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witb:s04:013_torment

Wire in the Blood - Series 4, Episode 2

#13 Torment

  • 邦題:「VOICE」(DVD)/「ボイス」(CS)
  • 脚本:Guy Burt
  • 監督:Declan O'Dwyer
  • 原作:ヴァル・マクダーミド『殺しの仮面』(The Torment of Others)
  • 初回放映:2006-08-18 (AU)

事件概要

統合失調症で入院中のデレク・タイラーが突然暴れ出したという報せを受け、トニーが面会に行く。デレクは4年前に殺人事件を起こし、事件の後トニーが診察したことがあった。

デレクが暴れだしたきっかけは、TVで殺人事件のニュースを見たことだった。それは売春婦が拘束され全身をカミソリで切られて失血死した事件で、連続殺人事件と思われた。被害者はいずれも売春婦で、行為中の事故が疑われたため、捜査の指揮は風俗課のジャン・シールズ警部補がとり、アレックスは今回は補佐役だった。トニーは、犯行の手口がデレク・タイラーの事件と同一であることを指摘する。

被害者は指にマニキュアを塗られていたが、塗り方は丁寧ではなく、拘束した後に犯人が塗ったものと思われた。調べてみると、最初の被害者も同じ塗り方。トニーは、そのマニキュアを塗ることが、被害者を別人に仕立てるための行為だと指摘。成分を調べると、そのマニキュアは20年前に製造中止になった古い製品だった。

シールズは、被害者の常連客を調べるよう指示。トニーは犯人の目的は「支配」であり性的な関係ではないと反対するが、シールズは客からの捜査を進める。

その後、3人目の被害者がホテルの部屋で発見される。同じ手口で、マニキュアも同じだった。ポーラは、被害者がいずれも自分と同じ金髪で20代の女性であることから、囮捜査を志願する。

トニーは、デレクの知能が低いことから計画的犯行は無理だと判断する。彼は実行犯ではあったが、他の誰かに支配され、その《声》の命ずるままに犯行を行っていたのだ。それはデレクの妄想の中にある声ではなく、実在する現実の人間(主犯)の声だった。デレクが音を嫌い沈黙を守っていたのは、《声》が再び聞こえるようになることを願ってのこと。その《声》はデレクが逮捕された後、他の被支配者を手に入れて犯行を続けていたのだ。

ポーラの囮捜査は、1日目は空振りに終わるが、2日目に怪しい客が登場。その客はポーラが身に着けていた無線機を巧みに切断しポーラを連れ去る。警察が気づいて出動した時には、2人の姿はなかった。

犯人がポーラの正体や無線の場所を正確に知っていたことから、警察の捜査活動が監視されていたことが疑われる。トニーは、犯人の標的は警察であり、警察を支配するためにポーラをまだ殺していないと判断する。トニーは手がかりを求めて再びデレクと面会し「《声》は君を見捨てた、もう戻って来ないんだから奴の正体を話せ」と迫るが、デレクは《声》への忠誠を守り通す。

ケヴィンは、以前に事情聴取した「客」たちの中から、トニーのプロファイリングに合う人物、カール・アダムズを思い出す。カールは転居を繰り返していたが、現住所を突き止めて踏み込んでみると、すでに死亡。状況から拳銃で自殺したようであったが、ベッドから枕がなくなっていた。《声》が消音のために使用して持ち去ったのだ。

ポーラの囮捜査の詳細が犯人に知られていたことから、トニーは警察関係者を疑う。

デレクが病院で自殺する。看護師の話から、直前に「ヒル教授の助手」から電話があったことがわかる。アレックスはその正体が《声》で、デレクに自殺を命じたことを確信。自称助手が女性だったことから、アレックスは女性警官を片っ端から調べようとするが、その時に「ポーラの居所を知っている」という匿名電話による通報が入る。

一方、トニーは独自に捜査を進め、犯人の居場所に到達していた。そこで彼は犯人――シールズ警部補と対峙する。シールズは15歳の時に、髪をブロンドに染め、マニキュアをして売春婦のような服装で街に出かけ、レイプされたことがあった。シールズはそれがきっかけで支配力を希求するようになり、売春婦たちをかつての自分に見たて、殺す側の人間を支配することに喜びを感じていたのだった。シールズはトニーを殺そうとするが、その時警官の一団が踏み込み、シールズを逮捕。トニーは無線を身につけていたのだった。監禁されていたポーラは、無事に救出される。


感想

久しぶりの原作付き作品。原作付きだけあって、プロットの穴やらルースエンドがないのが良い。今までのエピソードでよくあるような、無理めのどんでん返しがないせいでもあるだろうか。顔面ぷるぷるが怖かった。

ただし疑問に思った点がないわけではなく……たとえばカールが死んだタイミング。最初見た時は、ノックの音がして、カールが窓から下を見ると警察車両が集まっていて、その場で自殺したのかと思った。でも結局自殺ではなく、枕を持ち去った犯人がいたわけよね。警察が来た時に死んだのだとすると、シールズが枕を持ち去る時間はない。ということは、ノックの音がした場面と、警察車両が集まって来た場面は連続しているわけではなく、実際にはかなり時間が空いていたのだろうか。ここは、視聴者をだます手法かもしれない。

トニーがシールズと対峙した場所は、シールズがわざと部屋に残してきた偽の書類から辿った住所のようだが、ポーラの監禁場所は別の場所だったのだろうか。また、天使を描いた壁の前にデレクを立たせて、彼に翼があるように見せた映像の意図は?(デレクが《声》に操られるだけの、ある意味で無垢とも言える存在であることを表現しているのだろうか)

原作小説は文庫上下巻というボリューム。それを90分エピソードにまとめるのだから、かなり端折った部分があったのだろうと思う。終盤の展開は少々説明不足に感じた。

全体のプロットが明確でわかりやすいのは良いのだが、その代わり犯人が早い段階からわかってしまったかな~。「犯人は売春婦たちの行動や周辺の地理に詳しい」「ポン引きか売人か」という場面ではじれったくなって「警官!警官!」と言いたくてしょうがなかった。で、警官だとすると候補はひとりしかいないわけでしょ。今シーズン初登場でまだ馴染みの薄いアレックスを差し置いて、シールズ警部補とトニーの場面にえんえんと時間を割いているということは、つまりそれしかないじゃん!

また、支配者と被支配者のコンビによる犯罪、犯行のシグニチャが違うのは別人だから、収容されていて鉄壁のアリバイがある前科者とそっくり同じ手口、といった要素もシリーズ2~3で何度か見たパターンなので、正直ちょっと飽きてきた感じ。原作が出版されたのはシリーズ2と3の間なので、どちらが先かというと、よくわからないけど。

アレックスの息子と窓ごしに目が合って手を振るトニーの表情はすごく良かった~。アレックスはシングルマザーなのかな?


原作

witb/s04/013_torment.txt · Last modified: 2024-03-09 by 127.0.0.1