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wire:s03:027_all_due_respect

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The Wire - Season 3, Episode 2

#27 All Due Respect

  • 邦題:「思い違い」
  • 監督:Steve Shill
  • 脚本:Richard Price
  • 原案:David Simon, Richard Price
  • 初回放映:2004-09-26

“There's never been a paper bag.” - Colvin

概要

ディアンジェロ・バークスデールが「自殺」したことを知ったマクノルティは、検死報告書を持って検死官の意見を聞く。詳細な記録や現場写真がないため断定はできないが、他殺の疑いが強いように思われた。マクノルティはその後、ディアンジェロの恋人ドネットのもとを訪れる。

ストリンガーは刑務所でエイヴォンに面会し、解体されたタワーの代わりに「ダウンタウンの近くに新しい縄張りを確保しろ」という指示を受ける。ストリンガーは手下に命じて、他のディーラーと交渉させる。ボディはマーロ・スタンフィールドと接触しようとするが、手下のガードが固くなかなか近づけない。

チーズは闘犬ショーで自分の犬を戦わせるが、別の売人ダズの犬に負けてしまう。その後、チーズは犬を撃ち殺し、トリアージはダズが不正をしたことを示唆する。数日後、トリアージはダズの手下を射殺。そしてMCUは、チーズが「殺害」について語る通話を傍受する。

ダニエルズらはこの「殺害」を立件すべきかを話し合う。立件すれば、電話を盗聴していたことを公開せざるを得ず、彼らに対する有力な武器をひとつ失ってしまうことになる。マクノルティは目先の殺人事件よりも、チーズからプロップ・ジョーへ、そしてストリンガーの逮捕に固執するが、ダニエルズは、MCUを設立した目的は暴力事件(violence)への対処であると主張。バークスデールは暴力的だったが、ストリンガー自身は大人しい麻薬ディーラーであり、麻薬課が担当すべき対象である。MCUが対処すべきは、いまや戦争と化しつつあるディーラーたちの抗争なのだった。

チーズは逮捕され、殺人事件が解決――と思いきや、チーズが語っていた「殺害」は犬を撃ち殺したことと判明、罪状は市内での発砲と動物の不適切処分にしかならなかった。チーズ釈放後、傍受していた通話はすべて途絶する。

その晩、マクノルティはパールマンに誘いをかけるが無視されてひとり帰宅。パールマンはダニエルズに急接近し、2人でダニエルズ(別居中)の新しい住居へ。そしてグレッグスは恋人シェリルと赤ん坊を置いてレズビアンバーへ出かけてしまう。

バレルとカルケッティはヴァルチェックの仲介で再び会合を持ち、今回は何やら進展があった様子。バレルは、70名の警官が定年退職するというのに、市長がポリスアカデミーの予算をカットしたため新人が確保できないことを打ち明ける。

ウェスタン地区のカーヴァーの部署では麻薬の一斉捜査が行われるが、その途中でドーザマン巡査が撃たれて重傷を負う。コルヴィン警視は捜査員を集め、ウェスタン地区でのアンダーカバー捜査を一時停止することを言い渡す。コルヴィンは紙袋を取り出し、かつて市議会が公共の場でのアルコール消費を禁じた話をする。当然、街角も禁止の対象ではあるが、そこは伝統的に「貧者のラウンジ」であった。四角四面に取り締まれば、マンパワーを割かれて本来の警察業務ができなくなってしまう。かといって、見て見ぬふりをすれば警察は威信を失う。その時に考案されたのが、酒瓶を紙袋に入れて持ち運ぶという妥協案であった。コルヴィンは続けて言う。「ドラッグに対する紙袋は存在しなかった……今までは」


感想

あ~せっかくの盗聴が~。チーズが電話で「殺し」をしゃべったからってホイホイ飛びついてどうするの!

それまで慎重に慎重を重ねてきたプロップ・ジョー直属の部下がそんな軽率なことをするだろうか? と皆一応疑ってはみるものの、まさか犬を殺したとは思わなかったわけだな……。

さて、一方でストリンガーは組織の運営を何だか民主的に、会議を開いて話し合っているらしい。この会議、ちゃんと「ロバート議事規則」に従って運営されているのだそうだ。よく見ると、議事進行係のシャムロックがちゃんとその本を読んでいる。

「ロバート議事規則」は会議の運営・議事進行を定めた規則集で、19世紀後半に軍人ヘンリー・M・ロバートによって書かれたもの。米国では最も権威ある議事法典だそうだが、麻薬組織でも活用されているとは(ボディたちは何だか窮屈そうだけど)。ストリンガーが中心になったことに加え、アジトがクラブの裏から葬儀場に移ったせいもあって、雰囲気が妙に堅苦しくなった気がする。犯罪組織の会合というより、一見刑務所の更生プログラムかと思うような……。

ところで、今シーズンから登場のデニス・メロ警部補(警部かな)を演じているのはジェイ・ランズマンさん。殺人課の巡査部長の名前が同じジェイ・ランズマンなので混乱したのだが、役名のランズマンの名前の由来が、メロ役の俳優ランズマンさんなのだそうだ。実物のランズマンさんは元ボルティモア警察殺人課の刑事で、マンチッチことジョン・マンチ刑事(「ホミサイド」「Law & Order: SVU」)のモデルでもある。いろいろ縁のある人なのだ。

Yoko (yoko221b) 2008-01-15

wire/s03/027_all_due_respect.txt · Last modified: 2024-03-09 by 127.0.0.1