬけの殻。家屋は厳重に管理されており、2人組よりももっと大がかりな組織による犯行という可能性が考えられた。
前シーズンでダイナーのウェイトレスが拉致されていたが、今回のエピソードはその「2週間後」という設定らしい。捜査に入るまでちょっと長すぎない?
この事件はヴィヴィアンが担当するようだが、今回も途中で終っており、解決は次回以降に持ち越しとなってしまった。大がかりな組織的犯行だと思ったのは、どうやらその通りだったようだ。でも、こういう人身売買組織みたいなのはWaTらしくない気がする。「事件の真相は失踪者の人生の中にある」というコンセプトで人間ドラマを描くのがWaTではなかったのか。
メインの事件はセレブ夫妻のもとから養子の男の子が誘拐されるというもの。スーダンは2025年の今も紛争が絶えない地域で、暴力と飢餓は深刻な問題となっている。スーダンの内戦で家や家族を失った子どもたちは「ロストボーイズ・ロストガールズ」と呼ばれた。エピソードタイトルはそこから来ているのだろう。Boyが単数なので、ルオルを指しているのだろうか。
ジャック・マローンがストーカーの「秘密の部屋」を発見する場面、通風孔の中へ入って行く場面が何だか面白かった。でもセレブの住居にしては外側が汚くない?
前シーズンは捜査官たちの個人ドラマがイマイチだったので、今シーズンはどうなるのだろうと少々不安。途中で脚本家ストライキが始まり、話数も少ないシーズンだが、ともあれ最後まで見届けようと思う。
2025-07-30