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CSI: Miami - Season 10, Episode 12

#225 Friendly Fire


事件概要

マシュー・ストーン殺害+銀行強盗

ハイテク企業ソラマージ社のCEO、マシュー・ストーンが自宅の屋上で射殺される。ソラマージ社はストーンが自宅のガレージから興した会社で、同社のスマートホンは一世を風靡する人気商品。ストーンはユーザーの間でカリスマ的な人気があったが、末期がんで余命いくばくもないとされていた。最近は薬の副作用で妄想を口にすることもあり、CEO代理のブラックバーンはストーンの言動を気にして盗聴器を仕掛けるほど。ソラマージ社は新作のスマホを発表したばかりだが、格差是正を叫ぶ活動家たちからは「強欲企業」と批判され、社屋の周囲はデモ隊があふれていた。

ストーンのスマホからは、死の直前に受信した「今がその時だ」というメールが発見される。そのメールは、デモ参加者のハイディ・テイラーから送られていたが、ハイディは「身に覚えがない」と否定。調べてみると、ハイディの携帯はウィルスに感染して乗っ取られていたとわかる。

マシューは屋上で1人でいた時に額を撃ち抜かれており、火薬の痕がないことから遠射と判断されていた。しかし、現場は見晴らしの良い場所で、どこから撃ったのか見当もつかない。秘密は銃弾にあった。ストーンの頭部から取り出した弾丸は、中にマイクロチップが埋め込まれ、小さな羽根で方向を制御する機能を備えた「スマート・ビュレット(知能化弾)」だったのだ。

カリーは「こんな弾丸を作れるのはマシュー・ストーンぐらいしかいないのではないか」と思うが、実はストーンには一緒に会社を興した盟友がいた。彼ラージ・アンダリはストーンとともにスマホを開発したが、株式上場の直前に「金には興味がない」と社を去っていた。

ストーンの遺言書では、ラージに多額の遺産が譲渡されることになっており、事件の2日前にラージが訪ねて来たこともわかっていた。ラージは、「誰も信頼できない」と神経質になっていたストーンに依頼され、秘密裡に遺言書を書き換えたことを認めるが事件への関与は否定する。

砕けた弾丸を組み立ててみると、ソラマージ社の刻印が入っていた。ブラックバーンは、知能化弾を開発していたことをしぶしぶ認める。ストーンは、3年前に弟が友軍の誤射によりイラクで死亡したことがきっかけで、「誤射のない銃」の開発を命じた。そして試作品の銃が2丁あったが、最近盗まれてしまったという。

そこへ銀行強盗事件発生の報せが入り、知能化弾が使われているらしいとわかり、ホレイショらは現場に急行。だが銀行を襲ったギャングは銃の暴発で死亡する。

調べてみると、設計上の不備があって暴発したことがわかる。しかし旋条痕を比べてみると、いずれもストーン殺害の銃弾とは一致せず。ブラックバーンは「試作品は2丁だけ」だというが、3丁目があったことになる。

銃を分析して最大射程や距離を割り出し、改めて射手のいた位置を突き止めてみると、そこに住んでいたのはラージ・アンダルだった。家宅捜査で3丁目の銃が発見され、ラージは逮捕される。

ラージは「ストーンに頼まれて撃った」と主張を変える。金は要らないと言ったものの、いつまでもそう言っているわけにもいかず、ストーンを訪ねて分け前を要求した。ストーンは「金がほしければ自分でつかめ。おれを撃て」と言い、その報酬としてラージに遺産を残したのだという。だが、なぜウィルスを使ってまでハイディを疑わせる必要があったのか。

改めてハイディに事情を聞いたところ、ハイディは「ストーンに抗議文を出して文書で返事をもらったことがある」とその手紙を渡す。内容は単なる定型文だったが、印刷されたロゴをよく調べると、磁気ストリップが隠されていた。解読してみたところ、ブラックバーンがライフルの欠陥を知りながら大量に生産して販売しようとしていたことがわかる。取引の日時などの情報もあったため、ホレイショらは現場に向かい、ブラックバーンを逮捕。

その後、ストーンのスマホから隠しファイルが発見される。ストーンはブラックバーンの悪事を告発しようとしたものの、「副作用による妄想」と信じてもらえないことを恐れて、このような手のこんだ事件をでっち上げたのだった。


感想

Apple Computer社を設立したスティーヴ・ジョブズがモデルかな? と思った今回のエピソード。じゃあラージはウォズニアック? というと、そうでもなさそうだけど。邪悪なCEO代理 Blackburn は Blackburry のもじりなのだろう。あの狙撃が「自殺」なのは何となくわかったし、弾道のトリックもネタバレ邦題のおかげで予想がついたので特に意外な展開ではなかった。

この「知能化弾」なるもの、最初はいささか現実味を欠いているように思ったのだが、公式ブログ(現在は削除)によると実際に研究は行われているとのこと。

どういう仕組みになっているのだろう。標的をロックオンしてセンサが動きを察知し、フィードバックして方向転換。その間も弾丸は高速で動き続けている。弾丸が途中で方向転換すればスピード(殺傷能力)は落ちるし、弾丸は消耗品なのにコスト的に割が合うのかな、とか色々考えてしまった。CSI:マイアミはこういう軍仕様のハイテクガジェットが好きだね。

最後はストーンのメッセージで美しくまとめ、ホレイショもカイルと Skype で連絡を取り合っていることがわかって良かった。しかしメッセ―ジが美しすぎて、「ちょっと待てよ」と言いたくなることも少々。

ストーンは、信用してもらうために、デイド署を信じて手のこんだ狂言とメッセージを仕込んだというが、首尾よく成功してブラックバーンの取引が阻止されたのはほんの幸運でしかない。ひとつ間違えば、未解決事件として闇に葬られていたかもしれないのだし、そうなってもストーン本人は死んでいるのでもうやり直しはできない。ラージが引き金を引く前にストーンが病気で死亡したら、あるいはハイディが手紙を捨てていたらどうなっていたのか。

ラージは親友に「自殺したい」と言われて協力してしまったわけだけれど、結局逮捕された。フロリダ州の法律は知らないけど、相続人が被相続人を殺したわけだから、相続できなくなるのではないかと思う。これもラージの「選択」の結果だ、といえばそうなのだけど。

今回は、刑事の資格を得たサマンサの現場デビューでもあった。でも初めて現場へ出るのに、あんな危険な所に連れて行ってはダメだよね、やはり。これはデルコの判断ミス。で、ウルフは自分が用意したプレゼントをデルコに渡して「これで仲直りしろよ」って、何だそれ。シーズン4を思い出させる展開だが、あの当時のナタリアのように、サマンサがどこぞのスパイだったりするのだろうか。ナバロ親子の件でも怪しかったしなぁ~。


使用楽曲

Yoko (yoko221b) 2014-05-05