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louk:s01:002_unloved

Law & Order: UK - Season 1, Episode 2

#2 Unloved

  • 邦題:「愛されざる者」
  • 脚本:Terry Cafolla
  • 原案:Michael S. Chernuchin, Sally Nemeth
  • 監督:Andy Goddard
  • 初回放映:2009-03-02

事件概要

Crown v. Jonathan Blake

スープキッチンを運営する牧師が少年の遺体を発見。12~13歳で身元不明。服装や胃の内容物からホームレスとは考えられず、また地元のギャング団とも関係はなさそうだった。

報道を見て教師が名乗り出たため、氏名はダニー・ジャクソンと判明。母親は更生施設におり、ダニーは里親の家で暮らしていた。里親は「実母の所へ行ったのだろう」と思い、そのうち戻るだろうからと届けていなかった。

事件の前、ダニーが実母の恋人スティーヴィの家の近くにいたらしいとわかり、ダニーはスティーヴィを疑うが、犯行を示す証拠はない。その後、スティーヴィにはアリバイがあるとわかる。

その日ダニーと一緒にいたのは同じく里子のジョノとアンディ。2人は最初のうち「映画を見に行って、ダニーとは別々に帰った」と言っていたが、それは嘘だった。彼らはスティーヴィの家に盗みに入ろうとしたが、本人が在宅していたため失敗。それに怒ったジョノがダニーを激しく殴り、死なせてしまったのだ。ジョノはダニー殺害の罪で逮捕される。

弁護人は最初「小柄なジョノに犯行は不可能」とのみ主張し、証人にもあまり尋問しようとしなかった。アリーシャは背景を固めるため、ジョノが学校で起こした暴力事件を調べる。別の生徒が携帯カメラで、ジョノが激しく暴力を振るう場面を撮影していた。

その動画が法廷で再生された後、弁護人は主張を変え「精神疾患による無意識的行動(Automatism)」であるから無罪だと言って再審を要求。ジョノの行為は本人の責任ではなく「戦士の遺伝子」と呼ばれる遺伝的な形質であるというのだ。

検察の分析医がジョナに面接し、善悪の区別が付けられること、罪の自覚があることを確認。遺伝子は傾向を示すことはあっても、行動を決めるのは本人の選択だという。

ジョノの実母は「息子は生まれつき何かが変だった」と証言し、被告人席でそれを聞いたジョノは思わず涙を流す。そして「自分は遺伝的にダメな人間で、ダニーを殺した」からと有罪を認め、刑務所に入ることを希望する。


感想

今回の話は、本家シーズン4「片隅の少年たち」のリメイク。元々が好きなエピソードだったことに加え、今回は「まんま同じ展開」ではなく独自のテイストが入っていて面白かった。

大筋は同じ――里親家庭で育てられていた少年が、友達を殴り殺して逮捕・起訴されるが、弁護側は「遺伝的に暴力的な形質を受け継いでいるので本人の責任は問えない」と無罪を主張。しかしその「証拠」を見せられた被告人の少年は絶望し、自ら刑務所入りを希望する――というもの。このUK版では、具体的な捜査手順や法廷での審理の流れが変わっており、結果としてエモーショナルな人物描写が増えていたように思う。

被害者少年の身元を調べて刑事2人があちこち聞き込みに回るという描写はかなり省略され、その代わりに、ブルックス刑事が被害者の母親に訃報を伝える場面(ガラスごしの無音の場面にしたのが効果的だった)や、少年が虐待されていたことを知ってデヴリン刑事が思わず激してしまったり、というような描写があった。また法廷に入ってからも、手続き的なあれこれよりも、関係者たちとのやり取りに時間を使っていたような印象がある。

弁護人は、本家では割と普通のおばさんだったが、こちらは何というか、自信たっぷりで感じの悪い美人という、ありがちなタイプ(しかも検事の元カノらしい)。とにかく無罪にすれば良いのだ、という弁護戦術のために当事者を置き去りにするのも頷けるような感じで、それはそれで(多少類型的な印象はあるものの)整合性のある人物描写であると言えるだろうか。

本家の「XYY遺伝子により凶悪化する」というセオリーは、さすがに採用されなかったようだ。あの当時ですらもう信じられていなかったはずだし、もう21世紀だから――というわけで、代わって登場したのがMAOA不活性遺伝子、いわゆる「戦士の遺伝子」というもので、CSIにも登場した。あまり詳細につっこんだ説明ではなく、米国の具体例にも言及していたが、実在する事件なのか疑問。アリゾナ州のJ・ロバートソンと言っていたが、その情報で検索してみても、本エピソードの字幕ファイルしかヒットしないので……。

今回の被告人のジョノは、本家版より年下で身体も小さい。被告人席に座ると柵で頭が見えなくなってしまい、廷吏がクッションを持って来ていた。だから何だか見ていて可哀想になるし、証言を聞きながら泣いているところを見ると、本当に死ぬほど殴ったり蹴ったりできるのかしら? と疑問に思ってしまう。最後に、検事が何とか少年に手を差し伸べようとしていた場面も良かった(検事の仕事なのかどうかは少々疑問だけど)。

ところで、本家になくてUK版にあるものといえば、ズラと監視カメラ(CCTV)。今回はCCTVが活躍していたが、法廷でのズラはなかった。少年事件では着用しないらしい。

Yoko (yoko221b) 2010-06-02, 改訂 2015-06-20

louk/s01/002_unloved.txt · Last modified: 2020-06-28 by Yoko