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CSI: Miami - Season 10, Episode 17

#230 At Risk


事件概要

ラリー・ホッパー、ロス・ヘメット

有名テニススクールのシャワールームに野犬が放たれ、コーチのラリー・ホッパーが襲われて怪我をする。コーチを助けようとしたメンテナンス担当のロス・ヘメットも犬に襲われて死亡。何者かがテニスラケットを閂のように使ってコーチを閉じ込め、犬に噛み殺させようとしたものと思われた。

その犬は体にRFタグを埋め込まれており、保護施設にいた犬とわかる。施設を経営するメイソン・トレスは、自分の施設で再訓練中の元闘犬であることを認め「犬は盗まれた」と言う。

閂に使われたラケットは、有名選手ジャック・ブロディの物と判明。ジャックもそのスクールの出身で、ラケットはファンにプレゼントすることも多いので、いくつも置いてあるという。だがジャックは手に包帯をしており、問いただしてみると、その朝現場にいたことを認める。コーチとロスを助けようとしたが手を噛まれてしまい、通報だけして自分は病院へ行ったという。

ホッパーのテニススクールは授業料が高く、それに不満を持つ親も多かった。しかしその授業料で、才能はあるが貧しい子どもたちを奨学生として教えており、コーチを称賛する声もあった。カリーは、以前の事件で知り合ったオースティンが、やはり奨学生であることを知る。

トリップらはスクールの財務記録を調べるうち、別の封筒が紛れ込んでいることに気づく。それは、コーチの性的虐待に関する供述書だった。被害を訴えたのは、現在スクールの職員をしているアンドリューだとわかるが、その件は示談になっており、守秘義務が条件になっているため双方とも詳しいことは話そうとしない。

カリーはオースティンが選手のジャックから「2人だけの秘密」として携帯電話を贈られていることを知り、不審に思う。さらに、ロスの傷口に付着していた証拠から、ジャックはロスよりも前に犬に噛まれていたことがわかる。つまり、ジャックが犬をけしかけていたのだ。

ジャックは犬にコーチを殺させようとしたことを認める。スクールの生徒だった頃、ジャックは友だちから虐待の件を聞かされていたが、本気にしなかった。だがオースティンとコーチの様子を見て、虐待の話は本当だったと知り、生徒たちを守るためにコーチを殺そうとしたが、巻き添えになったロスが死んでしまったのだ。

しかし、証拠品を運んでいたウルフが犬に吠えられたことで、ロスの衣服に犬のフェロモンが付着していたとわかる。つまり、ロスは巻き添えではなく標的だった――さらに、犬のフェロモンとなると入手できる人間も限られる。フェロモンを塗ったのは、闘犬を保護していたメイソン・トレスだった。実はメイソンこそ、ジャックの友達で虐待を受けていた元生徒だったのだ。

メイソンは名前を変えて過去を封印して暮らしてきたが、虐待の真相を知ったジャックが謝罪に訪れ、2人でコーチを殺すことにした。そしてメイソンは、コーチの悪行を知りながら見て見ぬふりをしていたロスも標的にしたのだった。

ジャックとメイソンは逮捕されるが、コーチの虐待の件がまだ残っている。アンドリューは守秘契約を理由に証言を渋るが、「示談に応じた後も行為が続いていたなら、それは契約に縛られない」と説得され、証言に同意する。

かくしてホッパーは逮捕されるが、スクールから連行される路上で何者かに射殺されてしまう。


感想

デルコ役アダム・ロドリゲスが脚本と監督を担当。前シーズンの「サバイバルゲーム」も良かったが今回も面白い! 捜査が二転三転していく展開も、意表を突くラストも良かったと思う。ラストで容疑者射殺なんて、モチーフとしてはありがちで、マイアミでも何度となく繰り返されてきたはずなのに、今回は演出の巧みさなのだろうか。ホレイショの表情のせいかもしれない。あんな驚いた顔、なかなか見られるものではない。

つくづく思う。デルコのファンの人には申し訳ないけど、ロドリゲスには脚本・監督として番組に戻って来てほしかった。そしてキャストにはジェシーを残してほしかった。復帰後のデルコは、何だかどうもイマイチな感じがしてしょうがない。ウルフとウォルターが良い感じにお笑いコンビになっているのに、デルコだけそこに馴染んでいない感じがあるのだ。お笑いコンビ+クールなジェシーの時はうまくいっていたのに。

またロドリゲスの脚本には、マイアミの初期シーズンが持っていた精神・倫理性への回帰も感じられる。性的虐待は絶対に許してはならない犯罪ではあるが、それに対して個人が私的に復讐や制裁を行うこともまた、許されざる犯罪であるということ。しかしこれで、「地獄へ堕ちろ」のホレイショの行動との間に大きな矛盾が生じたことになる。ほらね、だから言ったでしょ!


使用楽曲

Yoko (yoko221b) 2014-05-06