CSI:Cyber S2-9 iWitness

CSI:Cyber シーズン2 CSI: Cyber

通算22話「告白の行方」
凶悪犯逮捕プログラムの対象になっていたハッカーが殺害され、遺体を燃やされる。彼女は死ぬ直前に、誰かの秘密を記録した画像をどこかに送信しようとしていた。

CSI:サイバー シーズン2 DVD-BOX

  • 脚本:Carly Soteras
  • 監督:Paul Holahan
  • 初回放映:2015-12-13

brute-force attack(総当たり攻撃):侵入するため全パスワードを試すこと

凶悪犯逮捕プログラム (ViCAP) の対象になっていたクイン・エリオットが殺害され、遺体に火を付けられる。

クインは「雇われハッカー」で、麻薬関連の情報を操作して服役した経歴があった。現在は9件の事件で容疑者になっているが、すべて服役前の犯行。現在は保釈されていたが保護観察官と連絡を取っていない。

クインが握りしめていたスマートホンはおよそハッカーらしくないもので、ディープWebの閲覧やハッキングに使用するツールがひとつも入っていない。だが電卓アプリのファイルが異常に大きく、そこにパスコードを入れると隠し領域に入れる仕掛けになっているようだ。

最後に起動されたアプリは音声アシスタント。録音を確認すると「画像226番を送れ」という言葉が聞き取れた。その先を言う前に殺されたため、送り先は不明。

画像の226番を見ると、抽象画のような背景に「絶望 服従 支配 傷痕 泣き寝入りはしない」という文言が大文字と小文字を取り混ぜて入力されていた。特徴的な紫の枠があることから、「miafina」というWebサイトへの投稿画像とわかる。これは「秘密」という意味で、ユーザーが匿名で秘密を告白するサイト。だが該当する画像はサイト内には見つからず、すでに削除済みと思われた。

大文字と小文字の使い方が不規則であることに注目し、テキストから大文字だけを抜き出して並べ替えてみたところ「RAPED I WON’T GIVE UP」(レイプされた 泣き寝入りしない)という文章が浮かび上がる。

スマホの登録情報から、クインが「レキシー」という名前でルイス・ジェームズと結婚していることがわかる。ルイスは妻の名前が偽名であることやハッキングの前歴があることなどを聞いてショックを受ける。

クラミッツは、パスコードを総当たりで自動入力するロボットを使い、クインのスマホを突破。中にはハッキング用のツールやハッカーが報酬の受け取りに使う秘密口座などがあった。50万ドル以上の残高があり、8日前にも25,000ドルを受け取ったばかり。隠し領域にはmiafinaのデータもあった。

クインは「SOT515」というハンドルのユーザーから、告白画像の削除と投稿者の追跡を依頼されていたが、追跡を拒否し「犯行を公表する」と伝えていた。

問題の画像はパクストン大学からmiafinaに投稿されていた。投稿者シェルビー・ロックハートを探すが、スマホはオフラインで両親とも連絡がつかず、SNSも更新していない。

問題の告白画像は、普通に文字を読んだだけでは意味を読み取れないので、人を雇ってまで削除させる意味があるだろうか。画像にもっと大きな手がかりがあると考えて、上下逆にしてみたところ、抽象画に見えていた背景画像がボートの絵であるとわかる。「SOT5」はボストンで開かれるボートの大会で、今年の優勝校はパクストン大学だった。祝賀会の画像から、投稿画像はボート部の寮に掛けられていた絵であるとわかる。

エイヴリーとイライジャは大学のボート部へ向かい、部員たちの電子機器を調べようとするが、体育局長は家族教育権とプライバシー法を根拠に拒否。現段階ではそれに対抗できるだけの根拠はなく、いったんは引き下がる。

レイヴンとネルソンはシェルビーの手がかりを求めてクインのスマホを調べる。彼女はスパイウェアでシェルビーのスマホの中を覗き行動を把握していたらしい。さらには、スマホに介入して通常の広告の代わりに性暴力の被害者支援団体の広告を表示させ、またシェルビーのスマホをオフラインにしていた。クインはシェルビーを助け、レイプ犯に追跡されないよう守ろうとしていたようだ。

タイミング良くシェルビーの両親が旅行から戻り、彼女が無事であることがわかる。スマホを替えて姉の家にいたのだ。

エイヴリーはシェルビーに会って話を聞く。彼女は祝賀会で酒を飲まされ、3人の男子学生にレイプされていたが、相手の顔も名前もわからないため、大学からサポートを得られないばかりか「虚偽告訴をすれば奨学金を失う」と、警察に行くことも止められていた。

エイヴリーは、性被害に遭った学生を大学がサポートせず脅したことについて、連邦教育法第9編(教育機関での性差別と性暴力の禁止)を根拠に大学を告訴することを決意。

ボート部の祝賀会には、エイヴリーが娘のように思っているグレースも参加していた。グレースは現在の彼氏が以前にレイプで虚偽告訴されたことを理由にためらいを見せるが、エイヴリーに説得され「カーター・ハリスというボート部員が動画を撮っていた」と言う。

カーターは動画を撮影している途中、うっかり部屋に入ってシェルビーがレイプされている場面を撮ってしまった。レイプ犯はボート部員のピート、フィン、サッチャーの3名で、ある時miafinaの画像とその意味に気づいて騒ぎ始めたという。

3名はレイプ容疑で逮捕されるが、「SOT515」のハンドルは誰も使っていない。彼らが画像に気づいた時期の位置情報を調べたところ、3人は体育局長パーキンスの部屋にいたことがわかる。依頼者はパーキンスで、クインが「卑劣な犯行を暴く」と言ってきたため彼女を殺害したのだった。クインはパーキンスが殺しまでするとは思わず、彼の姿をカメラに収めていた。

ネルソンとレイヴンはルイス・ジェームズを呼び、クインがレイプ被害者を守ろうとしていたことを告げる。彼女は「クインの仕事は終わり。これからは夫のためにレキシーとして生きる」という言葉とともに、ルイスの写真をmiafinaに投稿していた。2人は投稿サイトの脆弱性データをルイスに渡し「売れば大金になりますよ」と助言する。


今回ラッセルはお休み。ベガスに行っていて不在ということだが、何しに行ったのか気になる。ウィンスロップの公判で証言するのだろうか。

秘密を投稿するWebサイトというのは、CSI:NYでもあった(シーズン5「地下室の死体」)が、あちらは確か、サイト運営者にカードを送り、それをアート的に展示するという個人サイトだった。それから7年経ち、今回の「秘密」サイトは画像も当然のようにスマホで送るようになっていた。自分の秘密を送る「懺悔」的な要素と、誰にも言えないことを吐き出す「ロバ耳」的な要素があるようだ。

作中の台詞にもあったが、シェルビーの画像は削除のために大金を払う性質のものとは思えない。ボート部員が騒ぎ出したというが、放っておけば他の誰も気づかなかったのではないか。削除するだけなら、絵画の著作権から攻めていく方法もあったと思うし(著作権が切れていなければの話だけど、作風は現代的だし切れてなさそう)。

パーキンスの狙いは画像よりもむしろ、シェルビーの方だったのかもしれない。シェルビーを追跡してどうするつもりだったのか、考えると何だか怖い。そしてシェルビーが、被害者なのに「ボート部に迷惑をかけた」と罪悪感を感じている様子だったのが何重にも理不尽。

ひとつ謎なのは、クインが最期に呼び出した画像の送り先。「諦めないで」というシェルビーへのメッセージかと思ったが、彼女のスマホはオフラインだ(自分でそうした)。あの秘密サイトに再投稿しようとしたのだろうか。あるいは、誰かに送るのではなく自分の死の理由を示すダイイング・メッセージとしたのかもしれない。

最後はネルソンとレイヴンがクイン/レキシーのデータを渡していたけれど、ルイスが実はブラックハッカーで、あのデータを悪用したらどうするのだろうと思ってしまった。

ブラックハッカーといえば、今回グレースが再登場していたが、彼女やボーイフレンドが「実はブラックハッカー」という予想は外れのようだ。

2025-06-05

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