User Tools

Site Tools


homicide:s03:039_hate_crimes

Homicide - Season 3, Episode 6

#39 Hate Crimes

  • 邦題:「偏見」
  • 脚本:James Yoshimura, Tom Fontana
  • 監督:Peter Weller
  • 初回放映:1995-11-17

事件概要

No.218 Zeke Lafeld

ペンブルトン、ベイリス担当。ジーク・ラフェルドという若者が路上で襲撃される。ペンブルトンらが現場に着いた時にはまだ息があったが、結局何も言わず死亡。目撃者は「スキンヘッドの男たちに襲われた」と言い、現場の近くにゲイバーがあったことから、被害者がゲイだったためのヘイトクライムと考えられた。

被害者の父親は息子がゲイと聞いて激昂し、「それが本当なら死んで良かった」と口にする。ベイリスとペンブルトンはネオナチグループのアジトを急襲して「ゲイの若者を殺した2人」について乱暴に聞き出す。

その後、ジークの友人たちが警察を訪ね「彼はゲイではなかった」と言う。実際、ジークは恋人のサンドラと婚約し、女と浮気して破棄してはまた元のサヤに戻ることを繰り返していた。

結局彼らの言葉どおりジーク自身はゲイではなく、恋人へのプレゼントを買った帰りにゲイバーの近くを通りかかり、そこへやって来たネオナチ2人組に襲われたのだった。息子がゲイではなかったと聞き、父親は心から安堵した様子を見せる。

No.034 Erica Chilton

小学校の教師が「生徒のことで相談がある」とルイスを訪ねる。2年生のキャサリン・チルトンが前年に母親を殺されてから、クッションで顔を抑え「殺人ごっこ」をしたがるというのだ。チルトン事件は当初クロセッティが担当し、彼の死後にハワードに割り当てられ、いまだに未解決のままになっていた。

キャサリンは事件当夜のことを何も覚えていないというが、母親の部屋に男性がおり、シャツが床に落ちていたことを覚えていた。

ハワードは「現在の担当は自分なのだから」と、ルイスが先にキャサリンと話したことを怒る。2人が口論している間にケラマンはさらにキャサリンと話し、男のシャツに「MとTの文字」があったこと、彼がクッションを手にしていたことを思い出す。エリカの婚約者の名はトム・マランズだった。

ルイスとケラマンはマランズを警察署に呼び、新型の嘘発見器(音声分析器)で遊ぶふりをしてマランズにマイクを持たせ、「なぜエリカを殺した?」とたずねる。2人の追及に、ようやくマランズは犯行を認める。エリカが以前の恋人を忘れられないでいるという嫉妬心から彼女を殺害したのだった。


感想

事件は二本立て。タイトル「偏見 (Hate Crimes)」になっているラフェルド事件は、ゲイバーの近くで若者が殺されたというもので、ペンブルトンとベイリスが担当。場所が場所だし「スキンヘッドの2人組が被害者に襲いかかった」という目撃証言があるし、ということで刑事たちは何の疑いもなく被害者がゲイで事件はヘイトクライムであろうと判断。

被害者の父親は「ヘイトクライム」と言われても最初はピンと来なかった様子。ペンブルトンに向かって「ヘイトクライムというのは、あなたのような人(黒人)が対象でしょう」と言う。その後、息子がゲイかもしれないと聞いて激昂し「本当に息子がゲイだったとしたら、いっそ死んでくれて良かった」とまで言い放つ。このお父さんはお世辞にも頭が柔軟とは言えないが、かといってネオナチに理解を示しているわけでもないようだ。中年オヤジとしては良くも悪くもごく普通に保守的な人なのだと思う。「普通に」というのはつまり、被害者が誰であれ殺人は犯罪であり、悪いことだという所までは認識を共有できているから。しかしマイノリティが攻撃されるという現実それ自体には特に何の疑問も抱かず、まして自分たちがその対象になるとは想像もしていない。それがこの問題の根の深さを感じさせる。

結局、被害者はゲイではなく、たまたま通りかかっただけだとわかる。お父さんはそれを聞いて「これでようやく本当に息子の死を悲しめるようになった」と落涙。誤解したのはスキンヘッドたちも同じで、ヘイトクライムには違いないわけなので、そこで「良かった」と終わってしまう親父さんの姿には強い疑問が渦巻いてしまうわけだが、もはや何を言っても届かないだろうし、ゲイについての認識を改めることもないんだろうなと思う。

もう一件は前シーズンから未解決のままだったチルトン事件。この事件はもともとクロセッティの担当で、彼の死後ハワードに割り振られたものの、証拠品の手紙を紛失するなどの失態があって未解決のまま。なので冒頭の “Previously…” に前シーズンの映像がいくつか映るのだが、ここでハワードの背後に貴重なフェルトンの姿が!

被害者エリカ・チルトンには幼い娘がおり、この子の担任教師がルイスの所へ相談に来たことがきっかけで、事件は新展開を迎える。たまたまそこにいなかったおかげで取り調べに同席できなかったハワードは苛立ちを隠そうとしない。この2人の対立、どうにかならないものか……。

結局、キャサリンの目撃証言からエリカを殺したのは婚約者のトム(役者はホレイショ弟)だったとわかる。エリカがまだ元彼を忘れていないらしいことに嫉妬して殺し、その元彼に罪を着せようとして手紙を提出したものの、その手紙が紛失して事件は未解決になってしまっていた。今までノーマークだったのは初動捜査でアリバイが確認されていたからだが、口裏を合わせて偽装しただけだったという単純なオチ。クロセッティの置き土産の中でもいちばんの難事件、と思われていたが真相は意外に単純。

見所はトムに自白させた取調べ場面だ。最初のうちは音声ストレス分析器(音声を分析して嘘をついているか判断する装置)で遊んでいるフリをして、「君もやってみたら」とごく自然にマイクを持たせ、そこで「なぜエリカ・チルトンを殺した?」とルイスが聞いた瞬間に部屋の空気が一変。この一瞬が素晴らしい。

結局ハワード抜きで事件は解決。ここまで見事に自白を取られたらもう何も言えないが、どうも巡査部長になってからハワードが精彩を欠いているような気がする。フェルトンが戻って来てくれればいいのに……。

Barenaked Ladies の “What a Good Boy” をバックに、それぞれの感謝祭を描いたモンタージュがエピソードを締めくくる。マンチはアリッサと一緒に過ごしたようだが、今回の出演はここだけかな?

Yoko (yoko221b) 2011-11-20

homicide/s03/039_hate_crimes.txt · Last modified: 2024-03-02 by 127.0.0.1