User Tools

Site Tools


witb:s03:009_bad_seed

Table of Contents

Wire in the Blood - Series 3, Episode 2

#9 Bad Seed

  • 邦題:「バッド・シード」
  • 脚本:Niall Leonard
  • 監督:Alex Pillai
  • 初回放映:2005-02-28 (UK)

事件概要

ジョンソン夫妻が自宅の寝室で殺害される。部屋は血の海で、夫は頭を殴られたうえに性器を切り取られ、妻は生きたまま身体を切り裂かれていた。壁には、いったん血で何かを書き、その上からさらに血を塗りたくって隠した形跡があった。赤外線カメラで確認すると “WHO AM I?”(私は誰)と書かれていた。ジョンソン夫妻は隣人のアンドリューズと仲が悪かった。アンドリューズは傷害の前科があり、パソコン内には児童ポルノを入れており、中にはホームメイドらしき画像があった。そのことがトラブルの原因になったという可能性があるが、アンドリューズにはアリバイがあった。

その後、サラ・メイナードという女性が殺害される。やはり身体を切り裂いて内臓を取り出され、子宮を浴槽に投げ込まれていた。壁には “CH. XIV”(第14章)という文字が、やはり血で隠された下に書かれていた。サラの夫スティーブ・メイナードは、アンドリューズと同じ食肉工場に勤務し、以前の犯行では共犯関係でもあった。そこで交換殺人の可能性が浮上。

トニーは現場でマイケル・トンプソンの姿を見る。マイケルは元の名をマック・マカダムといい、殺人犯だったが、刑期を務め長期にわたるカウンセリングを受けて回復したとして、トニーに犯罪心理学の論文指導を希望していた。トニーは、一連の犯行に使われた凶器がマカダムと同じであること、凶悪殺人犯について記した本の「第13章」がマカダムについての記載であることに注目し、犯人が「次の章」を書いているのではないかと思いつく。

アンドリューズのパソコンにあった「ホームメイド」ポルノの画像は顔を消されていたが、メイナードの娘と同じヘアピンを着けていた。また、サラの子宮には精液が残存していたが、夫でもアンドリューズでもなく身元不明。

川の中から、ビニールに入れられた若い女性のバラバラ死体が発見される。死後かなりの日数が経過していたが、ジョンソン夫妻およびサラと同じ型の凶器が使用されており、彼女が最初の被害者であり、一連の殺人の引き金になったと思われた。身元を隠すために指が焼かれていたが、キャロルは被害者の指輪を以前に見かけていたことを思い出す。彼女は、中絶手術のためにクリニックに来ていた、アンニャと名乗る売春婦だった。他の被害者も妊娠中またはそれを試みており、一連の犯行の動機には生殖が隠されているのではないかと思われた。

その後、トニーが教えていた学生ピーターが殺害される。壁には “WANKER”(マスかき野郎)の文字が残されていた。マイケルはピーターのことをそう呼んでいたが、マイケルはずっと監視されており犯行は不可能。その一方、食肉工場ではアンドリューズがメイナードといさかいを起したあげくに刺されるという事件が発生。また、サラの子宮から検出した精子はピーターの物であった。メイナードがアンニャの常連であったこと、彼が実は無精子症で娘たちはアンドリューズの子であったことなどから、動機も説明が付くが、メイナードは犯行を否定。

さらにその後、マイケルが殺害される。遺体は舌を切られ、壁には “LIAR”(ウソつき)の文字が書かれていた。付近では若い男の姿が目撃されていた。一連の犯行は「自分の種をばらまく」というマカダム(=マイケル)の発言を読んで、彼を父親だと思い込んだ者の仕業であった。養子に出され、出生を隠されてウソの中で育ってきた若者が、マカダムを父だと思うことで自分を理解したつもりになり、実子であることを証明するために「後継者」として殺人を重ねる。だがそれもウソ(事実ではない)とわかった今、犯人は自殺する危険があった。

アンニャは中絶、ジョンソン夫妻は子を望んだために彼に殺された。それらをつなぐカギは精子を提供している不妊クリニック。ピーターはサラの愛人ではなく、学費を稼ぐために精子を売っていたのだ。クリニックに行って話を聞くと、技師のローレンンスという男が目撃された若者の特徴に合うとわかる。ローレンスは冷却装置のある場所にいた。トニーは説得を試みるが、キャロルは装置が壊されていることに気づく。ローレンスは液体窒素の中に身を投げて自殺、キャロルとトニーが脱出した直後に施設は爆発を起し現場は破壊される。


感想

グロ~。今回は特にグロ印象が強い。ただし、惨殺された遺体をモロに映すのではなく、部分的な映像をぱっぱっと閃かせ、食肉の解体場面につなげることで、視聴者の想像力に訴えかけるような演出がなされている。そのものズバリが少ない代わりに血の量が多いことも、それに一役買っているのだろう。

事件の方は……う~~ん、今回は展開がいささか強引すぎるのでは。人間関係が複雑、というか無駄に関連ありすぎ。整理してみると下の図のようになった。太い赤矢印は殺害ね。

hermitage.rdy.jp_csi_img_misc_witb_09.jpg

精子を提供した男性も提供を受けた人も他に大勢いると思うのだが、ローレンスはその中からどうやって被害者を選び出したのだろう。マカダムとの関連でピーターを狙い、ピーターの精子を得たサラをまず殺したのだとしても、ジョンソン夫妻を選んだのはなぜ? ジョンソンの隣人はアンドリューズであって、メイナードと直接の関連はないはず(そもそも彼らの殺害は、マカダムとピーターが出会う前ではないか)。サラの夫を殺さなかった理由や、サラが精子提供を受けて3人目を産もうと思った理由や、アンニャの子どもの父親もはっきりしない。真犯人の存在が終盤にきて急に浮上したせいか、描写不足のように感じた。

最後は爆発。このシリーズは、少し暗めの画面で落ち着いたトーンで描かれているというイメージがあったので、らしくない大爆発だと最初は思ったのだが、よく考えてみると第2シリーズからこのエピまで、1話おきに火事やら爆発やら起きているのね(第1シリーズはまだ見ていないので)。別に珍しくもなかったんだ。

まぁストーリーはともかく、マイケルを取調べ中のキャロルは静かな威圧感があって良かった。質問の最後に付加した “aren't you?” のアクセントが素晴らしい。また、妊娠や母性に対してキャロルが複雑な思いを語る一方で、トニーがピーターに対して父親のような気持ちを感じてしまう(前シリーズでは学生の名前も覚えてなかったのに)という、テーマに関連して描かれる2人の心境が興味深い。このシリーズの主役は事件よりもあくまでトニーとキャロルの2人で、彼らが事件をどう読み解き、どのように対峙し翻弄されるかということが重要なのだろうと思う。

Yoko (yoko221b) 2008-02-02

witb/s03/009_bad_seed.txt · Last modified: 2020-04-30 by Yoko