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lao:s05:109_purple_heart

Law & Order - Season 5, Episode 21

#109 Purple Heart

  • 邦題:「英雄の素顔」
  • 脚本:Morgan Gendel, William N. Fordes
  • 監督:Arthur W. Forney
  • 初回放映:1995-05-03

事件概要

People v. Denise Johnson (判事:Paul Kaylin)

運転手のダニエル・ジョンソンが車の運転席で射殺される。その日は月曜で、ダニエルは毎週決まって同じ客を担当することになっていた。事件当夜も通常通り勤務し、午後10時には帰宅したはずだったが、死亡推定時刻は真夜中。目撃者の話から、ダニエルがスティーヴ・ブレックという男と会っていたらしいとわかる。ブレックは前科のある借金取りだが、ダニエルを見た時はすでに死んでいたと主張。

その後、別の目撃者が現れ、配管工のチャーリー・コヴァックの存在が浮上。自宅を調べると、コヴァックは不在だったが、血痕のついた札束が発見される。その後コヴァックは、愛人の家で遺体となって発見される。

ダニエルが取り立て屋のブレックに払うために大金を所持し、それをコヴァックに奪われたと思われたため、ブリスコーとローガンは、ダニエルの借金について改めてブレックを問い質す。ダニエルは金使いが荒く借金をしており、ブレックには「女房から金をもらって返す」と言っていたという。

妻のデニースはレストランを開業したばかりで、最初は「資金は自分で用意したので夫の借金については何も知らない」と言っていたが、口座を調べてみると、ダニエルがデニースのサインを偽造して15000ドルを引き出しており、かつデニースもそれをに気づいていたことがわかる。また電話の通話記録からは、ダニエルが殺害される数時間前に、コヴァックがデニースと電話で話していたこともわかる。そこで「デニースが自分の金を夫に取られたことを知り、コヴァックに殺害を依頼し、その後デニースがコヴァックを射殺した」という可能性が生じるが、証拠はない。

コヴァックとジョンソン夫妻の背景を探ってみると、コヴァックはデニースが以前に勤務していたレストランで配管工事をしていたことがわかる。そのレストランには、現金を運ぶ際の護身用として拳銃が備えられており、当時ホステスをしていたデニースは拳銃を持ち出すことができた。レストランの銃はコヴァックを殺害した弾と一致し、デニースは逮捕される。

公判が始まり、証人が次々に証言するが、弁護人は、配管工事でコヴァックと口論したオーナーや、取り立て屋のブレックにも殺害の動機があったように反対尋問で印象付けていく。

検察側はすべての証言を終えるが、そこで弁護人は棄却請求を提出。ダニエル殺害の根拠をコヴァック殺害に求め、コヴァック殺害の根拠をダニエル殺害に求めるのであれば、実際は何も証明していないことになる。判事は、凶器となった拳銃はコヴァック事件にのみ使用され、ダニエルに対しては使用されていないことを指摘し、ダニエル事件を棄却すると言い渡す。コヴァック事件は継続するが、デニースが夫の殺害に関与したという理論を使わずにそれを証明しなければならない。

キンケイドは改めて刑事たちとともに材料を探し、ダニエルが殺害される前に遭った強盗事件の報告書に目を留める。その時、強盗はダニエルの頭部に銃口を押し当てて引き金を引いたが、動作不良で不発だった。強盗が金を要求せずに銃を撃つのはおかしい。その事件も月曜で、ダニエルがいつもの客を乗せた後のことだった。その事件では強盗が逮捕されて収監されていたので、マッコイは事情を聞く。強盗犯は、デニースから殺害を依頼されたことを認める。

これで証人は見つかったが、検察側はすでに証言を終えてしまっており、判事も再開を認めようとしない。そこで、マッコイは弁護側の証人に対する反証人 (rebuttal witness) として召喚しようと画策。そのためにまず理論を転換し、デニースが夫を殺された「復讐」としてコヴァックを殺害したと主張を変える。弁護側はそれに対抗するため、デニース自身を証言台に立たせ「夫を愛していなかった」つまり復讐の動機がないと証言させる。

デニースは証言台に立ち「夫が死んで、ほっとした面は確かにある」と認めながらも、マッコイの反対尋問に対しては「夫の死を望んだわけではない」と明言する。弁護側が証言を終えると、マッコイはおもむろに反証人の召喚を求める。弁護側は反対するが、マッコイは「これはデニースがダニエル殺害に関与したことを証明するのではなく、デニース自身の証言の信頼性を試すための証人である」と主張。判事が召喚を認めたため、弁護側はあわてて取引を切り出し、マッコイは「第2級謀殺で15年から終身刑」を要求し「評決で有罪なら25年だ」と脅す。デニースはようやく、ダニエルへの殺意とコヴィック殺害を認める。


感想

事件そのものは動機もわかりやすく単純なものだと思うが、検事と弁護人の騙し合いというかトリックの応酬が興味深いエピソード。

まず、検察側が証言を終えて終了する(“The People rests.” と言う)と、弁護側がおもむろに棄却請求。検察側はあわてて新しい材料を探すが、裁判ではいったん “rest” してしまうと、後から新事実が出て来ても判事が再開 (reopen) を認めない限り法廷に持ち出せないらしい。弁護側もそういうタイミングを狙ったのだろうが、これではまるで後出しジャンケンではないか。

それに対抗して、反証人をねじ込むためのマッコイの強引な手法にもびっくり。弁護側はまだ “rest” していないので、反証人 (rebuttal witness) としてなら召喚はできるわけだが、反証人とはそもそも相手側の証人に対抗して出すものなので、まずは弁護側に証言させなければならない。

そのために仕掛けた理論の大転換。デニースが夫を殺された「復讐」としてコヴァックを殺した――というこの主張に対し、弁護側としてはその動機を否定する証言を行わざるを得ない。そうしてまんまと証言台におびき出したデニースに対して、おもむろに反証人をぶつけるマッコイ。それも弁護側の “rest” 後というのは、仕返しにタイミングを狙っていた?

今回の判事には、両者の応酬を面白がっていると言っては失礼かもしれないが、難題に挑戦させて知的ゲームを仕掛けているような、そんな雰囲気を感じてしまった。やはりここ最近のエピは、小手先の理屈をひねくり回すというか、technicality に依存する傾向があるような気がするのだが、どうだろう。

今回の元ネタはアンソニー・リッグス事件とのこと。タイトルの “Purple Heart” は、ダニエルが元軍人で中東に派兵されて負傷し、パープルハート勲章を受けていた(これは元のリッグス事件でも同じだったかな)ことに由来するが、内容的にはあまり関係ないみたいね。

Yoko (yoko221b) 2010-07-04

lao/s05/109_purple_heart.txt · Last modified: 2020-04-18 by Yoko