通算121話「拷問」
病院の不正を追及していたTVレポーターが失踪。報道をめぐるトラブルかと思われたが、海外で死亡した息子に関する情報を失踪直前に得ていたことがわかる。
Without a Trace/FBI失踪者を追え! シーズン6
- 脚本:Greg Walker
- 監督:Greg Walker
- 初回放映:2007-10-11
失踪者:クリスティーン・ウッズ
TVレポーターのクリスティーン・ウッズが失踪。現在彼女は病院の大規模不正を取材しており、それが原因で病院は閉院することになっていた。病院がなくなることで彼女は各方面から恨まれていると思われた。だが直前にクリスティンに突撃取材されて口論していた医師は、実は彼女の情報源で、周囲に疑われないように騒ぎを演じていたものとわかる。
クリスティーンの息子デイヴィスは1年前にグァテマラで死亡していたが、失踪直前、彼女はフアンという若者から「息子は生きており収容所に入れられている」という情報提供を受けていた。息子は現地でボランティアをしていたが事故死し、遺体は見つかっていなかった。その後、デイヴィスの恋人だったテレサ・ソリスがクリスティーンを頼って渡米し、助手という名目で同居していた。
グァテマラで、デイヴィスはクリスティーンの恋人だったリチャード・グリフィスと麻薬の生産をめぐって口論したことがあった。リチャードはCIAの職員で、テレサはその口論がもとでデイヴィスは収監されたのではないかと疑っていた。
フアンは収容所で拷問を受けた後、アメリカで拷問被害者のセラピーを受けていた。フアンは収容所で彼を拷問したオルテガという男が、やはり米国に来ており接触を受けたと話していた。オルテガの住むホテルを調べると、クリスティーンがオルテガに銃を突き付けているところが防犯カメラに映っていた。
オルテガがリチャード・グリフィスに連絡を取っていたことがわかり、事情を聞くと、クリスティーンがヂヴィスの件でグリフィスを訪ねて来たので、オルテガの居場所を教えたという。
オルテガはクリスティーンの車を運転しているところを発見され連行される。オルテガはクリスティーンから銃を突きつけられて息子のことを聞かれたが、自分は何も知らないと突っぱね、隙を見て銃を奪うとクリスティーンを車から降ろし自分は逃げただけだという。
グリフィスが現れ、オルテガを連行して尋問すると言う。マローンは強引に同行して尋問(拷問)に立ち会う。
マローンが不在の間、部下たちはオルテガがクリスティーンを降ろした場所を割り出し、目撃情報を集める。該当する時刻に近くの公衆電話kらテレサの携帯電話に通話があったことがわかり、改めて事情を聞いてみると、彼女はようやく当日のことを話した。
クリスティーンから電話を受けてテレサが迎えに行くと、彼女は「オルテガは何も知らなかった」と言う。そこで詰問されたテレサは告白する――テレサは政治組織の一員で、逮捕され密告を強要された。過酷な拷問と虐待に耐えかね、政治組織とは無関係だったデイヴィスの名前を告げたのだ。米国人なので逮捕はされないだろうと思ってのことだったが、結局デイヴィスはフアンと同じ収容所に入れられ、傷口から感染症を起こして獄死してしまった。クリスティーンは事実を公表しようとするが、テレサは送還を恐れて止めようとし、咄嗟に殺害してしまったのだ。
クリスティーンの遺体は供述どおり、川底から発見される。
原題の “Res Ipsa” は直訳すると「物そのもの」という意味で、法律の世界では「res ipsa loquitur(事実推定則)」という言葉に使用される。ある事実そのものが、その原因となる別の事実を証明するということ。
このエピソードに当てはめると、どれが何の事実だろう?
オルテガがクリスティーンの車を運転していたことだろうか。失踪者の車を、荷物を乗せたまま運転していたのだから、それはつまりオルテガがクリスティーンを殺して車を奪ったということを証明する?うーん、どうだろう。
もちろん「推定」なので、反対の証明があれば崩れる話。クリスティーンが生きてテレサに電話していることがわかったので、これが反証になるだろう。テレサがクリスティーンを殺害する様子は、組織の一員として訓練を受けた「プロ」であることを思わせた。
それより気になったのはマローンの様子だ。CIAのグリフィスに強引に同行していたが、前シーズンの「勝ち続けること」でネイルガンの拷問を受けたトラウマがフラッシュバックしているようだった。前回の暴力沙汰も関連しているのだろうか。今シーズンのストーリーアークは、ヴィヴィアンが担当する人身売買組織の捜査と「ジャック・マローンと暴力」の二本立てになるのかもしれない。いや……二本だけで済めばよいが……。
2025-08-05