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dexter:s01:003_popping_cherry

Dexter - Season 1, Episode 3

#3 Popping Cherry

  • 邦題:「指先のない死体」
  • 監督:Michael Cuesta
  • 脚本:Daniel Cerone
  • 初回放映:2006-10-15

概要

ストーリー

デクスターはシモンズ夫妻の葬儀に出席した後、新たなる獲物ジェレミー・ダウンズに目をつける。4年前に15歳で殺人を犯して少年院に入れられ、出てきたばかりだった。デクスターは、ジェレミーが市場でナイフを買って振り回しているのを見る。

デボラは殺人課に配属され、最初の事件現場へ出かける。アイストラック・キラーの被害者が、今回はアイスホッケーのアリーナで発見されたのだ。やはり全身をバラバラにされ、各部位をラッピングして並べ、頭部だけがむき出しのままその上に乗せられていた。手には指先がない。前回発見されたシェリ・テイラーだった。デボラはシェリの顔を見て、潜入していた時に知り合った売春婦の「チェリー」であると気づく。アリーナの監視ビデオは、リンクが映っているテープのみ紛失しており、夜間警備員が行方不明になっていた。

デボラは彼女らの「仕事場」に聞き込みに行き、シェリが「ウッドパネルの付いたステーションワゴン」に乗り込むところを見たという情報を得る。一方、ラグェルタらは警備員トニー・トゥチの自宅を捜索し、監視ビデオを発見。そこには、トゥチがリンクに遺体を並べているところがはっきりと映されていた。ラグェルタはトゥチを指名手配して、全力で探し出すよう命じる。

だが、デボラやエンジェルはトゥチの犯行とは思っていなかった。トゥチはステーションワゴンを持っていないし、自分が映った監視ビデオを自宅に置いたままというのは、これまでの慎重な手口からは考えられない。さらに、被害者の身体の組織を保存するために液体窒素が使われていた。この薬品を扱うには専門的な知識が必要だが、高校の化学すら合格しそうにないトゥチに可能なのか。

デクスターはジェレミーの後をつけ、彼が仲間の少年を殺そうとするところを邪魔する。ジェレミーは驚いて逃げたが、その途中でデクスターの車から財布を盗んで行った。デクスターは「人間のふりをしようとしてしまった」自分に戸惑い、自分の最初の「仕事」を思い出す。

それは、養父ハリーが入院していた病院の看護師だった。彼女はハリーや他の患者たちに大量のモルヒネを注射していた殺人者だった。デクスターは彼女の目を見て「同類」だと悟り、ハリーのGOサインを得て彼女を切り刻んだ。

ドークスは、カルロス・ゲレロの娘の堅信礼に出かけ、シモンズ事件について娘に話を聞こうとして、ゲレロに追い出される。その後、カーラの兄マクナマラ刑事に誘われて数名で出かけるが、彼らはゲレロの手下を痛めつけに行こうと言い、変装用のマスクを取り出す。ゲレロに顔を知られているドークスは「冗談じゃない」とその場を去るが、他の刑事たちはそのまま行ってしまう。マクナマラは、妹がドークスと浮気していたことを知り、ゲレロの怒りの矛先をドークスに向けようとしたのだった。

デクスターは改めてジェレミーを処刑しに行くが、そこでジェレミーが15歳の時にレイプされ、相手を殺害したことを知る。ならばジェレミーのしたことは単なる人殺しではなく、自分と同じように「社会のゴミ」を取り除いただけということになる。デクスターはジェレミー殺害を中止し、盗まれた財布を取り返しに来たということにした。

デクスターは表と裏の仕事の合間にリタと子どもたちの面倒を見ている。リタの前夫は服役中だが、「奴に金を貸している」と言う男が現れ、車を持って行ってしまったのだ。車がなくて困っているリタのために、デクスターは子どもたちの送り迎えをしてやり、最後には「新しい車を買うまで使っていいよ」と、警察に押収され競売にかけられる予定だった車を持ってくる。

マイアミ警察事件ファイル

  • アイストラック殺人No.5: 前回発見されたシェリ・テイラーの、今回は残り部分が発見される。ラグェルタ警部補は遺体発見現場になったアリーナの警備員トゥチを容疑者として指名手配する。
  • リッキー&カーラ・シモンズ: ドークスが引き続き捜査中のようだが、実行犯が死亡しているのでなかなか突破口が開けない。

デクスター被害者ファイル

  • No.4 ハリーの看護師: フラッシュバックに登場する、デクスターの最初の獲物。ハリーが入院していた病院の看護師で、規定より多くのモルヒネを注射して患者を過剰服用で死なせていた。デクスターは彼女を殺害して、父の命を救う。

感想

今回は、マイアミらしい色鮮やかな風景がとても美しかった。

原色の花や果物、ワニのいる湿地帯(あんな所でフリスビーする奴なんているか!)。レモンの樹に水をやるリタ。最後にデクスターが乗って来た車も、びっくりするような派手なデザインだった(どこから押収したんだろう)。

華やかな色彩と哀愁を帯びたラテンの音楽、その中でただひとり、昏い夢を見るデクスターの姿が強い印象を残す。これはやはり映像と音楽あってのことで、文字だけの原作で表現しきれない部分をうまく発展させているなぁと思う。物語の舞台がなぜ、ボストンでもシアトルでもなく、マイアミでなければならなかったのか。その答を見せられたように思った。英語とスペイン語ちゃんぽんの会話や教会の壮麗な装飾を見ていると、どうしても南北アメリカのたどってきた歴史や政治的な背景のことを考えずにいられない。

「自分は感情を理解できない」というモノローグで始まったエピソードが、友を探し求めるデクスターのモノローグで締めくくられる。その「友」とはアイストラック・キラーなのか、それとも今回「自分と同じだ」として標的から除外したジェレミーなのか。友を得たいと思うことと、人間的な感情とは違うことなのだろうか。人の命を奪い続けることで人間性から切り離されるというが、切り離される(disconnect)のであれば、かつては connect されていたということなのだろうか。最初の獲物となった看護師の目を見て、デクスターは「同類」を見抜いた。結局のところ、自らが血に飢えた殺人鬼でありながら、ハリーの掟を守って自分と同じ殺人鬼を殺し続ける、そのことがデクスターをいやおうなしに孤独へと追いやってしまうのだろうか。そんなことをあれこれと考えてしまった。

それはそうと、チェリーの仲間が彼女を「昨夜」見たというのはちょっと変じゃないだろうか。前回のエピで死後に切断された指が見つかってから、1日以上経ってるよね……。

Yoko (yoko221b) 2007-09-03

dexter/s01/003_popping_cherry.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko