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lao:s06:134_aftershock

Law & Order - Season 6, Episode 23

#134 Aftershock

  • 邦題:「余波」
  • 脚本:Janis Diamond
  • 原案:Michael S. Chernuchin, Janis Diamond
  • 監督:Martha Mitchell
  • 初回放映:1996-05-22

事件概要

事件:なし

凶悪犯ミッキー・スコットの死刑が決定し、マッコイ、キンケイド、ブリスコー、カーティスの4人はその執行に立ち会う。その後彼らは仕事を休み、思い思いの時間を過ごす。


感想

事件:なし。

このフレーズをよもや Law & Order シリーズのページで使うことになろうとは、まったく思ってもみなかった。シリーズ開始6年目にして初めて、「事件のない」エピソード。今まで、法廷場面がないとか、検事がほとんど登場しないエピはあったが、事件そのものが起きていないエピというのは初めてだ。「事件が主役」の L&O なのに、これでは「主役不在」ではないか!

このエピソードは、死刑執行の場面から始まる。

死刑判決といえば3話の「Savages(残酷な罰)」だが、ここで処刑されたのは別の人。3話の人は上訴して最高裁まで行きそうな感じだったので、まだ結論は出ていないのかもしれない。ここで処刑されたのは、今までのエピソードに出てきたわけではなく、ここでいきなり初登場だ。なので詳細は不明だが、どうやら何の罪もない被害者をレイプして惨殺した凶悪犯らしい。反省する様子をまったく見せず、死刑執行の時にも「さっさとやれ」と言い放つ。言ってみれば「死刑存置派なら大抵の人が納得しそうな凶悪犯」で、ある意味ベタな人物像と言えそうだ。

さて、死刑執行の場面となると、ギリギリのところで中止命令が来たり、実は冤罪の可能性が出てきたりするものだが、ここではそんなドラマのようなこともなく(え?)、死刑執行は滞りなく行われる。その後彼らは特別に休みを取り、思い思いの一日を過ごすことになる。この部分が今回のメインストーリー。

刑事たちは何せ殺人課なので、普段から「死」と向き合っているが、大抵は既に冷たくなったご遺体を見ているわけで、今まさに目の前で人が死んでいくというのは、それとは全く異なる異質な光景だったようだ。

ブリスコーは娘と会って話し、その後バーへ。禁酒中で、バーに行ってもクラブソーダしか飲んでいなかったのに、今回はとうとう酒に手を出してしまう。カーティスは公園で若い女性と出会い、何と彼女と浮気! 愛妻家で堅物のカーティス刑事にあるまじき振る舞いだが、自らが加担した死を目の当たりにするという経験は、何かそういう事を起こさせるものがあるのだろうか。

マッコイは仕事を片付けてからバーへ行き、そこで意気投合した男性に身の上話。主に父親の思い出話だ。マッコイの父親が警官だったことは以前にも何度か言及されていた。腕っぷしが強く、負け知らずで何でもできて、息子にとってはスーパーマン。ジャックがロースクールを出たことが何よりも自慢だった――という、しみじみする話だと思って聞いていたら、そんな良い話ばかりではなかった。時おり妻に暴力を振るっていたらしい。マッコイは「今でも父親が恐ろしい」と口にする。

キンケイドはロースクールのクラスを訪ねる。教授役は以前のシーズンでセクハラ海軍大佐だったレン・キャリオウだ(現在は「ブルー・ブラッド」でご隠居さんになっているはず)。キンケイドは明確に死刑反対の立場だっただけに、4人の中でいちばん、自分の立場について真剣に思い悩んでいる様子。

処刑に立ち会わなかったアダム・シフは記者会見でほんのちょっとだけ出演。ヴァン・ビューレン姐さんはいつもと変わらずお仕事。訪ねてきたキンケイド検事と食事をともにしながら「立ち会うことで何か導きが得られると思えば行ったけど……今の貴女の様子を見ると、行かなくて正解だったようね」と言う。この、きっぱりとプロフェッショナルに徹した所が頼もしい。警察の仕事は、犯人を捕らえる所までで、その後は自分の仕事ではない。その代わり、自分の責任範囲はきっちり押さえている――それがヴァン・ビューレンの役割だと思う。もちろん、個人として思うところはあるだろうが、それを言うのは自宅に帰ってからだ。

さて、こういう描写が来たので、これはキンケイド検事が辞表を出して終わるのかな……と思っていたら、最後の最後でまさかの展開に。禁酒の誓いを破って酔っ払ったブリスコー刑事を迎えに来て、車を運転して帰る途中、横からまともに車が突っ込み、キンケイド検事は即死……。

裏話を読むと、最初の予定では生死不明という結末になる予定だったが、ジル・ヘネシーが次シーズンの出演を断り「ゲスト出演もしない」ということになったため、ここで死亡という結末になったそうだ。あっけないが、そのぶん余韻を残すシーズンフィナーレになった。

……というわけで、クレア・キンケイドさんとはここでお別れ。亡くなって降板するのはマックス以来だよね……再登場の可能性がないのは残念だが、実はここで一命をとりとめ検死医に転職したという話も(嘘)。初登場から3年、最初のうちはあまり存在感がなかったが、最近は単独で訴追したり公判で尋問を担当したりするという「成長」が見られた所が良かった。それだけに名残惜しいが、今までありがとう。お疲れ様。

見終わってみて、このエピ自体は悪くなかったと思う。でも一般論として事件不在エピには反対かな、やっぱり。絶対やるなとは言わないが、5年に1度くらいにしてほしい。

Yoko (yoko221b) 2012-05-26

lao/s06/134_aftershock.txt · Last modified: 2020-04-19 by Yoko