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lao:s05:097_scoundrels

Law & Order - Season 5, Episode 9

#97 Scoundrels

  • 邦題:「幻の隠し財産」
  • 脚本:Ed Zuckerman, Charles C. Mann
  • 監督:Marc Laub
  • 初回放映:1994-11-30

事件概要

People v. John Curren (判事:Pamela Jensen)

弁護士のアーサー・コピンスキーが事務所で射殺される。ブリスコーとローガンは、コピンスキーの扱っていた事件ファイルから、カール・ピセリの事件に目をつけるが、ピセリはアリバイが確認される。彼らは次に、ウィラード・タッパン貯蓄貸付組合の書類に注目する。タッパンは数年前に貯蓄貸付組合を通じて顧客の金を騙し取り、連邦刑務所に収監されていたが、現在は釈放されている。コピンスキーは、タッパンの被害者に「タッパンの隠し財産が見つかりそうなので、経費を負担していただければ調査します」という手紙を送っていた。だがそのような隠し財産は存在せず、コピンスキーは被害者からさらに搾り取っていただけらしいとわかる。

タッパン(とコピンスキー)の被害者の1人、カレン夫人と息子のジョンは、刑事たちには「コピンスキーは私たちのために働いてくれていた」と話すが、その後、高齢者施設でカレン夫人と同居している女性が「あの2人が言ったのは嘘よ」と通報する。ジョンは弁護士の悪行に気づいており、母親が小切手を送ったと聞いて怒り「何をしてでも取り返す」と言ったという。犯行当日、ジョンがコピンスキーに3回も電話し、事務所を訪れたこともわかり、上着のポケットからは母親が書いた小切手が発見される。

ジョン・カレンは起訴され、サリー・ベルが弁護に付く。弁護側の証人として、カレン夫人の取引銀行の職員が出廷し、ジョンの依頼で夫人の小切手の支払いを停止したこと――すなわち、ジョンが小切手を取り返す動機がなかったことを証言する。マッコイは「ジョンがコピンスキーに対して怒っていた」とことを証言させようとするが、証人の答えは「被告人は、コピンスキーは逮捕されるべきだと言った」というものだった。

People v. Willard Tappan (判事:Herman Mooney)

凶器は不明、犯行の目撃者もなく、動機もなくなったため、マッコイとキンケイドは改めてコピンスキーの事件を調べ直すことにする。そこで2人は、コピンスキーがピセッリの事件を調査中にタッパンとの関連を発見していたことを知る。ピセッリが「自分のアイデアを盗んだ」と主張していたアリス・ハントリーは、実はタッパンの恋人であり、自分のビジネスを通じてタッパンの隠し財産を洗浄していた。コピンスキーはそれに気づいてタッパンを強請ろうとしたのだった。

だがタッパンのアリバイは確認される。つまりタッパンには動機があるが機会がない、逆にカレンには動機はないが機会はある。キンケイドはこの2つを結び付けることを思いつき、事件の前にタッパンのいる更生施設に電話があったことを調べ出す。カレンはコピンスキーにだまされていたことに気づき、大元の原因であるタッパンに電話をかけるが、タッパンは言葉巧みにカレンをけしかけ、カレンが犯行に及んだと考えられる。

それを証明するため、マッコイはカレンを証人とし、「タッパンは、コピンスキーが金を持っており、彼を殺せば金を取り戻せると言った」と証言させる。判事は陪審員に対し「この裁判はアーサー・コピンスキー殺害に限定されており、被告人の過去の行いはまったく関係ない」と説示するが、マッコイは陪審員の印象に残っているのはタッパンが14,000人を相手に詐欺を行ったことだろうと確信を持っていた。その言葉どおりタッパンは有罪の評決を受ける。


感想

弁護士殺し――被害者はどうやら、金融詐欺事件の被害者に接触して、さらに金を搾り取っていた悪徳弁護士らしい。大元の悪人であるタッパンは、詐欺をやるくらいだから言葉巧みに人を操ることは得意だったのだろう。まんまと騙されたカレンは犯行に及……んだのだろうが、結局のところ2人のやり取りを具体的に示す証拠などはなく、カレンの証言に頼るしかない。カレンがこの機会を利用してタッパンを陥れるために偽証したという可能性も考えられるわけだ。さらに、陪審員がタッパンを有罪にした根拠も、おそらくは彼が詐欺事件を起こしていたからなのだろう。

もちろん、マッコイは何一つ法に反したことはしていないわけだが、実質的には言葉巧みに陪審員の印象を操作したと言えなくもない。それって、タッパンがやった(とされる)こととどれだけ違うのかな? とちょっと考えてしまった。

シーズン2の「Misconception(ねじ曲げられた真実)」でも同じようなことを考えたが、結局「誰が何をしたか」よりも「誰がいちばん悪い(この事態を招いた責任がある)のか?」と考えざるを得ない場合、正攻法だけではやってられないこともある、ということなのだろうか。それでいいのか? という気もするけど、それを判断するのは陪審員の役目なのだろう。

このエピソードの元ネタとしては、80年代の貯蓄貸付組合危機が挙げられているが、現実ではこれが原因で殺人事件までは起きていないと思う。起きてないよね?

Yoko (yoko221b) 2010-04-22

lao/s05/097_scoundrels.txt · Last modified: 2020-04-18 by Yoko