User Tools

Site Tools


louk:s01:003_vice

Law & Order: UK - Season 1, Episode 3

#3 Vice

  • 邦題:「娼婦の素顔」
  • 脚本:Chris Chibnall
  • 原案:Jeremy Littman, I.C. Rapoport
  • 監督:Omar Madha
  • 初回放映:2009-03-09

事件概要

Crown v. Emma Sandbrook

カーナビを盗もうとした2人組が、車内で男性の遺体を発見。被害者はその車の持ち主で、元風俗課の刑事フランク・マッカラム。新顔の売春婦がマッカラムの財布を持っていたが、彼女は「見つけた時はもう死んでいた。私は財布を盗んだだけ」と主張し、実際に殺害とは無関係とわかる。

マッカラムは警察を辞めてからペイントボールの会社に転職していたが、最近元同僚に「ベルベット」という会社について調べてほしいと頼んでいた。マッカラムは会社のクレジットカードで何度か支払いをしており「雑費」に計上していた。

ベルベット社は女性2人が経営する会社で、表向きは子どもの玩具などを扱っている店だというが、調べてみると裏で売春をしていたことがわかる。2人は売春容疑で逮捕されるが、そのうちのひとり、エマ・サンドブルックのDNAが現場の物と一致したため、エマはマッカラム殺害容疑で逮捕される。

動機をさぐるために背景事情をよく調べてみたところ、エマの「客」だったのはマッカラムではなく、上司のプリチャードの方だったとわかる。プリチャードはエマと会ううちに本気で彼女を愛してしまい、それを知ったエマはプリチャードの前から姿を消した。プリチャードはエマの行方を探してほしいとマッカラムに頼み、それでマッカラムが元同僚に調査を頼んだのだった。マッカラムはエマが既婚で「上品な奥様」という表の顔を持っていることを知った。そしてエマの夫スティーヴは売春のことは何も知らず「君がもし他の男と寝たりしたら、事情を問わず別れる」と口にしたことがあった。エマの正体を知るマッカラムは彼女にとって脅威であり、それは十分に動機になる――と思われた。

しかし突然エマが殺害を自供し「オーラルセックスを強要され、身を守るために殺した」と正当防衛を主張。実際、マッカラムは刑事時代に「性行為を断ったら逮捕された」と売春婦から苦情を申し立てられたことが何度もあり、現在の職場の女性に対しても、ちょっとした横領をネタに脅すようなことを言っていた。

マッカラムの性器にはエマの物と同じ口紅が付着していたが、唾液は検出されなかった。オーラルセックスで口紅が付いたのではなく、口紅から直接塗った、つまり偽装工作である可能性が高い。また、血痕の付着していた状況も、エマの供述とは矛盾する。

公判が始まり、スティーヴはエマに有利な証言をするが、検事は逮捕前の供述と矛盾する点を指摘し、信頼性を崩す。弁護側は、売春に従事する女性たちが常日頃から生命や身体の危険にさらされていることを証言させる。

最後にエマは自ら証言台に立ち、レイプの主張を繰り返すが、検事はエマが14回も殴って死なせていることを指摘し、被害者の息の根を止めるよりも前に生命の危険は消えていたのではないか、売春のことを夫に話すと脅されたことが真の動機だったのだろう、とエマを追い詰める。エマは次第に答えに窮し、最後に「口紅から唾液は検出されなかった」という物証を突きつけられて絶句する。

陪審は有罪の評決を下す。


感想

今回のオリジナルは、シーズン7の「ワーキング・マザー」で、最初に見た時はまだ本家版を視聴していなかった。初回はUK版DVDだったので、字幕がないのに閉口(最初の2話は本家と同じ流れだったので良かったけど)。もともとリスニング苦手だしイギリス英語にも慣れていないので、細かいところまでよくわからなかった。

その時は、スティール検事の激しい尋問の様子が印象的で「これはスティールにマッコイ風味を足すために選ばれたエピソードなのだろうか」と思った。本家の初代ストーン検事も声高に主張することはあるものの、大抵は抑えたトーンで理路整然と弁論しつつ、静かに威圧するような雰囲気を醸し出しており、英国のスティール検事も前2回はそのような感じだったので。

しかし、次に本家版「ワーキング・マザー」を見てみると、マッコイ検事の尋問はむしろ、彼としては大人しめの部類ではないかと思うほど。こちらのスティール検事の弁論は、どちらかというと同じく英国の法廷ドラマである “Kavanagh Q.C.” などを思わせる。嘘をついている証人に対して矢継ぎ早に質問をどんどん浴びせかけていくと、対抗する嘘を次々に考え出すことができず、最後には事実を口にするしかなくなる――という展開。今回はそのダメ押しに「唾液が検出されていない」という証拠が突きつけられた。

でもこの証拠、事前に被告人側に伝えられていなかったのだろうか? という所が疑問。また弁護人から「異議あり」の一言もなかったので、見ていて「いいのかな?」と心配になってしまった。

Yoko (yoko221b) 2015-06-25

louk/s01/003_vice.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko