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lao:s05:100_progeny

Law & Order - Season 5, Episode 12

#100 Progeny

  • 邦題:「ある女医の闘い」
  • 脚本:Ed Zuckerman, Morgan Gendel
  • 原案:Morgan Gendel, Mark B. Perry
  • 監督:Don Scardino
  • 初回放映:1995-01-25

You ever notice how some people's concern for life stops at birth?

事件概要

People v. Randall Jenkins (判事:Harlan Newfield)

医師のアイリーン・リードが頭を撃たれて死亡する。彼女は妊娠中絶を行っていたため、反対派から標的にされていた。だがクリニックでは、医師の名前や連絡先は秘密にしているはず。ブリスコーとローガンは、リード医師個人の患者を調べ、過激なプロライフ活動家のナンシー・ガンサーが「患者」としてリード医師の診察を受けていたことを知る。ナンシーの仲間には、破門された元牧師ドリュー・シーリーがいた。シーリーは、ナンシーからリード医師の個人情報を得て、中絶反対ビラに載せたことを認めるが、犯行当時はアリバイがあったとして殺人は否定。

その後、彼らの仲間のひとり、ランドール・ジェンキンスが「自分がリード医師を撃った」と告白。シーリーはメディアを呼び、衆人環視のもとでジェンキンスを逮捕させる。弁護人のガーネットは緊急避難(justification)を理由に無罪を主張する。

マッコイは「緊急避難は人命が脅かされた場合に適用されるものであり、受精卵は人ではない」と主張するが、ガーネットは、妊娠中の飲酒が虐待と見なされた判例を挙げて反論。判事は弁護側の言い分を認め、公判が開かれることになる。

キンケイドは、ジェンキンスが以前にクリニックで暴力事件を起こした事件を調べ、その時にジェンキンスが妻ジョーンの中絶を阻止しようとしたことを知る。妊娠を知った時、ジョーンはすでに夫と別れようとしており、結婚生活を続けることも1人で子どもを育てることもできないと判断して中絶したのだった。事件の後ジョーンは別のクリニックで中絶し、ジェンキンスには「流産した」としか言わなかった。ジェンキンスは復讐を望みつつも、担当医がわからなかったため手近にいたリード医師をターゲットにしたのではないかという疑いが生じる。であれば、それは個人的な行為であり正当化の主張は崩れてしまう。

だが、今度はシーリーが「私がジェンキンスに銃を渡して殺害を命じた主犯だ」と言い出す。

People v. Drew Seely (判事:Daniel Scarletti)

シーリーの目的は明らかに最初から、法廷に中絶問題を持ち込むことだった。ジェンキンスの行為が個人的な復讐であるとわかったため、理想的な被告人として自ら法廷に立つつもりなのだ。以前に主張したアリバイも厳密なものではなく、マッコイも「シーリー1人の方がジェンキンス1ダースより危険だ」と起訴に同意。

シーリーは弁護人を立てず、自ら弁論を行い「150年前には奴隷制は合法だった、だがその法律は間違っていた。当時の抵抗運動家と同様、私も高次元の法を守る」と述べる。

弁護側の証人として、かつて中絶を行っていたが現在は中絶反対に転向した医師が「私はかつて殺人を犯していた」と証言する。それを聞いたマッコイは「彼女を逮捕しろ」と命ずる。判事は慌てて「中絶は合法だ」と言うが、判事にそれを言わせることがマッコイの目的だった。

マッコイは「ジェンキンスは正しい行いをした」と言うシーリーに対し「それが正しいなら、なぜ自分で直接行わなかったのか」と聞く。シーリーは最初「自分が実行犯にならなければ、刑務所へ行くこともないので運動を続けられる」と主張するが、今まさに刑務所へ行こうとしている状況と矛盾する。自ら銃を持って引き金を引かなかったのは、それが悪いことであるという自覚があったからではないのか。聖書に手を置いて真実を述べると誓ったシーリーは、それに答えることができなかった。本人が心から信じているのでなければ、正当化は認められないことになる。判事も「根拠を述べられないのであれば、弁護材料はない」と取引を勧め、シーリーは第2級謀殺罪での有罪を受け入れる。


感想

100話記念なのかどうかは知らないが、重いテーマのエピソードが来た。中絶問題が取り上げられるのは、シーズン1「Life Choice(生命の行方)」以来のこと。シーズン1当事はレギュラー陣が男性ばかりで、「女性の権利を男だけで話し合っている」という台詞があった。あれから時は流れ、今回はレギュラーに女性が2人加わり、それぞれの視点を発揮する。

「プロライフ(生命尊重)というけれど、産まれさせることに熱心なだけで、産まれた後の子どもにはハナもひっかけない」という台詞は、やはりヴァン・ビューレン警部補に言わせるのがいちばん自然な感じ。確かに、ジェンキンスもシーリーも「ビラ配り、座り込み、脅迫」などの活動をしたけれど効果がなかったので殺したと、とは言うけれど、妊婦が安心して出産・育児できるような環境を作ろうという発想はないらしい。現実にそういう活動をしている人はいるだろうけど(でも事件を起こさないのでドラマにならない)。

もう1人の女性レギュラーであるクレア・キンケイドも「アイリーン・リードは女性の権利を守ったために死んだ」と彼女らしいところを見せるが、それに対してマッコイが言った「アイリーン・リードはジェンキンスに頭を銃で撃たれたから死んだのだ」という言葉からは、思想問題に踏み込まず、あくまでも冷酷な殺人事件として捉えようという姿勢が感じられた。思想問題にしてしまえば、それこそ相手の思う壺。中絶に関しては合法であるという確認で十分であり、それ以上の(生命尊重や女性の権利といった)問題は避け、シーリーの主張の矛盾を突くことによって、彼らが活動のために法廷を利用したことを明らかにした。「人を殺せないと認めたことによって殺人で有罪を認める羽目になる」とは何と皮肉な。

シーリーにしてみれば、陪審員が無罪の評決を下せばもちろん勝利であるし、有罪であっても「殉教者」になれるので、どちらに転んでも悪くない、というつもりだったのだろう。法廷で立ち往生し、取引で有罪を認めるというのは、いちばん望まない結果だったに違いない。被害者の夫に対する冷酷極まりない尋問を思うと、いい気味だと思わないでもないなぁ。

Yoko (yoko221b) 2010-05-30

lao/s05/100_progeny.txt · Last modified: 2020-04-18 by Yoko