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csi_miami:s04:077_three_way

CSI: Miami - Season 4, Episode 5

#77 Three-Way

  • 邦題:「ペントハウススイートの情事」
  • 脚本:Marc Guggenheim, Ildy Modrovich
  • 監督:Jonathan Glassner
  • 初回放映:2005-10-17

We never assume anything, do we?

事件概要

アルマンド・ディアス殺害事件

ホテル・グラシアナの庭で、従業員アルマンド・ディアスの遺体が発見される。アルマンドはプール係だったが、なぜか最上階のペントハウススイートのキーカードを所持していた。ホレイショは本部長の意向で現場を離れ、事件は部下3人に任されることになった。

そのスイートルームは、3人の女性――ベス・ジェイコブソン、フェリシア・ハーディ、イヴェット・トラヴァースが「妻たちの週末」を楽しむために借りた部屋だった。カリー、デルコ、ウルフの3人はそれぞれ分担を決めて現場検証を開始する。

カリーは浴室で天井に飛沫血痕を発見。床は清掃されていたが、メイドの清掃用カートを調べると、血のついたタオルにくるまれたタオルかけがあった。付着していた毛髪は、アフリカ系人種のものだった。3人のうち唯一アフリカ系であるベス・ジェイコブソンは、アルマンドを殴ったことを認めた。ベスはプールサイドに忘れた本を届けに来たアルマンドとその気になってベッドに行ったが、彼が不能であったことから口論になり、身を守るために殴ったという。カリーはそれで解決と判断するが、デルコは違う結論に達していた。

デルコは寝室へ行き、ベッドのそばに使用済みコンドームを発見。そこはフェリシア・ハーディの部屋で、DNAの主もフェリシアとアルマンドだった。フェリシアが部屋に戻った時、アルマンドはベスの本を返しに来て転んだと言い、顔に氷を当てていた。フェリシアはアルマンドとの情事を認め、彼がベッドのヘッドボードに頭をぶつけて倒れたと言う。フェリシアは、アルマンドはただ寝ているだけだと思ったのだった。かくしてカリーとデルコの結論は食い違うが、ウルフはさらに違う結論に達していた。

ウルフは滴下血痕を発見し、その跡をたどって裏階段で血のついた足跡とコンタクトレンズを発見。足跡の主はホテルの支配人クレイグ・シーボーンだった。シーボーンは、遺体を片付けてほしいと連絡を受けてスイートへ向かう。遺体はなかったが浴室に血溜まりがあったので拭き取った。帰ろうとしたところで悲鳴を聞き、階段でアルマンドを発見。そこでアルマンドを車に乗せたが、彼はまだ生きていた。アルマンドは彼に指輪を渡して助けてくれと頼んだという。その指輪はイヴェット・トラヴァースの結婚指輪だった。イヴェットはその日、アルマンドと情事を楽しんだ時に指輪を盗まれていた。階段でアルマンドを問い詰めた時に彼は転落し、イヴェットはコンタクトを落とした。彼女は指輪を取り戻そうとしたが、シーボーンが来たために断念。

3人のCSIがそれぞれ3つの容疑者に行き着いたところで、ホレイショが登場――彼らは検死官に死因を確認していなかった。アルマンドの死因は首の骨を折られたことで、それは転落によるものではなく、女性の力で可能なことでもなかった。そこで振り出しに戻り、事件を整理する。

アルマンドはその日イヴェットと寝た時に指輪を盗む。その後、プールサイドに置き忘れられた本を持ってベスをたずね、頭を殴られる。傷を冷やしていたところへフェリシアが戻って来たため、二人してベッドへ。そこでヘッドボードに頭をぶつけて気絶。目を覚ました後、イヴェットに問い詰められて階段から転落。クレイグに車のトランクに入れられたが、指輪を渡して解放。その後、何者かに首の骨を折られたのだ。

アルマンドの着衣からは、リント布の繊維と洗剤が検出された。ホテルのランドリールームには、血のついた指紋が残されていた。アルマンドを殺害したのは、フェリシア・ハーディの夫スティーヴだった。夫婦の仲はすでに冷え切っていたのでフェリシアは驚くが、スティーヴはイヴェットと愛し合っており、彼女とアルマンドの情事に怒って殺害したのだった。


感想

ちょっと面白い構成の話だった。ただ、ちょおおおっとそれは納得いかん! と思った点はあったかな~。

ホレイショが現場を離れ、事件は部下3人が担当することになったが、この3人、死因は確認しないわ被害者の着衣も調べないわ予備のキットも補充していないわというダレっぷり。カリーは法廷で呼び出しを受けたためキットがなく、デルコの予備のキットが頼りだったのだが、それがちゃんと補充されていないからといって消耗品をごっそり持って行ってしまう。デルコはホテルの綿棒とランドリーバッグで証拠収集。えー、いいの? 綿棒は一応1本ずつパックされていたようだけど、他の人のDNAが混ざらないような状況で製造されてるのかな?

そして証拠を突き合わせて確認することもせず、見つけた証拠だけで事件解決と思い込み、まったく別々の推論を引き出してしまう――これがCBSサイトのエピソードガイドでは「“Rashomon” approach」と書かれていた。

え、何で「羅生門」? それを言うなら「藪の中」じゃないの? と思って確認してみたところ、どうやらこれは黒澤明の映画「羅生門」らしい。映画「羅生門」は、芥川龍之介の小説「藪の中」のストーリーに小説「羅生門」のモチーフを足した構成になっているとのこと(なぜそんなヤヤコシイことを!)。であるから、目撃者の証言が全部食い違っていた、というのは、小説「藪の中」と映画「羅生門」に共通のストーリーラインなわけね。

それはそれとして、マイアミ版「藪の中」というストーリー自体は面白かったと思う。しかし、いくら何でもこの3人、特にカリーとデルコがひどすぎる。カリーは前シーズンではウルフの先生役だったし、ホレイショが身内の心配や突入をしている間にてきぱきと事件を捜査して解決していた。デルコだって、ちゃんと死因を確認しなければいけないことはシーズン3「配達された殺意」でわかっているはずなのに。2人とも、新人のウルフと並んでどんぐりの背比べをやっていて良い立場ではない。

それに、3人ともアルマンドが殴られた(転落した)ところまではわかったものの、そこから遺体がどうやって庭に遺棄されたのか、それを誰も明らかにしていない。担当刑事のトリップは藪の中ならぬ蚊帳の外。:-(

マイアミではやはり、シーズンが変わる時に今までの実績や経歴はリセットされるということになったんだろうか。

今回は珍しくホレイショの出番が少なかった。CSI:NYとのクロスエピ収録の都合だろうと思うが(収録は次の6話よりも今回の方が後だったらしい)、ドラマ上はホレイショなしでも大丈夫ということを示すためだった(全然ダメじゃん!)。本部長は部下たちについて、メディアに情報をリークしたり(ウルフの件ですね)、専門の仕事を離れたり(カリー)、金の問題を抱えている(消去法でいくとデルコ?)と苦言を呈する。デルコはキットの中に巻紙(マリファナに使うものらしい)を入れてるし。何だかこれも後から波乱になりそうな気がする。シーズン1~2の頃の、和気藹々としていたチームが懐かしい。

……と、いろいろ不満や不安の残る回ではあったけれど、色の使い方は面白いなと思った。最初カリーの場面を見た時、何で画面がこんな色なの? と違和感を感じたが、その後でデルコパートとウルフパートを見ると、フィルター色の違いで視点の違いを表しているのだとわかる。

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それから、最後に連行されるスティーヴと3人の女性たちの服装がそろって薄紫や紫がかったピンクだったのは、意図的にそうしたのだろうか? ペントハウススイートで乾杯する回想シーンは全員白い服。それに対して、紫は不安や不調和を象徴すると言われる。3人の状況の変化を対比的に表したのかなーと思っていたら、ウルフのシャツも紫だし、デルコのシャツも深いボルドーだ。何だろうこの色合わせ。

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単語帳

  • brass:お偉方、高官(口語)
  • twofer:安い商品、1枚分の料金で2人分になるチケットなど。この場合はタオルかけの「血と毛髪」のことかな。
  • Pensacola:ペンサコラ(フロリダ州の地名)

Yoko (yoko221b) 2006-12-27

csi_miami/s04/077_three_way.txt · Last modified: 2024-02-21 by 127.0.0.1