Table of Contents

Without a Trace - Season 1

#13 Hang on to Me


事件概要

失踪者:チェット・コリンズ

チェット・コリンズが失踪した。チェットはキャンプ場から行方不明になった息子のショーンを6年間探し続けており、マローンも力になっていた。チェットの部屋はショーンの捜索記録や資料であふれていた。仕事を失い金銭問題を抱えていたこと、失踪前に銃を購入していたこと、苛々した様子だったことなどがわかる。別居中の妻ヘレンには最近新しい恋人ができ、チェットとはショーンのことで激しく言い争ったばかりだった。だがマローンは「ドラッグも自殺もあり得ない」と強硬に主張する。

マローンは、ショーンに関する膨大な資料を逐一調べ直してチェットが何を探していたかを推理するよう指示する。だが部下たちは「こんな作業に意味はあるのか」とマローンの言動に疑いを抱く。ヴィヴィアンの追求に、マローンはついに口を割り事情を話す。最後に会った時、チェットはオクラホマにいるホームレスの少年を「ショーンではないか」と言ってきた。現地警察の確認でショーンではないとわかっていたが、チェットはそれでも捜査員を派遣して欲しいと要求し、マローンは彼と口論するうちに「あきらめろ、ショーンは消えたんだ」と言ってしまったのだ。自分の言葉がチェットを追いつめてしまったと、マローンは後悔していたのだった。

チェットは失踪前に私立探偵を雇い、ディブズという男が犬を使って子どもを誘い出そうとした誘拐未遂事件の記事があった。ショーンの事件でも「犬を連れた不審な男」が目撃されており、ディブズも一度捜査対象になっていた。だがディブズを訪ねると、彼は自宅で射殺されていた。

今回ディブズに誘拐されそうになったのは、ショーンと同じくアフリカ系とアジア系の混血の女の子。ディブズは不正な養子縁組を斡旋していたのではないかと疑われた――人種の違うカップルが、自分たちと同じ人種の混血の子どもを養子にと望むが、条件に合う子どもがなかなか見つからず、エージェントは下請けのブローカーに「発注」する。ブローカーが子どもを誘拐し、悪徳弁護士が合法的な書類をでっち上げるという手口である。だとすれば、ショーンはディブズに誘拐された後、別の名前で養子に出された可能性がある。

ショーンの事件後に養子縁組をしたアフリカ系とアジア系のカップルを探したところ、カーター夫妻が見つかる。養子のオースティンはヴェトナム出身でショーンではなかったが、カーター夫妻はオースティンの前に別のエージェントから養子縁組しようとして失敗していたことがあったという。現住所を調べると、付近でチェットらしい人物が目撃されていた。

マローンらはディブズ殺害容疑でチェットを逮捕するが、チェットはディブズから誘拐の話を聞きだしただけで殺してはいないと主張。使われた銃もチェットの物ではなかった。

一方、6年前の事件資料からは、ディブズの仲間と思しき「ボー・ウィリアムズ」の名前が浮上していた。だがウィリアムズはショーン誘拐の直後、自動車事故で死亡していた。ウィリアムズはディブズと弁護士を裏切り、ひとりで子どもを売ろうとして事故にあったものと思われた。ショーンは現地の病院に収容されたが、その後の消息は不明。偽名の書類を整えていたため、ショーンだとはわからなかったのだ。

ウィリアムズとディブズが死亡した現在、残っているのは弁護士。カーター夫妻に子どもを世話しようとした弁護士はジーン・クラークソンといい、ドラッグや売春に手を染める悪徳弁護士だった。ディブズはチェットが帰った後クラークソンに電話し、彼に殺害されたと思われた。マローンはチェットからクラークソンに電話させておびき出そうと思いつく。

おとり捜査に赴いたチェットはクラークソンにショーンの居場所を聞くが、彼は答えようとしない。チェットが思わず彼につかみかかり、マローンらが彼を取り押さえる。マーティンが拳銃を見つけ、マローンが脅しをかけると、クラークソンはようやく「ショーンはデトロイトのチャイルドセンターにいる」と答えた。チェットはヘレンとともにデトロイトへ赴き、現在はギャレットと呼ばれている息子と6年ぶりの再会を果たす。


感想

冒頭、チェットの部屋に佇むジャックの目から涙が!

この涙の理由は、ジャックが何年もチェットに協力してきたことや、チェットがショーン捜索にどれだけ必死だったかを個人的に知っているという事情もあるのだとは思うが、「ジャック・マローンというのはこういう捜査官なのだ」という強い印象を与える場面だった。失踪者の行方を知るために、失踪者の人生を知る。それだけに留まらず、失踪者の内面にまで入り込んでいくような。失踪者ではないが「ゆがんだ愛」でも容疑者の内面から揺さぶりをかけるような説得シーンが見られた。それがジャック・マローンの個性なのだろうが、シーズンが終わる頃には本人がボロボロになってしまうんじゃないかと心配になってしまう。

でもそれはそれとして、ストーリーはとても良かった。そろそろ泣ける話が見たいと思っていた頃だったし、養子の人種を希望するなんて日本人にはなかなか思いつかない。最後に、チェットとヘレンが手探りのようにおずおずと少しずつ距離を縮めていく場面も素晴らしい。原題の “Hang on to Me” は、「あこがれの街」でチェットが初登場した時、「ひとりで闘うしかないのか」と言うチェットにマローンが言った「私がついている(You can hang on to me.)」という台詞からだろう。

チェットがジャックに手渡した聖ユダのお守り。聖ユダはタダイとも呼ばれる聖人で、イスカリオテのユダとはもちろん別人なのだが、名前が災いしてかあまり信仰の対象にならず、近代になってからシカゴを中心に合衆国で信仰されるようになったのだそうだ。困難な状況にある人、絶望した人の守護聖人とのことで、チェットはまさしくそうだったのだろう。そしてジャック・マローンはこれからも、失踪者たちの困難や絶望を引き受けながら、彼らの内面に迫っていくのだろうか。聖ユダのご加護があるようにと願う。


使用楽曲

Yoko (yoko221b) 2008-03-22