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dexter:s06:071_talk_to_the_hand

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Dexter - Season 6, Episode 11

#71 Talk to the Hand

  • 邦題:「ゲラーの手」
  • 脚本:Manny Coto, Tim Schlattmann
  • 監督:Ernest Dickerson
  • 初回放映:2011-12-11

概要

デクスターの通報で現場に警察が駆けつける。毒ガスが発見されたため、デボラは国土安全保障省に連絡。中にはスティーヴの遺体があり、デボラはルイスからスティーヴのメッセージの件を聞かされ、スティーヴの家に応援を派遣する。

その頃、エンジェルを監禁したトラヴィスはベスに毒ガスの容器とエンジェルのカードキーを渡し、マイアミ市警の殺人課に毒ガスを撒き、デボラを殺すよう指示する。

ベスは殺人課へ向かい「DDKの情報をモーガン警部補に直接伝えたい」と言ってデボラの帰りを待つ。

トラヴィスはベスが警察署へ入ったことを知り、用済みとなったエンジェルを殺そうとするが、クインが駆けつけたため火をつけて逃亡。エンジェルはクインに救助される。

デクスターは署に戻り、スティーヴ・ドーシーについて調べる。その過程でベスの写真を発見し、その女性が今まさにデボラと同行していることに気づく。ベスがガス容器のスイッチを入れるのを見たデクスターは咄嗟にベスを取調室に閉じ込め、デボラは全員を避難させる。ベスは毒ガスで絶命、ガスを少量吸い込んだデクスターも毒物の影響を受ける。

いったんは警察に任せようとしたデクスターだが、捜査の指揮権が国土安全保障省に移ったため、やはり自らトラヴィスを手にかけようと思い直す。ハリソンをジェイミーとともにホテルに泊まらせ、次のタブロー「火の池」について調べる。

その頃トラヴィスは夫婦2人を殺害してその家を占拠し、ベスの計画が失敗したことをニュースで聞いていた。

デボラはセラピーを受け、デクスターへの気持ちには兄妹以上のものがあるのではないかと示唆される。

ルイスはITK被害者の義手に手相を書き込んで梱包し、デクスターの自宅へ送りつける。

デクスターは保存しておいたゲラーの手首を使って公園の噴水に細工し、偽のタブローを作る。翌朝清掃員が発見して通報、マスオカは手首の主がゲラーであることを突き止める。切断は死後に行われたものであることから、ゲラーがトラヴィスに殺害されたことが明らかになる。

トラヴィスは偽タブローのことをニュースで知る。そこへデクスターからの動画メッセージが入り、背後に映るボートの “Slice of Life” という船名を書き留め、「タブロー」の悪魔の顔をデクスターに描き換える。

デボラはジェシカ事件の顛末をマシューズの口から聞いた後、秘密にしておくことに同意するが、その件はなぜか本部長の知るところとなり、マシューズは辞職を求められ、デボラを非難する。デボラはラグェルタの仕業だと知るが、ラグェルタは「噂は広まりやすい」と嘲笑う。

ドーシー夫妻がテロリストでないことがわかり、捜査権はマイアミメトロ署に戻る。

デクスターはトラヴィスにビデオを見せた後、別の船を “Slice of Life” 号に仕立ててトラヴィスを待ち伏せるが、毒ガスの後遺症が出たためトラヴィスに反撃され、ボートに乗せられて火をつけられてしまう。デクスターは燃える海から間一髪で脱出するが、そこは広い海の真っ只中。


感想

デクスター大ピンチ! で終わった今回のエピソード。ゲラー教授の凍った遺体を目にして、それまで「ゲラー」だった人格が完全にトラヴィスと一体化したようだ。彼が乖離性同一性障害だったとすると、それまでの「トラヴィス」がどこかにいるのかもしれないが、もう全く表に出て来ないようだ。「審判の日」を前にして、弱い人格は抑え込まれてしまったのだろうか。

それはともかく、今回のタブローは「火の池」、これは黙示録19~20章に登場する。バビロンが滅び、偽預言者は獣とともに「火と硫黄の燃える池」に投げ込まれ、サタン(竜)は深淵の中につながれてキリストの千年王国が実現する。サタンは千年後に解放されて再び戦いを挑むが、あっさり負けてしまい、サタンもまた「火と硫黄の燃える池」に投げ込まれる。その後、最後の審判が下され、死と黄泉が火の池に投げ込まれ、命の書に名前が載っていない者たちも同じく火の池に投げ込まれる。もう何でもありな最終処分場になってきた。これまでのタブローはかならずしも黙示録に登場する順序どおりではなかったが、「審判の日」を前にしていよいよタブローも最終局面に来たことを思わせる。

「火の池」は黙示録に何度も登場するせいか、なかなか「これだ!」とピンとくる図が見つからない。なので代わりといっては何だが代わりにハンス・メムリンクの「最後の審判」の絵を挙げておく。これを選んだ理由は、向かって右側で燃えている図がいちばん怖かったから。

いったんは「警察に任せよう」と思ったデクスターだが、捜査権が一時的に国土安全保障省に移り、またマイアミメトロ署に戻るうちに、やはり自分で仕留めることにしたらしい。トラヴィスはデクスターが殺人者であることを知らない(むしろケイシーを助けようとした)し、最初にトラヴィスを狙ったことを「脅しただけ」とごまかせれば、後は「大いなる力」にお任せしても良さそうな気がするが。しかしデクスターにしてみれば、ベスが死んで毒ガスの危険がなくなれば、もうトラヴィスを他人の手に渡したくはないのだろう。これはもう、シリアルキラーだからしょうがないのかもしれない。

さて、DDK以外の話ではまずルイスが持っていた例の義手。大枚はたいて落札したはずの証拠品に、何やら手相のような線を描き込んでデクスターに送りつけているが、これは殺人ゲームを貶されたことへの腹いせか、何かもっと裏があることなのか。しかしルイスのゲームって、アイストラック・キラーやベイハーバー・ブッチャーのような現実の事件をネタにしている、いわば「不謹慎ゲーム」でしょ。それをトリニティに奥さんを殺された遺族に見せるなんて、普通に考えて非常識極まりないし褒められるわけないと思うんだけどな。やはり何か意図がありそうな気がする。デクスターとITKの関係を知っているんじゃないだろうか。

そしてマシューズ警部の件。デボラはマシューズから「ジェシカの死は本人が所持していた薬物によるもので、心肺蘇生を試みたが手遅れだった」と聞かされ、それを公表しないことに決めるが、その途端に上層部にチクリが入ってマシューズは失脚、強制引退。マシューズはデボラを非難するが、ちょっと待ちたまえ。マシューズを失脚させる動機も機会もある人間がすぐそばにいるのに、なぜデボラを疑う? そもそもあんたが買春したのが事の始まりではないか。奥さんが亡くなってから寂しかったというが、なら別に浮気には当たらないわけだから、堂々と同席できる相手と付き合えば良いではないかと思う。

さらに、ここに来てまたややこしい問題が。デボラがセラピーを受けて、デクスターに対する複雑な思いがあるのではないかと言われてしまう。え~ちょっと待ってよ~。

確かにこの2人は血のつながった兄妹ではないし、また禁じられた恋のドラマがあっても良いとは思う。しかし! 今までの描写は「仲の良い兄妹」の範囲を超えていなかったと思うし、リタをデクスターに紹介したのもデボラだったはず。そういう過去の人間関係描写をいちから見直さなきゃいけないような方針転換は、ちょっと止めてほしいなぁ。しかも演じている俳優同士が結婚と離婚を経験しているとなると、役者とキャラクターは別だといっても、やっぱりちょっと生々しいと思うのだ。この点は、セラピストの側に何か邪悪な意図があってデボラを誘導しているとか、そういう裏事情があってほしいと思う。お願いよ。

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Yoko (yoko221b) 2012-12-24

dexter/s06/071_talk_to_the_hand.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko