小説版CSI:マイアミ第5弾、著者は今回もドン・コルテス。クリスマスのマイアミで事件が発生。コンビニで襲撃事件が発生し、2人の男性が意識を失った状態で発見されるが、どちらが被害者で加害者なのかが判然としない。この事件は、後にアラブの王族がからむ誘拐事件に発展し、ホレイショ自身も命を狙われる。一方、エバグレーズ湿地帯では爆弾で頭部を吹き飛ばされた遺体(の残骸)が発見される。当初は身元もわからなかったが、意外な所に手がかりがあった。また、ホテルではサンタクロースを演じる芸人たちが一堂に会する「サンタ・コン」が開催されるが、その中で1人のサンタが殺害される。
マイアミでは珍しく事件が3つ。それも担当が途中で変わるのでややこしい。そのせいか、今回は事件の描写が多く薀蓄は少なめだった。
コンビニの事件は最初ホレイショとカリーが担当。だが、その後現場と被疑者の指紋採取をめぐってCSIの信頼が脅かされる事態が発生し、担当はデルコに変更。もちろん、ホレイショもデルコもカリーを信頼しているが、カリーのキャリアに傷がつかないようにという配慮から。カリーも自分の証拠にけちがついたことは内心面白くないだろうが、ホレイショの意図はちゃんと理解している。で、その事件の容疑者がどうやらサウジアラビアの王族(ただし母親が外国人なので王位継承はできないはず)だったりいきなり誘拐されたりで事件は二転三転。
しかしその誘拐はどうやら狂言。イスラム原理主義グループとの関連が浮上したりして風呂敷はどんどん広がる一方。そもそも最初のコンビニ事件が本来の事件だったようなのだが、真相は明確にならないまま終わってしまった。1月の末に出た “Harm for the Holidays: Heart Attack” が、どうやらこの続編のようだ。じゃぁこれも読まなくちゃいけないのか~。まぁ、どうせ読むからいいけど。
湿地帯の事件は、最初デルコが担当するが、次にカリーに変更。サンタ殺人事件は最初から最後までウルフとトリップが担当。どちらも、中盤を過ぎてもいっこうに解決が見えないな~と思っていたら、最後でいきなり急転直下だった。特に湿地帯の方はちょっと唐突に感じてしまった。
そんなわけで事件は絶えないが、クリスマスはやって来るので、CSIの面々もクリスマスを祝ってシークレット・サンタをやったりする。これは、事前にくじ引きで相手を決めてその相手に贈り物をするという遊び。誰が誰に何を送るかは、当日まで秘密。サンタ事件がまだ解決していないウルフは「サンタとか言うのやめてくれぇ」とメゲ気味だった。
このプレゼント企画にCSI全員とアレックスに加えて、「今年初めて参加する」ナタリアが入っているので、時期的にはシーズン4かな。2006年11月発行だから、執筆時はまだシーズン5が始まっていないだろうし。ヴァレーラもタイラー(AVラボはクーパーじゃなく彼だった)も参加しないのにナタリアだけ? というのが気になるけど、他の皆はきっと休暇を取ってしまったのね。
しかしシーズン4の12月というと、マリソルの病気、ウルフの視力、ラボにスパイと問題が山積だった時期のはずなのだが、まぁそれはそれ、これはこれということで。TVシリーズの補完ではなくfanfic気分で楽しんで読むものなのだろうと思う。小説版でいちばんfanficっぽい雰囲気があるのは、コルテスの作品だと思う。人物描写などが、何となくそんな感じという程度だけど……逆にいちばんfanficから遠いのはNYのカミンスキーかな。どちらもそれぞれに面白い。
そうだ、途中ホレイショがあやうく爆殺されそうになったところで、「爆弾処理班時代の恩師にも命を狙われた」ことがあった、という記述があったけれど、Hの恩師はシーズン1「戦慄の首輪爆弾」で亡くなったアルさんだよね……その時の犯人は元同僚だったのでは?
— Yoko (yoko221b) 2007-02-15