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Law & Order - Season 6, Episode 5

#116 Hot Pursuit


事件概要

People v. Leslie Harlan (判事:Herman Mooney)

男女2人組による強盗殺人事件が連続して発生。2人組はまずナイトクラブを襲い、2人を射殺して現金を奪い女性マネージャーのヘレンを拉致。そこでヘレンの車を奪って酒屋に行き、店員を射殺していた。

クラブの付近で、彼らがヘレンの車を奪う前に乗り捨てた車が発見される。それも盗難車だったが、車内に落ちていたレシートから立ち寄り先がわかり、似顔絵が作成される。その後、ヘレンの車も発見されるが2人組の姿はなく、トランクにはヘレンの遺体があった。

車から検出された部分指紋をつなぎ合わせたところ、窃盗の前歴があり仮釈放中のレオン・トラップの物と一致し、目撃者もレオンの顔を確認する。トラップの友人のマーヴィスから元彼女の名前が判明し、その元彼女(服役中)から麻薬の売人が浮かび、売人の話からレオンに武器を売った商人がわかるが、そこでドラッグストア襲撃の報が入る。

ドラッグストアの件は別件とわかるが、カーティスはそこにあったクマのぬいぐるみから、マーヴィスがレオンと接触した可能性に思い至る。彼らは改めてマーヴィスとその恋人を取り調べ、レオンと共犯女性を酒屋で追い詰める。レオンはその場にいた客を人質に取ろうとしたが、酒屋の店主が彼を射殺し、女性は逮捕される。

その女性はレスリー・ハーランと名乗り「自分は半年前にコネティカットから誘拐されて強制的に従わされた」と主張する。

レスリーによると、彼女を誘拐したのはレオンと従兄弟のエディで、ハーラン夫妻は身代金を払ったがエディがそれをギャンブルの借金を清算するために使ってしまい、怒ったレオンはエディを殺し、レスリーを離さなかったのだという。レスリーは、自分はレオンに拘束されて逃げれば殺すと脅され、殴られ、レイプされたと主張。強盗に入った時も、自分の持っていた銃には弾が入っていなかったという。

マッコイとキンケイドはレスリーをオリヴェット医師と面接させ、どうすべきか話し合う。自分自身が何らかの暴力の被害者であり、それゆえに犯罪を犯したと主張する犯罪者は大勢いる。レスリーは仕事やゴルフで家にいない父親と支配的な母親の下で育ち、反抗的で過去の素行も悪かったことがわかり、きっかけは誘拐であったにしても、彼女自身が「犯行を楽しんだ」という側面も否定できなくなってくる。

ブリスコー刑事は過去の未解決事件を調べ、レオンとレスリーが他にも強盗事件を起こし、うちコネティカットの1件ではレスリー自身が発砲していたという証言記録を発見する。弁護人は「今回起訴されている事件とは無関係」という理由で排除を求めるが、判事はマッコイの主張を認めてコネティカットの件を証拠として採用。弁護人はあっさり引き下がるが、その後冒頭陳述で「レオンがレスリーに発砲させたのは、彼女に犯罪者としての自覚を植え付けて逃げられないようにするため」と主張するという戦術に出る。

マーヴィスはレオンとレスリーが親密だったことや、24時間監視されていたわけではないことを証言するが、弁護側はマーヴィス自身もレオンの暴力を受けていたことや、証言と引き換えに取引したことなどを証言で引き出していく。証言は、レスリーが高校時代に既婚の教師を誘惑したことにも及び、キンケイドは「レオンが死なず彼を強姦罪で起訴していれば、レスリーの過去のことは不問にしたはずなのに」と不満をもらす。

レスリーは自ら証言し、レオンがいかに暴力的に振る舞い自分を従わせてきたかを証言する。次に反対尋問が始まるが、そこでレスリーは、ナイトクラブのバーテンダーを「ウィリー」と呼ぶ。バーテンの名はウィリアム・サリヴァン。あだ名が「ウィリー」であることをなぜ知っているのか。

レスリーは誘拐される前にNYのクラブに通っており、今回の犯行現場になったクラブにも行った事があった。レオンに店の名前を教えたのは彼女だったのだ。

弁護人は取引を申し出る。話し合いの席でレスリーは「自分は悪くないのだから取引はしない」と主張し「たまには良いことをしたらどうなの!」と怒る母親と盛大に罵り合う。結局レスリーは取引を拒絶し、4件の殺人すべてで有罪の評決を受ける。


感想

誘拐されたはずが、誘拐犯と行動をともにして犯罪に加わる――とくれば、劇中でも言及されているパトリシア・ハースト事件が有名。ハーストは過激派組織SLAに誘拐され、その後組織とともに銀行を襲撃。逮捕された後に「自分は洗脳されただけ」と主張したが、結局は有罪の評決を受けている。

それに対して今回エピソードの事件は……というと、誘拐事件の実情を知っているのは、レスリー、レオン、エディの3人だけで、レスリー以外は2人とも死亡しているので何ともわからん。実はNYでクラブ通いをしていたレスリーがレオンと知り合い、狂言誘拐を演じたんじゃないかという疑惑をどうしても感じてしまうのだが、真相はもうわからないままなのだろう。バーテンのウィリーが生きていれば、事情を聞くこともできたのだろうが……。

しかし弁護側の戦術はすごい。レスリーが過去に1度、強盗事件で発砲した、という検察側に有利なはずの事実を鮮やかに反転させて見せた時は驚いた。その一方でマッコイの厳しい追求には少々反感を感じてしまう部分もあり、特にレスリーの過去の素行に関する尋問では、キンケイドの方に同調してしまったわ。

そんなわけで、被告人レスリーに胡散臭い物を感じつつ、検察側にもあまり感情を入れられず、評決の時には「どっちでもいいわ」という心境になってしまっていた。マッコイが「ウィリー」を聞き逃さなかったのはさすが、と思ったが、レスリーが口を滑らせることがなければ、どういう結果になっていただろう。

判例(詳細は未確認):

Yoko (yoko221b) 2011-09-04