通算27話「狙われたランナー」
ジョギング中の女性が行方不明になり、その後遺体で発見される。スマートウォッチから被害者のいた場所を割り出して行ってみると、そこには2人目の被害者がいた。
- 脚本:Devon Greggory, Michael Brandon Guercio
- 原案:Andrew Karlsruher, Scotty McKnight
- 監督:Jeff Thomas
- 初回放映:2016-02-21
near field communication(NFC:近距離無線通信):データを共有するために使われる無線通信
サウスカロライナ州でジョギング中の女性、アリソン・レズニックが行方不明になり、その後遺体で発見される。死因は頭部への一撃だが、腰部にも打撲傷があり、血中からは鎮静剤が検出される。静脈に正しく注射されていることから、医療関係者の犯行が考えられた。
アリソンが身に着けていたスマートウォッチからは、現在の位置情報を示すスパイウェアが発見される。データを解析したところ、ジョギング中に急に心拍数が上がり、走るスピードを速め、その後心拍数が急激に落ちていることがわかる。その後のデータを復元してみたところ、アリソンは走った後、車に乗せられて遺棄現場とは別の場所へ運ばれ、そこに1時間以上とどまっていたことがわかる。
場所を割り出して踏み込んでみると、そこは病院の手術室で、台には若い男性が寝かされていた。その男ロンは、ジョギング中に車にはねられて、気が付くとそこにいたという。
おそらくアリソンも同じように車にはねられたのだろう。心拍数とスピードが急に上がったのは車に追われていたためで、腰の打撲傷もその時のものと思われた。
手術室には手術道具とともに、氷の入ったクーラーボックスが置かれていた。エイヴリーはその状況から、臓器を取り出そうとしたものと考える。
ロンの端末を調べたところ、2週間前に地元のマラソン大会で感染したと判明。その大会にはアリソンも出場していた。犯人はその中から健康で移植に適合する臓器を狙っている。不特定の客に売る臓器売買ではなく、特定の患者に合わせて念入りに選んでいるようだ。
アリソンとロンが連れ去られた時点での心拍数や加速度の様子が一致していることから、同じ状況を示すデータがないかモニタリングしたところ、カレン・カーターという女性が同じように拉致されたことがわかる。車で移動していることがわかり、位置情報を調べて追跡したが、走行していたのは無関係のトラック。犯人はトラックの荷台にスマートウォッチを捨てて逃走したのだ。
最初の2人は夜間に襲われていたがカレンは昼間の犯行。患者の死期が近づき、犯人が焦っているのではないか。
調べてみると、1か月前に臓器提供ネットワークのシステムが不正侵入を検知していたことがわかる。おそらく、待機リストの順序を操作を試みたのだろう。だが順序の付いた「待機リスト」というものは存在しない。レシピエントは、各種の条件を考慮してアルゴリズムによって選ばれているのだ。侵入した状況から、犯人の狙いは腎臓と判明。登録者の中から条件を付けて範囲をせばめていったところ、最終的に3人まで絞り込めた。その中で、多発性嚢胞腎を患いソフトウェア技術者の夫と元外科医の父親を持つサラ・ウォーカーに注目する。
サラは移植ネットワークから連絡用のスマートホンを提供されている。そこから位置情報は割り出せるが、無駄足を踏まないため裏付けが必要。そこでクラミッツは、カレンが履いていたチップ搭載のジョギングシューズを利用することを思いつく。サラのスマホにアプリを送り込み、カレンの靴と通信をさせれば、カレンの居場所が判明する。
作戦は成功し、カレンたちはカロライナ診療所にいることがわかる。エイヴリーらは現場へ踏み込むが、移植手術はすでに終わった後。サラの夫と父親は逮捕されるが、サラとカレンは2人とも無事が確認される。
「腎臓泥棒」は都市伝説としては定番で、Law & Order の本家初期シーズンにもそれを題材としたエピソードがあった。今回はその21世紀バージョンといったところか。
前半の方ではアリソンの夫が疑われるのだが、その根拠のひとつが、ユーザーの歩行すべてを記録するハイテクシューズ。夫の方はアスリートでもなさそうなのに、こんな靴を?と思ったら、終盤になって「カレンの靴との通信」で位置を確認するという技が登場した。その伏線というか、予習のような登場だったな。
それにしても「疑われたくないから嘘を言った」という言い訳は定番だが、その嘘がバレて余計疑われるというのも定番。
クラミッツとネルソンは新人がすぐ辞めるかどうかで賭け。ネルソンは負けて書類仕事をする羽目になるが、実はクラミッツがこっそり新人をサポートしてあげたのではないかと邪推している。
2025-06-11