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csi:s05:100_ch-ch-changes

CSI - Season 5, Episode 8

#100 Ch-Ch-Changes

  • 邦題:「第三の性」
  • 脚本:Jerry Stahl
  • 監督:Richard J. Lewis
  • 初回放映:2004-11-18

Maybe originally we were supposed to be able to switch genders, and being born with just one sex … is a mutation.

事件概要

ウェンディ・ガーナー(ウォルター・クランシー)/ヴァーン・サルダスキー事件

車上で女性が首を切られて殺害された。近くにはビデオカメラが落ちていたがテープは入っていなかった。車の中には、持ち主ウォルター・クランシーの免許証が入っていた。検死の結果、被害者の女性は元男性で、性転換手術を受けていることがわかった。

被害者は死ぬ前にパトカーの警官と接触していた。被害者は、警官に「これは弟の車で自分は免許証をなくした」と説明していた。警官はそれを聞いて、警告のみで彼女を解放したという。

被害者の身元はタンジール・カジノでダンサーをしていたウェンディ・ガーナーと判明。また、免許証の主ウォルター・クランシーも同一人物であった。ウェンディの口には唾液と精液が残っていたが、いずれも警官のものではなかった。ウェンディの靴には、ウェンディでも巡査でもない男性の血液が付着していた。

ウェンディが持っていたエンゲージリングのシリアル番号から婚約者の身元が判明。婚約者のアーロンは、妻を亡くした後、近親者を亡くした人々のサポートグループでウェンディと出会っていた。ウェンディは双子の弟「ウォルター」を亡くしたという。アーロンはウェンディと同居していたが、保守的な価値観の持ち主で婚前交渉はしていなかった。ウェンディは自分の血液を使って月経まで偽装し、婚約者の前では完全に女性を演じていた。浴室には何種類もの薬と、暗号のような数字が書かれたメモがあった。薬は外科手術後に服用するもので、ほとんどがメキシコで処方されていた。

グリッソムはウェンディの親友のミモザから話を聞く。事件の日、ウェンディはミモザに電話をかけ、ビデオテープのことを何か話したという。ウェンディは、モナ・ラヴァルというカウンセラーのもとに通っていた。モナ自身も元男性で性転換者だった。

事件当日のウェンディの足取りを調べると、ラヴァル博士のクリニックから巡査に止められるまでの間に空白の時間があった。その経路には倉庫街があり、ウェンディの自宅にあったメモにあった番号と付き合わせると、倉庫の番号と鍵の暗証コードであることがわかる。そのメモにあった「G-105」の近くには、血の付いた足跡。倉庫を開けてみると、中には女性(?)の遺体。状況から、ヤミで性転換手術を行い、それが失敗して患者が死に至ったと思われた。死亡したのは約2日前、ウェンディよりも前だった。

指紋から、被害者はヴァーン・サルダスキーと判明。グリッソムはヴァーンの親友メルセデスから、ベンウェイという医師の名を知る。倉庫で発見された指紋も、カール・ベンウェイという元軍医の物だった。発見された医療器具を購入したのもベンウェイ。だが、ベンウェイ名義の医師免許もパスポートも運転免許証の記録も見つからない。

グレッグの調査によると、カール・ベンウェイはヴェトナム戦争に従軍した衛生兵。ガーナからメキシコへ渡り、違法な中絶手術で逮捕。医師免許は持っていなかった。その後、市民運動に参加した時に再び逮捕された。グリッソムはその時の写真を見て、モナ・ラヴァルこそが性転換後のカール・ベンウェイであることに気づく。だが、ウェンディのセッションの後、モナは娘のサッカーの試合を見に出かけており、アリバイがあった。

ウォリックはラヴァル博士の自宅を捜索し、ゴミ箱でビデオテープを発見。DNAから、ラヴァル家の乳母アンバーも倉庫にいたことがわかる。アンバーはラヴァルの性転換手術の助手をつとめていた。しかしアンバーもモナとともにサッカーの試合を見に行っており、アリバイ成立。ビデオテープには、ブライダルシャワーの様子とともに、倉庫での惨状が映されていた。テープの指紋はモナの夫フランシスのものだった。

ウェンディは婚約者に自分のことを秘密にしておこうとしたが、モナは話すべきという意見だった。ウェンディはモナを口止めするために、脅しの材料として倉庫を撮影、そこでヴァーンの遺体を発見した。それをフランシスが見てウェンディを追跡し、殺害に及んだ。ウェンディの口から検出したのは、フランシスの唾液とモナの精液。これはフランシスがモナとオーラルセックスをし、その唾液が口論でとんだせいだった。


感想

記念すべき第100回エピソード。このエピソードはある意味でとてもCSIらしい話であり、別の意味ではいまいちCSIらしくない話だと思った。

CSIらしいのは、いかにもベガスらしい怪しい世界。そして、その見かけの怪しさを貫いて相手の本質にせまろうとするグリッソムの冷徹でまっすぐな視線。偏見と好奇の目に晒され、必要以上に攻撃的になりがちな相手に対して、ストレートに向き合うことで相手の警戒心を解いてしまうグリッソムの姿は、シーズン1「引き裂かれた静寂の闇」やシーズン3「遺伝子への憎しみ」でも見られた。

また、ヴァーンの遺体のグロテスクなところもCSI、特にベガスならでは――といったところだろうか。遺体のグロさ加減ではシーズン4「蝶の亡霊」に匹敵するような気がする。ただ今回は「グロテスク」というよりは、凄惨というか痛ましいと言うべきかもしれない。グロというなら、自分たちで死なせておきながら、その遺体をほったらかしてのんきにサッカーを見に行ってしまうという、その感性の方がよほどグロテスクだ。

逆にCSIらしくないのは、証拠よりも聞き込み捜査を中心に動いていたこと。科学捜査的な決め手は指紋とDNAだけじゃなかったかな。それも、せっかく性転換というDNAが大活躍しそうな素材があるのに、ごく単純な使われ方しかしていなかったように思う。倉庫の番号と暗証コードがわかったのも都合よすぎだし(だいたい何でそんなメモが浴室に貼ってあるのだ)、ウェンディの口に唾液と精液があったという謎も、最後に取ってつけたような解決で、そこに少々不満が残った。

ウェンディに共感できなかった点も、このエピソードを素直に楽しめなかった理由のひとつかなと思う。身も心も女性になりきろうとして必死だったことはわかるのだが、彼女の目標とする女性像は、やはり男性的な視点から見た女性像であるという気がして、そこはやはり、苛立ちを感じずにはいられないところ。

面白かった点は、ニックが「医者の名前がわかった」と言ってやって来たところへ、サラたちが「ベンウェイ!」と先回りする場面。小説版で似たような場面があって、それを読んだ時「これ映像で見たい~」と思ったので、願いがかなって嬉しい。


単語帳

  • LoJack:電波を使用した追尾システム
  • Dressed to Kill:「殺しのドレス」1980年作品、監督:ブライアン・デ・パルマ、出演:マイケル・ケイン、アンジー・ディッキンソン
  • disenfranchise:=disfranchise(公民権を剥奪する)
  • bridal shower:結婚式の前に、花嫁が親しい女性たちを招いて開くパーティ

Yoko (yoko221b) 2006-08-07

csi/s05/100_ch-ch-changes.txt · Last modified: 2024-02-18 by 127.0.0.1