Table of Contents
Law & Order: UK - Season 1, Episode 12
#12 Love and Loss
- 邦題:「愛に死す」
- 脚本:Terry Cafolla
- 原案:Matt Kiene, Joe Reinkemeyer
- 監督:Mark Everest
- 初回放映:2009-08-27
事件概要
Crown v. Jack Gilmore
タイから帰国した18歳の少女、デビー・パウエルが空港で倒れて死亡する。デビーはヘロイン入りのコンドームを大量に飲み込んで密輸しようとしており、そのうちの1個が体内で破れて死亡したのだった。
一緒に旅行した友達を探して取り調べたところ、デビーには秘密の恋人がおり、その恋人に言われて袋を飲み込んだらしいとわかる。恋人の正体は「バイト先の人」らしいということしかわからない。
デビーのバイト先は、父の親友であるジャック・ギルモアが経営する店。ギルモアの話からゲリー・クレイグの存在が浮上するが、クレイグは関与を否定。刑事たちは、クレイグから「彼氏が自動車教習所のレッスン代を払っていたらしい」と聞いて聞き込みに向かい、デビーの恋人がジャック・ギルモア本人であることを知る。監視カメラには、ギルモアがデビーとキスを交わす場面が映っていた。
ギルモアはデビーとの恋人関係は認めるが、麻薬密輸の件は否定。しかしギルモアが持っていたコンドームが、デビーが使用した物と同じメーカー、同じロットの製品であるとわかり、ギルモアは逮捕される。
スティールは最初、密輸だけで立件するつもりでいた。しかしギルモアはデビーに対して注意義務があると判断して、重過失故殺も罪状に含めることにする。ギルモアの店を辞めた元従業員に話を聞いてみると、タイとの橋渡し役を務めていたのがクレイグであるとわかる。クレイグは、ギルモアに不利な証言をすることで取引を承諾。
しかし、いざ法廷に立つとクレイグは「誰が黒幕かは知らない」とギルモアの関与を否定し、以前の供述は「警察に強要されて言わされた」と言い出す。ギルモアも薬物の件は否定し、評決は密輸・故殺いずれも無罪となってしまう。
スティールは何とかギルモアを罪に問いたいと考え、「アル・カポネ」の話を思い出す。エリオット・ネスがカポネを追い詰めたように、納税や取引の記録を徹底的に調べようというのだ。彼らは税務局員のウナ・マッグレデリーの協力を得て税務書類をしらみつぶしに調べるが、不審なものは見つからない。
しかしキャッスルの一言がヒントになり、いないはずの妻が会社の取締役を務めていることが判明。妻は離婚後も取締役の地位にとどまったことになっているが、実際には1994年に死亡。その後も年間20万ポンドの給与を払っていることにして、税金を逃れていたのだった。
ギルモアは脱税で有罪になる。刑期はわずか2年だが、これで何よりも大切にしていた事業を失うことになった。
感想
本家の元エピはシーズン3「親切な領事」――と言って良いものか迷う。一応このエピソードがクレジットされてはいるものの、似ているのは冒頭の被害者が死亡する所までで、後はまったく違う話になっていた。というわけで、今回は実質オリジナルエピソードと考えて良いだろう。
で、この話を見て感じたのは……本家が「事件が主役」なのに対して、英国は「人間が主役」なのかな、ということ。今までも、本家になかったような感情的な場面(遺族の悲しみなど)が強調されている印象があったが、今回はまずゲストキャラが個性的。公判で登場する弁護人は強迫性障害でリアクションがいちいち大げさ。その後の税務調査の場面では、ゴス風ファッションに身を包んで「悪い数字」を追跡するのが大好きな税務局員が面白い。
検事の2人組が「何が何でもギルモアを追い詰めてみせる」と奮闘する場面も強い印象を残す。この2人の決意と執念を描きたかったんだろうな。でもこれは、どちらかというと財務事件よりもデビーの死や麻薬密輸に対して見せるべき顔なんじゃないかという気はしたけど。
また、短時間の描写ではあるけれど、デビーの母親が娘の死の報せにうまく対処できず変なことを口にして夫に怒鳴られてしまう場面。いつもの「被害者の母親が泣き崩れる」描写に比べると、少々ぎこちないところが却ってリアルに感じられる。
— Yoko (yoko221b) 2015-09-16