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wat:s01:012_underground_railroad

Without a Trace - Season 1

#12 Underground Railroad

  • 邦題:「暴力からの脱出」
  • 脚本:Hank Steinberg
  • 監督:Tom McLoughlin
  • 初回放映:2003-01-16

事件概要

失踪者:キャシー・ドブソン

妊娠8ヶ月半のキャシー・ドブソンが失踪。夫のポールとともに病院に現れ、ポールが仕事に行った後、いつのまにか姿を消していたという。来院したのは体調不良のためだったが、検査の結果妊娠中毒症であることがわかり、一刻も早く分娩させなければ危険な状態であった。病院の監視カメラの映像をチェックすると、キャシーが不審な人物とともに廊下を歩いて行くところが映っていた。相手の人物は帽子とコートを着用し、人相も性別も年齢もわからない。

キャシーとポールは仲の良い夫婦だと思われていたが、その一方でキャシーが単独で別の産婦人科に行ってセカンドオピニオンを求めていたり、ポールがキャシーの浮気を疑って、弟のリッチーに命じて尾行させていたことなどがわかる。だがリッチーは「コートの人物」については何も知らなかった。ポールは腹を立て、キャシーが立ち寄った場所の住所を言わせて「自分で調べる!」と出て行ってしまう。それを知ったマローンはリッチーから住所を聞き、しらみつぶしに調査する。素人探偵のリッチーは、キャシーが訪れた建物までは記録していたが、どのテナントかまでは把握していなかったのだ。

キャシーの立ち寄り先の中に、家族法専門の弁護士事務所があった。事情を聞くと、キャシーは数ヶ月前に事務所を訪れ、離婚について相談したという。キャシーは夫から暴力を受けていたが、目に見える所は絶対に殴らず、家族や友達にも内緒にしていたため、言い分が認められない可能性が高かった。

別の立ち寄り先はDV被害者支援団体の事務所だったが、ダニーが聞き込みに向かうと、中では女性が頭を殴られて倒れていた。その女性はジョーン・ウィルソン。ブルックリンの小学校教師だったが、副業としてTV修理店を経営していた。その店へ向かうと、奥には偽造パスポートが何冊もあり、脅えた様子の女性と子どもが隠れていた。その女性に聞くと、キャシーはジョーンとともにその場へ来たという。緊急事態だったため、急いで準備を整えてどこかへ逃がしたのだった。

その後、キャシーが密かに受診していたフェルドマン医師が、DV被害者支援団体の一員であることがわかる。マーティンの説得で医師は協力することに同意、医師の手引きでヴィヴィアンが被害者を装って潜入する。

NY市警からキャシーの母親がスーツケースを持ってキャシーのアパートへ入ったと連絡を受ける。キャシーから電話を受けて衣服を取りに来たのだ。母親も同じくDV被害者であり、ポールの暴力にも気づいていた。だがキャシーの居場所の住所は夫(キャシーの父)に取り上げられた後、ポールに伝えられていた。マローンは父親を「捜査妨害で逮捕するぞ」と脅して住所を出させる。

一方潜入したヴィヴィアンは、落ち着いた様子だったため正体がバレてしまう。ヴィヴィアンは組織の女性ダイアンを必死で説得してキャシーと面会するが、そこへ銃を持ったポールが乱入。キャシーを連れて行こうとするがキャシーは拒否。隙をみてヴィヴィアンが銃を奪い、同時にマローンらが踏み込んでポールは逮捕される。


感想

原題の “Underground Railroad” は「アメリカ南部に奴隷制度が残っていた時代に、黒人奴隷を南部から北部へ逃がしていた、市民地下組織の通称」(NHK公式サイトより)だそうだ。妊娠中の既婚女性が失踪し、邦題が「暴力からの脱出」とくれば、「DV夫から妻が逃げ出す」という以外の話が予想できるだろうか? DVの話と見せかけて実は……みたいな展開も予想してみたけれど、結局ストレートにその話だった。

このエピソードの主題としては「一見幸せそうなカップルが実は……」という意外性の暴露よりも(そういうのなら「目撃証言」とか「白夜の太陽」の方が面白かった)、DV被害者の支援団体の活動を描くことの方に重点が置かれていたかなと思う。

ここに登場するような組織の描写がどれだけ現実に近いのかはわからないが、単なるシェルターではなく、偽造IDやパスポートを使って違う身元を作り上げてしまうという、やっていることだけ見れば密入国組織と変わらないというのがすごい。支援者の多くはもともと犯罪者ではなかったはずだ。合法的な活動だけで目的を達成できていれば、非合法活動などには決して手を出さなかっただろう。彼女たちの非合法活動は、利益を上げるためではなく生き延びるため――うーん、それにしてもCIAが「小僧の使い」なのは少々弱すぎる気もするが。

そんなわけで、ヴィヴィアンが潜入して組織の内情が描かれたところで、このエピソードは目的を達してしまったのだろう。ポールの行動には少々疑問が残るし、ポールの乱入やらキャシーの両親のあれこれは、最後の逮捕劇を時間内にまとめるため無理矢理持ってきたような感じもするが、まあいいかー。でもそろそろ、WATらしい帰還の話が見たくなってきた。

オープニング後のクレジットに「A.J. Buckley」の文字が出たので「おおっ」と思って身構えていたら、ポールの弟リッチーの役でご登場。現在CSI:NYではラボ技術者のアダムとして準レギュラー、本家CSIでは害虫駆除業者を演じてグリッソムを怒らせたこともある。

Yoko (yoko221b) 2008-03-20

wat/s01/012_underground_railroad.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko