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Without a Trace - Season 1

#17 Kam Li

- What did he tell you?
- Name, rank and serial number.


事件概要

失踪者:ジョン・カーヴァー(通常「ブル」、元陸軍中佐)

陸軍を退役したばかりのジョン・“ブル”・カーヴァーが失踪。ブルは軍歴34年で、ヴェトナムや中東にも派遣されていた。退役を祝うディナーパーティーがホテルで行われた直後のことだった。ホテルの部屋には、ベッドに年代順に並べられた勲章と、空のホルスターがあった。

ブルは失踪前にホテルのカジノで大勝し、仲間たちからアジア系の女性を「プレゼント」されていた。ブルは彼女を気に入り、ホテルの公衆電話からもう一度呼び出したが、彼女が部屋に行ってみると、そこにいたのはブルではなく戦友のサイクスだったという。

サイクスはブルとともにヴェトナムへ行った仲間の一人で、パーティの後すぐにサウスカロライナの自宅に戻っていた。サマンサが現地に行って話を聞こうとしたが、サイクスは身支度をすると言って別室へ行き、そこで拳銃自殺。部屋には、ヴェトナムのカム・リーでの戦いに対してブルに送られた勲章があった。

カム・リーでともに戦った仲間を調べると、ブルとサイクスの他に、パーティに出席していたエイバーとプリーサック、下院議員ホワイトハーストの名前があった。また、そこではトミー・ルイスという軍曹が戦死している。マローンとマーティンは、カム・リーの話を聞くためにワシントンの議員の元へ向かう。そこへ現れたのは、マーティンの父でFBI副長官のヴィクター・フィッツジェラルドだった。

カム・リーの戦いとは――。当時、ヴェトコンがある村落に大量の武器を隠しているという情報を得て、ブルたちがまず偵察に向かう。その後、村からは銃声が聞こえ、戻って来たブルとサイクスは「村に大量の武器があったのを確かに見た。トミーが狙撃されて殺された」と報告。「村人を退去させた」というブルの言葉に基づいて、ホワイトハーストは爆撃を決意。結局武器は見つからなかったが、爆撃で四散したのだろうと判断された。マローンは、議員は何かを隠していると判断するが、それ以上の質問は副長官に阻止される。

カム・リーについて調べているのはFBIだけではなかった。戦死したルイス軍曹の息子トーマス・ルイスJr.も、当時のことを記す匿名の手紙を受け取って以来、情報開示を求めていた。そのことは、ホワイトハースト議員にも伝わっていた。

ルイス軍曹の検死報告書によると、死因は至近距離から撃たれたことで、武器はロシア製トカレフだった。旋条痕から、ブルの拳銃であることが確認された。マローンは、「武器があった」というのはブルとサイクスの嘘であり、ブルはルイス軍曹を殺し、隠蔽するために爆撃を主張したのではないかと疑う。

ブルがフィリピンで起した「事件」が女性への性的暴行であることが判明。ブルはアジア系の女性が好みのタイプ。その件で告訴はされなかったものの、ブルは退役を余儀なくされた。すなわち、これが初犯でなかったことを意味する。カム・リーでブルは「ヴェトコンのシンパだった女性」に武器の場所へ案内させたことになっていたが、本当はその女性をレイプし、それを見咎めたトミー・ルイスと争いになって彼を射殺したのではないか。

サマンサが関係者の通話記録から連絡状況を再現した結果、エイバーとサイクスが何時間も話した後、エイバーが飛行機でサイクスの住むサウスカロライナへ向かったことがわかる。つまり、ブルの記念パーティーのため連絡を取り合ったのがきっかけになり、サイクスがエイバーに告白したのであろう。トミーJr.に手紙を出したのもサイクスであった。エイバーはサイクスと直接話し合った後、他の仲間たちと何度も電話で話し合った。そして最後に下院への通話があったのは、ホワイトハーストへの報告――つまり、下院議員という要職にあるホワイトハーストを皆で守るためだ。実際、ホワイトハーストには完璧なアリバイがあった。

自らも軍隊経験のあるマローンは、エイバーらの行動を理解し、共感に訴えかけて説得。エイバーの話から、カム・リーでの事件がマローンらの仮説の通りであったことがわかる。ブルを崇拝していたサイクスは沈黙を守り、その苦しみから酒とドラッグに溺れて身も心もボロボロになっていた。エイバーは「サイクスと二人でブルを呼び出し、カム・リーでのことを問い詰めた。ブルは観念して自殺し、遺体はサイクスが運んだ」と供述する。マローンはエイバーが仲間たちを庇っていると確信するが、エイバーはそれ以上何も言おうとしない。その後、ブルが失踪前に送った手紙と遺書が娘のもとに届く。ブルの遺体はサイクスの自宅付近で発見された。不明な点はいくつかあるものの、ブルとサイクスが二人で自殺したという結論で捜査は終了せざるを得なかった――。


感想

う~~~ん。米国兵士の素行はイラクでも問題になったし、最近も沖縄で嫌な事件があったばかりということで、少々の後味悪さは否めないところ。

でもストーリーの構成は良かったと思う。「失踪者の居場所を知るには、失踪者の人生を知ることが必要」というコンセプトを、ここまで徹底させたのはすごい。カム・リーの惨劇から始まって、アジア娘好き、フィリピンの事件、トミーJr.への接し方、ロシア製トカレフ、サイクスのボロボロの人生まで、すべてが関連し合っていたため、あらすじを書いていたら「あれもこれも」とどんどん長くなってしまった。ただ、遺言の書き換えのために娘の所へ行った理由がよくわからなかったのだけど(あの時点でブルはまだ何も気づいていないはず)、まぁそれくらいは別に無関係でもおかしくないか。

そして最後まで沈黙を守り通したエイバー。おそらく、彼の言葉通りの自殺ではないだろう。それはマローンも、我々視聴者もわかっている。サイクスが危険な役割を引き受け、いざという時には全てをかぶって自殺することも、彼自身が「志願」したのだろう。今回捜査対象になったのはエイバーだが、仮にこれがプリーサックだったとしても、同じように自分とサイクスで全てを引き受けて沈黙を守っただろうと思う。

「エイバーは何を話したの」とヴィヴィアンに聞かれてジャックが答えたのは「名前と階級と認識番号」だった(吹替えは違っていたと思うが)。これは、戦争で捕虜になった兵士が答える3つの項目。これ以上は尋問されても答えなくて良いということが、確か条約で決まっていたと思う。エイバーは兵士として答え、何も語らないことによって多くを語った。そして、同じく元軍人であるマローンがその沈黙を受けとめたことにより、言葉より雄弁に語る場面になっていたと思う。

というわけで、一見地味なようでけっこう密度の高い話だったと思うが、それだけでなくマーティンパパまで登場し、ジャックのこれからに対する一抹の不安を残している。マローンチームが「内部調査の対象になっている」とか、ジャックが最近いくつかミスを犯しているとか、何だかいろいろ思わせぶり。

Yoko (yoko221b) 2008-03-27