TV Crime Files

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Without a Trace - Season 1
====== #9 In Extremis ======

  * 邦題：「アメリカのアラブ人」
  * 脚本：Francisco Castro
  * 監督：Peter Markle
  * 初回放映：2002-11-21

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===== 事件概要 =====

==== 失踪者：アンワー・サミール（30歳、医師） ====

ロード病院でインターンを務めるアンワー・サミールが勤務を終えて帰宅し、そのまま行方を絶った。アンワーは勤務態度も患者の評判も良かったが、サウジアラビア出身のため、希望する推薦状がもらえないことを不満に思っていたという。また、アメリカ人の恋人からプロポーズを断られたばかりでもあった。

マローンは「中東出身ということに先入観を持たないように」と釘を刺すが、部屋には米国政府の中東政策を批判する本があり、またアンワーが派遣されていた生化学物質の会社でウィルスが紛失した事件があったことが判明し、テロリズム対策チームと合同捜査を行うことになる。アンワーに対する見解で、捜査班内部にも対立が生まれる。

目撃情報から、アンワーとカマール・カーンが一緒にいたことがわかる。カマールはやはり中東出身で同じ病院の職員だったが、病院の備品を盗んだという理由で解雇されていた。カマールは「人種差別だ」と立腹していたという。カマールの自宅へ行ってみると、そこはすでに犯罪現場としてNY市警が調べていた。カマールはそこで射殺され、部屋中にアンワーの指紋が残っていた。

その後、アンワーの指導医であるフォークス医師のドアマンからは「銃を持ったアンワーが来た」、恋人のリンジーからは「電話があった」、さらに病院からは「アンワーから爆破予告を受けた」など、アンワーに関する情報が次々と入る。しかし爆弾は発見されず、ちぐはぐな行動にマローンは頭を悩ませる。カマールが借りていた倉庫を調べると、そこには爆弾を製造していた痕跡があった。

アンワーはカマールを撃つ直前に緊急通報していた。その記録やその他の情報を総合すると、およその状況は次のとおり。アンワーは、カマールが自分たちのための復讐を企てていることを知り、止めようとして通報する際に争いになり、カマールを撃ってしまった。心肺蘇生を試みたがカマールは死亡。アンワーがその後リンジーに電話したりフォークの家に行ったりしたのは、2人の無事を確かめるためだった。その後倉庫へ行き、爆弾があることを知って病院に電話をかけた。だが爆弾は病院にはなかった。残る標的候補はリンジーの宿舎だった（彼女は一度カマールに誘われて断ったことがあった）。

マローンはリンジーの自宅に詰めているマーティンに電話をかけるが、ちょうどその時、火災警報が鳴ったため2人は避難中で、話はできなかった。マーティンと連絡が取れないままテロリスト対策班が急行し周囲を固める。そこへ銃を持ったアンワーが現れ「ここに爆弾がある！」と叫ぶ。マーティンはアンワーの意図を知り、何とか説得して銃を下ろさせようとするが、テロリズム対策班により狙撃許可が下り、アンワーは射殺される。

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===== 感想 =====

えーボルティモアから検事が出張？ いったいナニゴト？ と冒頭で一瞬そう思ってしまったが、勿論そんな訳ではなくて。The Wire でパールマン検事を演じているディアドリ・ラヴジョイが病院の管理者の役でゲスト出演だったのだわ～。時期的にはThe Wireシーズン1の直後くらいなんだな、このエピソード。

サウジアラビア出身の医師。初回放映は9/11テロの約1年後。捜査官も周囲の関係者たちも、中東出身者は皆テロリスト（またはその予備軍）なんて考えているわけはないし、アンワーが良い医者であることも知っている。「先入観を持ってはいけない」と言い聞かせつつも、不利な材料が出てくると「やはり？」と思わざるを得ない。中東出身者を疑いの目で見ることに対する罪悪感と、本当にテロリストならそのような罪悪感が軽減されるという一種の期待感のような、相反する気持ちが各メンバーの台詞を通して描かれているところが面白い。しかしシリーズ9話目でもう不協和音か～。

リンジーにプロポーズを断られたばかりでなければ、あるいは指導医の先生が「人種を理由に君が不採用になれば私が抗議してやる」と言ってくれていれば、アンワーは違った行動を取っただろうか？ うーん、でも言い分を信じてもらえずグアンタナモあたりに連行される可能性だってあるから、難しいか。

loose endというほどではないが、気になる点がいくつか。ウィルスの紛失騒動は結局無関係だったのか？ 本当に紛失したのか、記録の記載ミスだったかも確認されていなかったようだし、これは無関係と考えてよいかな。それから、カマールが本当に個人的な恨みだけで爆弾を仕掛けたのか、それも少し中途半端なような。カマールは本当にアンモニアを盗んだのか、それは爆弾に使うためだったのか（つまりクビになる前から爆弾を作り始めていたのか）。カマールの件は失踪事件じゃないので、そこまで説明する必要はないのかもしれないが……。

それはそうと、WATシリーズではNYPDの鑑識は「CSU」なのね。Law & Order でもCSUだったし、実際にNYPDで使用している呼称がCSUなのだろうか。同じブラッカイマードラマでもCSIではないのか……このシリーズは CSI:Miami と同じ年に開始されたので、このエピソード当時 CSI:NY はまだ企画すら存在していなかっただろうから、あまり不自然でもないのだろうが……しかし CSI:NY が始まり、さらに WAT と CSI 本家とのクロスオーバーまで放送されている現在はどうなっているのだろう。

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===== 使用楽曲 =====

  * ボブ・ディラン "Not Dark Yet"（アルバムバージョン）


--- //Yoko (yoko221b) 2008-03-14//
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