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CSI - Season 13, Episode 11

#284 Dead Air


事件概要

テレサ・シェー、ギャレット・ハワード

ニュース放送局で生放送中に停電が発生。20秒後に自家発電に切り替わって電力が戻るが、その直後、アンカーウーマンのテレサ・シェーが死亡する。停電の暗闇の中で何者かがテレサの後頭部を刺していたのだ。現場に到着したラッセルは、別の殺人事件の現場にいるフィンをはじめ全員を招集して捜査を開始する。

停電発生時、スタジオにいたのはテレサだけで、プロデューサーのポールセンらはコントロールルームにいた。テレサの近くにいたのは、気象予報担当のレイニー・デイズ、アシスタントのチャド、技術者のデニーの3名だったため、ラッセルらは個別に事情を聞く。

レイニーによると、テレサは気難しい性格で嫌われていたが、最も動機があるのは現場レポーターのエラだという。だがエラは事件当時現場から中継しており、犯行は不可能。チャドは停電時、テレサに言われてコーヒーを買っていた。デニーの作業場にも不審な点は見つからない。

停電の原因は、変圧器が爆破されたことだとわかる。現場には携帯電話を使った起爆装置があり、犯人は計画的に停電を起こして殺害に及んだものと思われた。

レイニーはお色気担当の「お天気お姉さん」を演じているが、実は気象学と大気科学の学位を持つ秀才。彼女はエラの映像を見て「これは生中継ではなく録画だ」と見抜く。「中継」画像でエラは「そちらからの音声が聞こえないので、わかっていることをお伝えします」と言い、会話をしていない。また空や月の様子が生放送当時のものとは異なっているのだ。

エラは録画を流したことを認めるが、それは職場の同僚と不倫をしているため、逢引の時間を稼ぎたかったからだと主張、「報道に携わる者として、そんなことは絶対にしない」と言う。彼女によると、テレサは最近、何か事件を追っていたらしい。

テレサの自宅を調べると、そこには放火事件に関する資料が山のように積み上げられていた。どうやら10年以上前に起きた連続放火事件を調べていたらしい。サラが速記のメモを解読したところ、その放火事件にはダイナマイトとワックスペーパーが使われていたとわかる。それは今回、変圧器の爆破に使われた手口と同じだった。さらに、事件に関わる人物として、元軍人で爆博物に詳しい「GH」という人物が浮上。それを聞いて、フィンはテレサ事件に呼び出される前にいた現場の事件を思い出す。それも火災現場で、被害者は元軍人で現在は火災の啓もう活動をしているギャレット・ハワードだった。

モルグに運ばれていたハワードの遺体を調べると、死因は火災ではなく、テレサと同じ手口で首を刺されていたことが判明。傷口には同じ緑色の付着物もあった。

その緑色の物質がデニーが使っている工具の研磨剤であり、またハワードとデニーが戦友であったこともわかる。だが、マークされていることに気づいたデニーは局の外へ逃走、そこで報道陣に取り囲まれ、「テレサを殺してはいない。彼女を愛していた。刑務所は絶対にイヤだ」と言い、ナイフで自殺してしまう。

テレサの自宅から検出したDNA証拠から、デニーとテレサが本当に恋人同士だったらしいとわかる。ラッセルは事件当時の様子を再現し、誰に犯行が可能だったか検証することを思いつく。

テレサ役のサラがスタジオに着席。フィン、グレッグ、モーガンがそれぞれレイニー、チャド、デニーの配置に着き、20秒間で彼らと同じ行動を取る。その結果、20秒でスタジオまでたどり着いて犯行に及ぶことは3人とも不可能であると判明。それが可能だったのは、スタジオに隣接するコントロールルームにいたポールセンだけだった。

テレサはデニーを通じて、ポールセンとハワードの間に何か秘密があるらしいと知った。テレサ自身、若いライバルにアンカーの地位を脅かされているため、保身のためにポールセンの弱みを握っておこうと思ったようだ。そして放火事件に行き着く。ポールセンはハワードと組んで事件を起こし、常に現場に一番乗りをしていたのだ。

テレサに知られたポールセンは、ハワードの協力を得て停電を起こし、ハワード本人も口封じのために殺害し、停電の暗闇に乗じてテレサを殺害したのだった。変圧器の破片からはポールセンの部分指紋が検出され、犯行が裏付けられた。


感想

停電の暗闇の中、20秒間という短時間の間に行われた犯行。その時誰がどこで何をしており、誰に犯行が可能だったのかという再現実験をもう少し早くやっていれば、デニーが死ぬことはなかったのに……という気がしてしょうがない。というか、最初の場面で「近くにいたのは3人だ」というポールセンの言葉をあっさり信じすぎでは? ポールセンだって容疑者なのだから。

それにしても大胆な犯行。事前にリハーサルくらいはしているだろうが、暗闇の中で(暗視ゴーグルでも使った?)テレサをさくっと殺害して誰にも気づかれず元の配置に戻る。犯行前後に何かに(誰かに)ぶつかるとか、動脈を切って大量に返り血を浴びるとか、誰かが懐中電灯をつけるとか、失敗する可能性はいくらでも考えられるのに。自家発電装置にも細工をしておけばもう少し時間を稼げたはずだが、それをしなかったのは20秒間で犯行を成功させる自信があったからなのだろうか。

自作自演の犯罪報道で名を挙げたポールセンだから、最高にミステリアスな現場にしたかったのかもしれない。そのポールセンの悪事を調べていたテレサも、報道記者としての正義感からではなく弱みをつかんで自分の地位を守ろうという動機だったとは……。

「お天気お姉さん」に甘んじつつも地道に頑張っていたレイニーが、ラストでようやく才能を認められた場面があったことで、後味が少し良くなったかな。

そしてラストでは、サラとの電話でグリッソムが声だけ出演。サラはフィンとの会話で、電話に出ないのはギルが「電話を切ってくれない」からだと語られる。こちらから切るのは悲しいのだと。遠距離別居婚もそろそろ限界?

Yoko (yoko221b) 2020-08-16