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Law & Order - Season 6, Episode 15

#126 Encore


事件概要

People v. Michael Dobson (判事:Harold Kaiser)

セントラルパークで女性が襲われ、頭を殴られて死亡。目撃者によると犯人は黒髪のヒスパニックだったという。遺留品が手がかりになり、ルイス・クルズという容疑者が浮かぶ。ジョーイ・ジアボーンというギャングの下で働いている取り立て屋だった。

被害者の女性は当初身元不明だったが、その後、氏名はエミリー・ドブソンと判明。夫はブリスコーがかつて(最初の)妻殺しで逮捕したマイケル・ドブソンだった(シーズン5「Coma(妻の深き眠り)」)。

刑事たちはドブソンの周辺を調べるが、ドブソン夫妻の間には特に問題は見つからない。ドブソンはコメディクラブを売却して2人でレストランを開業し、エミリーは従業員からも常連客からも好かれていた。

ドブソン夫妻はお互いに保険をかけており、片方が死亡した場合は100万ドルを受け取ることになっていた。ドブソンは当初、死亡の他に火災や窃盗の保険もかけていたが現在は経済的な理由で解約。保険会社は火災・窃盗の方を残すように勧めたという。また、ドブソンがかつて所有していたコメディクラブがジアボーンと関連があったことがわかる。

犯行時、ドブソンは商談でサンフランシスコにおり、家とオフィス以外には電話もしていなかった。ただし、犯行の20分後に公衆電話から10秒だけの短い着信を受けていた。その通話はクレジットカードの不正使用によるもので、その後同じカードで、メキシコにいるルイス・クルズの母親に電話がかけられていた。刑事たちは、クルズがエミリーを殺してドブソンに報告を入れたのではないかと疑う。

肝心のクルズはメキシコへ逃亡していたが、ドブソンとのつながりや犯行20分後の通話などの状況証拠から、マッコイがゴーサインを出してドブソンは逮捕される。

マッコイはドブソンの妻になった女性が続けて殺されていることからパターンを確立しようとするが、弁護人は「陪審員に先入観を与える」と反対。判事は最初の妻の事件を持ち出すことを禁じる。

ドブソンは、自分はエミリーを愛していたと言い、「最初の妻との離婚を考えたのもエミリーのためだった」と主張する。当時彼女はコメディクラブのウェイトレス。それは最初の妻の殺人の動機になり得るが、その件を持ち出すことはできない。

ドブソンが別の女性を愛して妻を殺したのであれば、今回もそうかもしれない――と考え、ブリスコーとカーティスはドブソンの身辺を調べ直す。その結果、レストランの従業員であるマーガレット・ナッシュが現在の恋人らしいとわかる。ナッシュは「マイケルは私のために離婚しようとしていたので殺す必要はない」と言うが、実際に離婚弁護士と話した形跡はなかった。ドブソンは第1級故殺での取引を要求するが、マッコイの「事実を語れ」という言葉に真剣に答えなかったため、マッコイは取引を拒絶する。

そこへ、ルイス・クルズが逮捕されたという一報が入る。クルズは、ドブソンに1万ドルで雇われてエミリーを殺したことを認める。

ドブソンは1万ドルをクルズの私書箱に送り、クルズは期間を置いて回収するつもりだった。だが、私書箱の管理人からクルズの恋人宛に「30日以内に本人が取りに来ないと返送する」という連絡があったため、戻って来て逮捕されたのだ。

ブリスコーは私書箱から現金を回収するが、検出された指紋はドブソンではなくジアボーンの物。その紙幣がジアボーンからドブソンの手に渡ったという可能性を考えてさらに調べを進めると、ナッシュは「ドブソンは借金の取立てに脅えていた」と言い出す。

ドブソンは、子どもを脅されているような素振りを見せつつもジアボーンの関与について口をとざす。改めてクルズを問い質すと、実はジアボーンに雇われたということを仄めかし、すべてしゃべることと引き換えに「第1級故殺での最短刑と連邦証人保護」を要求する。ドブソンがジアボーンから借金し、返せないためにジアボーンがクルズに命じてエミリーを殺させ、「保険金で借金を返せ」と要求している、という構図が浮上する。

マッコイは筋書きがドブソンに都合良く動きすぎていることを不審に思い、私書箱に確認してみたところ、私書箱が30日しか保管しないというのはウソだったことがわかる。

刑事たちはクルズの恋人を呼んで電話の声を確認させ、電話をしたのがナッシュであることを突き止める。マッコイはナッシュにすべての事実と過去の妻たちの変わり果てた姿を突き付け、ようやく彼女は証言に同意する。


感想

シーズン5「Coma(妻の深き眠り)」の後日談。前の話は、ドブソンが妻サンドラを殺害した容疑で起訴されたものの、真犯人(実行犯)が別にいることがわかって起訴を取り下げ、しかしその後ドブソンが裏で糸を引いていたんじゃないか? と思わせつつも、証拠が見つからず真相はわからないまま――という中途半端なところでで終わっていた。あれはマッコイ登場2話目で、仲間内の対立に「何だかなー」と思っていた時期だったな……。

で、今回の話。ドブソンはその後に別の女性と再婚し、コメディクラブを売却してレストランを始めたが、今度は2度目の奥さんが襲われて死亡。実行犯はわかったものの、メキシコに逃亡して逮捕の見込みは薄い。そこで、実行犯とドブソンの間に多少のつながりがあったことと、実行犯が犯行の直後ドブソンに電話をした「らしい」ということを根拠にドブソンが逮捕されて起訴される。

しかしこれは少々根拠薄弱ではないか? と思っていたら、ドブソンに愛人がいることがわかったりして有罪の方向に傾き始める。地方検事が死刑の求刑を考え始めたので、取引しようかというところまでいくものの、そこで突然実行犯が逮捕されて事態は急展開。

これで有罪のシッポをつかめる……が、まだタイミング的に早過ぎる? と思っていたら。何だか調べれば調べるほど、実はギャングによる暗殺だった説が有力になっていく。え、まさかまた無罪?

しかし「ドブソンに不利になったところで実行犯が現れ、そこで一気に形勢逆転」というのは、考えてみれば前回と同じ展開だよね。真相がわかってみれば、実行犯が逮捕されたのも、ギャングに疑いが向いたのも全部、ドブソンが台本を書いていたわけだ。前回は実行犯とのつながりを証明できなかったが、今回は実行犯の彼女や、ドブソンの愛人や、罪を着せられそうになったギャングのおっさんなど、関係者が多かったせいか、うまくドブソンのウソを暴くことができそうだ。

このドブソンというのは何なんだろう。1年ちょっとの間に「浮気→妻殺害→再婚→また浮気→また妻殺害」のサイクルを繰り返す。このまま罪が暴かれなければ、1年後にはNo.3の人も殺されていたのだろうか。マッコイは「長期間にわたる連続殺人犯」と言っていたが、BAUの皆さんに分析してほしいくらいだわ。

マッコイはドブソンを評して「いつも言い逃れを用意して、絶対に自分は逃げられると思っている。死刑判決が出ても最高裁まで上訴し、執行されるのは21世紀になるだろう」と言う。これは1996年の放送なので、21世紀までもつれ込むのは十分ありそうな話だ。そうこうするうちに2004年になって死刑に違憲判断が出てしまいそうな気もするが、さすがにこの後日談はなさそうだ。

作中で言及された Molineux rule は、パターンを構成する個々の事件が有罪・立件の有無を問わず証拠として採用可能になるという規定のようだが、出典はたぶん↓の事件。

Yoko (yoko221b) 2012-04-12